ヘイトスピーチに苦しむ在日外国人や日本人、「心に寄り添う」ってことは?

 

最近のニュース

今日の(2016年12月25日)の西日本新聞に、重いけど大事な記事があった。

今年は新たにヘイトスピーチ(憎悪表現)対策法、部落差別解消推進法、障害者差別解消法が施行された。

見つめ直す「差別と人権」

 

今年は、人種的な憎悪である「ヘイト」についてのいろいろな動きがあった。

ここに書いてある「ヘイトスピーチ対策法」の成立は、その象徴のようなできごと。

 

来年以降も、日本でのヘイトやヘイトスピーチの話題がクローズアップされることは間違いないだろう。

ということで、この記事のタイトルにあるように、ヘイトというものをちょいと見つめ直してみようじゃありませんか。

名古屋駅で見かけた法務省の啓発ポスター

 

さっきも書いたけど、ヘイトスピーチについての今年の大きな動きは、ヘイトスピーチ対策法が成立したこと。

民族差別などを街頭であおるヘイトスピーチの対策法(ヘイトスピーチ解消法)案が、5月24日の衆院本会議で、自民、民進などの賛成多数で可決、成立した。

「不当な差別的言動は許されないことを宣言」し、人権教育や啓発活動を通じて解消に取り組むと定めた理念法で、罰則はない。差別的言動の解消に向け、国や地域社会が、教育や啓発広報、相談窓口の設置など「地域の実情に応じた施策を講ずる」よう定めている。

ヘイトスピーチ対策法が成立 「表現の自由」「罰則」国会議員も悩んだ

 

「ヘイトスピーチ」とは片仮名で書いてあるように、もともとは外国の言葉でこんな意味になる。

ヘイト‐スピーチ(hate speech)

《ヘイトは憎悪の意》憎悪をむき出しにした発言。特に、公の場で、特定の人種・民族・宗教・性別・職業・身分に属する個人や集団に対してする、極端な悪口や中傷のこと。

デジタル大辞泉の解説

 

 

このヘイトスピーチ対策法は、ヘイトスピーチ解消法と書かれることもあるけれど、本当の名称はもっと長い。

法務省のホームページに、その正式名称が書いてある。

「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」

ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動

 

 

ここでよ~く見てほしいのは、「本邦外出身者に対する」という部分。

「本邦」とは日本のことだから、この法律は日本人は「対象外」となる。
だから、日本にいる外国人に「○○人は死ね」と言うのはヘイトになるけど、「日本人は死ね」と言ってもヘイトにはならない。

 

 

 

最近の東京新聞で、下のような記事(12月18日)があった。

ここに、ヘイトスピーチで辛い思いをしている人たちのことが書かれている。

 

この記事のなかで、在日三世の人が「人の憎悪が自分たちに向く恐怖」について語り、このような願いを口にしている。

「私たちは静かに共生していきたいだけ」

<2016かながわ 取材ノートから>(5) 苦しむ市民に寄り添って

 

 

日本国内でヘイトに苦しむ外国人がいれば、海外にはヘイト(憎悪)で苦しむ日本人がいる。

日本人として、ヘイトに苦しむ日本人がいることは知っておいてもいい。

 

2016年12月15日には、「レコードチャイナ」にこんな記事があった。

「慰安婦像はヘイト」豪州の日本人団体が撤去を求める陳情書=韓国ネット「どんな教育を受けて育ったんだ」「私の知っている日本人ではない」

日本人民間団体「オーストラリア・ジャパン・コミュニティー・ネットワーク(AJCN)」は14日(現地時間)、豪州のABC放送とのインタビューで、「人種的な憎悪と分裂を助長する少女像を撤去するよう求める陳情書を提出した」と明らかにし、「私たちがこのような活動をするのは政治のためではなく、地域の親たちが心配しているため」と説明した。

 

ここにある少女像とは、日本でいう「慰安婦像」のこと。

この像の設置は、オーストラリアの人種差別禁止法に触れるという。

「人種差別禁止法18C条項は人種や肌の色、国や民族を理由に他人に不快な思いをさせたり、羞恥心を抱かせたり、侮辱的・脅威的な表現を使うことを禁止している」と説明。その上で、「少女像は地域社会に害を与え、結果的に侮辱行為と人種的憎悪を誘発する」と訴えている。

 

