ソウルの南大門②日本人と韓国人の「愛国心と誇り」の強さの違い

 

前回書いた南大門の続き。

南大門は、韓国人にとって特別なもの。
韓国の国宝第一号に選ばれていて、まさに韓国の象徴というべき建築物。

さらに南大門は、2008年までは韓国で最古の木造建築物でもあった。
でも、前回書いたように、この至宝は放火によって焼失してしまう。

そういえば、南大門の1年後に建てられた金閣寺も放火で焼失している。
なんという偶然(前回参照)。

 

放火される前の南大門

 

火災で崩れ落ちた南大門

 

burned_kinkaku

おまけ
焼失した金閣寺

 

南大門が焼け焦げた無残な姿をさらしたとき、韓国の国民から責められたのは火を点けた人間。

だけではなかった。

批判の矛先は、ソウル市や国にも向かった。
消火のやり方がマズかったことにも、批判が集中した。

消防隊員らは「国宝第1号」という文化財の棄損を懸念し、積極的な消火作業を行えなかった。いったんは消火したと思われたが、初期消火の失敗から消え残った火が再び燃え広がり、全焼という事態に至った。

(ウィキペディア)

友人の韓国人が怒っていたのも、まさにこのこと。

国宝第一号という韓国でも特別大切な建築物なのに、すぐに火を点けられてしまうようなずさんな管理体制だった。

それに、火を消すことができずに全焼させてしまったという消火のやり方は本当にひどい。

そんなことを言っていた。

 

それは分かるけど、彼の話を聞いていて違和感をもったのは、このこと。

「南大門を燃やした人間よりも、焼失させてしまった側に重い責任がある」という考え方をしているような気がすること。

 

 

彼の言葉が「放火魔よりも、ソウル市や国の方が悪い」というように聞こえてしまって、ボクにはどうも賛同できない部分があった。

 

でも彼の話では、そう考えている韓国人は多いという。

「国宝をまともに管理できない国なんて、本当に恥ずかしいし、情けないですよ」

 

韓国で不祥事があると、韓国人はよくこういう言い方をする。

韓国の新聞では、「こんなに恥ずかしい国はない」「海外から笑われる」といった表現をよく目にする。

この南大門焼失事件では、その後の復元工事について、レコードチャイナにこんな記事(2013年11月8日)があった。

韓国の元祖国宝「崇礼門」、復元工事で手抜き=威信を懸けた工事でメンツ丸つぶれ―韓国メディア

2013年11月8日、韓国・中央日報によると、韓国が威信を懸け行ったプロジェクトと言われている国宝「崇礼門」の復元作業で、手抜き工事があったことが明らかになった。人民日報(電子版)が伝えた。

「崇礼門」は韓国の国宝第1号に指定された歴史ある国宝。ところが数年前に放火に遭い、大部分が焼失。かつての輝きを取り戻すべく行われた復元作業で手抜き工事が見つかり、国民の多くは失望しているという。

「国の威信を懸けた工事でメンツ丸つぶれ」というのは、中国紙が韓国に対して言っているのはない。

韓国紙が「韓国の威信やメンツが丸つぶれ」と書いているのだ。

 

この新聞の表現も、先ほどの友人の気持ちに通じるところがある。
「韓国は情けない、恥ずかしい」という気持ちがにじみ出ているように思う。

 

さらに、韓国で過去最悪の海難事故といわれる「セウォル号の沈没事件」がおきたときには、中央日報にこんな記事が載っていた。

【社説】どうして大韓民国で旅客船沈没のような惨事が起きるのか(1)

「乗客全員救助」という最初の報道に安心した。しかし時間が過ぎるにつれて犠牲者が確認され、290余人が行方不明という情報に接することとなった。どうして後進国でも起きないような惨事が大韓民国で起きるのか。

日本で大惨事がおきたとして、日本の新聞が「どうして後進国でも起きないような惨事が日本で起きるのか」という表現をすることは考えられない。

この表現だと、「韓国は、後進国とは一線画す先進国であるはず」という意味に受け取れる。

一線(いっせん)を画(かく)・する

境界線を引いてくぎりをつける。はっきり区別する

(デジタル大辞泉の解説)

惨事が起きたときに、こうした表現を使うか使わないかというのは、日本人と韓国人の考え方や価値観の違いによるものだと思う。

 

 

先ほどの言葉を裏返して言えば、「韓国は、こんな事故が起こるような後進国ではないはず」
「国宝を全焼させてしまうような、情けない国ではないはず」ということになる。

この発想の前提には、「我が大韓民国は偉大な国であるはず」という愛国心や「韓国人は、優秀な人間だ」という民族的な自負心があるように思う。
これは、やや大げさな言い方だけど。

 

韓国人には、なんでそんな自負心があるのかと言えば、韓国の小中高の歴史教科書を読むと分かる。
大人が教育によって、意図的、計画的に愛国心や民族の誇りを育てていることが分かる。

 

さらに、タイで会った韓国系のアメリカ人と話をしていたとき、彼もそれを感じていた。
彼は韓国で生まれて小学生ときにアメリカに渡っている。
そして、アメリカの中学高校大学を卒業した。

韓国を外から眺めると、愛国心や自尊心が強すぎるところがあって正直ついていけない部分があるという。

良い意味でも悪い意味でも、「愛国心や民族の誇り」という点において日本人は、韓国人にははるかに及ばない。

 

南大門の焼失やセウォル号の沈没事件だけではない。

韓国人と話をしていたり、韓国の新聞を読んでいたりすると、どうしても違和感を感じるときがある。

「なんで、自分はこの言葉に違和感を覚えるのか?」

それを突き詰めて考えてみると、日本人と韓国人との違いに突き当たる。
日本と韓国とでは、「愛国心や民族の誇り」ということに対する価値観が大きく違うし、それをはぐくむ教育にも違いがある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。