海外旅行の注意点・覚えてほしい言葉。日本人旅行者殺害から。

 

まえに日系ボリビア人と南米の治安について話を聞いたことがある。

南米・ボリビアのこと。

まわりの日本人からは、「ボリビアって治安が悪いの?」とよく聞かれるらしい。
それは正しい。
間違いなく日本より治安は悪い。

でも注意をしていれば、そんなに心配することはないとも言う。

「ボリビアは治安が悪い」といっても、ボリビアのすべての地域で同じぐらい治安が悪いわけではない。

場所や時間によって犯罪にあう確率は違ってくる。

「あそこは危険だから近づない」
「この時間は外に出ない」
「貴重品を見せない」

ボリビアに生まれ育つと、そんなことは自然に分かってくる。
そんな常識を守っていれば、ふつうに生活することはできるという。

 

それでも、犯罪に巻き込まれてしまうことはある。

交通事故と同じで、こちらがどれだけ注意していても、事故にあうときにはあってしまう。
「運が悪かった」としかいいようがない。

 

そんなボリビア人の彼も、一度だけ強盗にあってしまったことがある。

街から少し外れた道を友人と2人で歩いていたら、急に4、5人の男が現れて銃を突きつける。

強盗だ。
そう思った彼は、両手をあげてこう言った。

「今オレが持っているものは、すべておまえの物だ。持って行け」

2人の強盗は銃を突きつけたままで、別の強盗が彼と友人のサイフを奪ってしまったという。

その間、彼と友人は両手を挙げたままで、強盗にされるがままの状態になっていたらしい。
話を聞いていて、ずい分あっさりしているというか、あきらめがいいなと感じた。

「仕方がないですよ。強盗にあってしまったら、命以外のものは捨てないといけませんから。強盗が欲しいのは、命ではなくてお金です。ヤツラはお金を取ったら、すぐに逃げていきますよ」

 

彼はそのとき、まったく抵抗をしなかった。

「抵抗なんかしたら、絶対にダメです。強盗が逃げる時間をうばってしまいますし。すぐ射殺されてしまいますよ」

彼は銃を突きつけられた瞬間に、命以外の物はあきらめたという。
迷ってしまったらダメ。

 

強盗と交渉をしようとすれば、相手が逃げる時間を奪ってしまうことになるし、「面倒だな」と思われたりする。
そうなったら、すぐに撃たれてしまう。

抵抗することは論外。

 

強盗にあってしまったら、しょうがない。

「今オレが持っているものは、すべておまえの物だ。持って行け」

こう思ってその瞬間に、今自分が持っている物はあきらるしかない。

これはボリビアだけの常識ではなくて、南米や他の国にも通じること。

強盗にあってしまったら、交渉も抵抗もしない方がいい。

 

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最近コロンビアで、日本人の大学生バックパッカーが射殺されたというニュースを知ったときに、ボリビア人の彼の言葉を思い出した。

NHK NWES WEBにそのことを伝える記事(11月21日)がある。

市内の住宅街を電子機器を持って歩いていたところ、後ろから来た男が電子機器を奪って逃げたため、男を追いかけて捕まえた際、もみ合いとなったあと、男に銃で撃たれ、死亡したということです。

「コロンビア警察 殺害された日本人はイザキ・リョウさんと公表」

 

電子機器とはスマートフォンとタブレットらしい。

この記事からして、これらの貴重品を外に出して歩いていたのだと思う。
それよりまずかったのが、追いかけてしまったことだろう。

 

「今オレが持っているものは、すべておまえの物だ。持って行け」

ボリビア人の彼が言ったように、強盗にあった瞬間に命以外の物をあきらめていれば、命までは取られることはなかったのではないかと思う。

 

もちろん、こんな言葉を書くだけなら簡単。
だけど、実際に自分がそうなったとき、その瞬間にすべてを捨てる覚悟ができるか?
それは、正直分からない。

 

そういう状況になっても、お金やパソコンを盗られない方法がないかと考えてしまうかもしれない。

それも平和ボケなのかもしれないけど。

 

この大学生のブログには、「次はコロンビアへ!ついに南米上陸です!楽しみ!」という書き込みがあった。
楽しみだった南米で、人生を終えることになるなんて、想像もしてなかったと思う。

 

 

2013年にも南アメリカのエクアドルで新婚旅行中の日本人夫婦が襲われて、夫は射殺、妻は重傷を負った。
この事件のときも夫が強盗に抵抗したという報道を見た。

宿泊先のホテルからレストランまで、ホテル専属のハイヤーを利用したが、その際、普通のタクシーのおよそ10倍にあたる、20ドルを請求されたことから、運転手とトラブルになり、戻る際は、レストラン手配の車を断って、流しのタクシーに乗車したことがわかった。

エクアドル新婚旅行殺人事件

 

この事件の後かは分からないけど、外務省ホームページで、正規のタクシーであっても道路を走る流しのタクシーは使わないよう警告がでている。

流しのタクシーは利用しない

運転手が強盗等と共犯であるケースがあり,移動中に運転手が共犯者と連絡を取り合い,途中で犯人がタクシーに乗り込んで強盗・短時間誘拐に遭うケースが増加しています。

犯罪発生状況、防犯対策

 

また、外務省の別のページでは、強盗事件にあったら抵抗しないで犯人の要求に従うように書いてある。

海外邦人事件簿|Vol.43 命あっての物種、強盗犯には抵抗しない

犯人に抵抗したため逆上した犯人に発砲され、命を失ってしまった旅行者もいます。
(中略)不幸にして強盗に遭遇してしまった場合には、絶対に抵抗せず、犯人を逆上させないことを第一に心掛け、犯人の要求に従ってください。命あっての物種です。

 

この外務省のページにはタイ、フランス、オーストラリアでの事例がある。
強盗にあったら、「抵抗しない」「犯人の要求には従う」というのは旅の鉄則。

「今オレが持っているものは、すべておまえの物だ。持って行け」

この言葉は、頭の片隅に入れておいた方がいい。
命以外の物は盗られても何とかなる。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。