海外で慰安婦像によって苦しんでいる日本人がいるのは、オーストラリアだけではない。

アメリカにも同じ問題がある。

【慰安婦問題いまだ終わらず】慰安婦プロパガンダ 最前線の悲痛な訴え 執拗な「謝れコール」、「テロリスト」「強姦魔」呼ばわり 海外で犠牲になる日本の子供たち

ユネスコ(国連教育科学文化機関)でも「ホロコースト」と申請され、海外には慰安婦性奴隷像が建ち、カナダや米国では戦争残虐行為として授業で教える学校もあります。

(中略)
そして現在、何が起こっているか。以下は、米国の学校に子供たちを通わせている日本人、日系人からの報告です。

《日本人は韓国人にひどいことをしたのだからと、学校で「謝れコール」が起こり、子供が泣いて謝るまでコールが続いた》

《クラスメートから「テロリスト」「強姦魔」呼ばわりされ、唾をかけられたりして一時ショックでひきこもりになった》

《バスケットで得点したときのお祝いのハイタッチで、日本人の子供の時だけ手を引っ込める韓国人の子供がいる》

 

今自分が日本にいるとしても、いつか海外に行くことになるかわからない。

そういう意味でも、海外での「日本人に対するヘイト」についてもっと注目していいと思う。

 

 

 

先ほど、東京新聞にあった在日三世の人の気持ちを書いた。

「人の憎悪が自分たちに向く恐怖」という感じていて、「私たちは静かに共生していきたいだけ」と願っている。

このことにつていは、アメリカやオーストラリアに住む日本人もまったく同じであるはず。

ところが、この慰安婦像の設置という「ヘイト行為」に対する韓国人の反応は、記事のタイトルにあるとおり。

「どんな教育を受けて育ったんだ」や「私の知っている日本人ではない」、さらには「日本人には良心がない」といったもの。

 

この韓国人の言う「私の知っている日本人ではない」とは、一体どこにいるどんな日本人のことなのか?
よくわからん。

 

まあ、それはいいや。

ここに登場する韓国人たちには、ヘイトに苦しむ人たちに寄り添おうとする姿勢がないようだ。

それがとても残念。

 

でもこれは、一部の韓国人のことだろう。
すべての韓国人が、こんな考えを支持しているわけではない。
と、願っている。

 

日本でヘイトスピーチに苦しむ在日外国人の人たちが、アメリカやオーストラリアでヘイトに苦しむ日本人と手を結むというのはどうだろう?

ともにヘイトをなくすための活動をすればいいと思うのだけど、それはムリなのだろうか?

同じくヘイトに苦しんでいる者同士で、「私たちは静かに共生していきたいだけ」という共通の願いを持っている。
だから、協力すれば互いにとって心強い存在になるような気がする。

 

それに、在日外国人の人たちが「慰安婦像はヘイトだ」という日本人と手を組めば、日本でヘイトスピーチをおこなっている人間は、「海外で慰安婦像を立てている人間と同じことをしている」ということを示すことになる。

このことは、日本でヘイトスピーチをしている人間にとって大きなダメージになるだろう。

 

日本でのヘイトスピーチをなくすためにも、海外でヘイトに苦しむ日本人と共に活動をしたらいい。

 

ところで、「苦しむ市民に寄り添って」という東京新聞は、ヘイトに苦しむアメリカやオーストラリアの日本人の心に寄り添っているのだろうか?

先ほどの記事は、こう結ばれている。

差別や憎悪に苦しむ市民が目の前にいる行政だからこそ、できることがあるはず。市の対応が注目される。 (小形佳奈)

 

では、東京新聞の対応にも注目していこう。

慰安婦像というヘイトに苦しむ海外の日本人へは、どのような態度をとるのだろうか?
「自分たちは常に注目する側にいる人間であって、注目される側にはなりたくない」
なんてことは言わないはず。

 

おまけ

2016年12月22日の韓国の新聞で、大阪の寿司屋で「韓国人に出す寿司のわさびが多かった」ということが書いてある。

そのことを「テロ」と表現している。

「当時、大阪市のある寿司屋でわさび『テロ』に遭ったという主張が出る」と書いてあるという。

テロ?
こういう表現に違和感を覚えてしまう。

日本の新聞やテレビでは、靖国神社で韓国人が爆発物をしかけて実際に爆発させた事件でも、「テロ」という表現は使わなかった。
なんで、ワサビの大盛りは「テロ」になって、靖国神社の事件は「爆発音事件」なのか?

どのようは言葉を使うかは、その人の選択基準にもとづいている。
その選択基準は、その人の思想から生まれている。

その思想とヘイトとは、大きく結びついていると思う。

 

良かったら、こちらの記事もどうぞ。

日本のヘイトスピーチを考えよう①福島の仏像破壊事件のマスコミ報道

日本のヘイトスピーチ②マスコミが報道しないと外国人憎悪が広がる

日本のヘイトスピーチ③マスコミの外国人犯罪の報道をチェックする動き

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。