ウソ情報(フェイクニュース)に注意!ポスト・トゥルースの考え方

 

NHKの「クローズアップ現代」という番組(2017年2月6日放送)で、「フェイクニュース」の特集をしていた。

デタラメな情報がネットで拡散されて、多くの人が騙(だま)されしまう。
これが現代では、世界的に大きな問題になっている。

 

日本では2016年の熊本地震のあと、動物園から出てきたライオンが街をうろついている衝撃的な画像がツイッターで拡散された。

でもこれは大ウソ。

このとき熊本では余震がつづいていて、人々は不安に思っていた。
不安定な心理状態だったこともあって、このデマを本当だと思った人たちがSNSにのせてしまったことで大問題になった。

「熊本の動物園からライオンが逃げた」というニセ情報を流した20歳の男は結局、動物園の業務を妨害したとして逮捕されている。

 

今はだれでもネットをつかうような時代だから、自分が手にいれた情報が事実かウソかを見ぬく能力は本当に必要になる。

いわゆる、ネットリテラシーの能力というヤツですよ。

 

じゃ、どうやってウソか本当かを判断したらええねん?となると思う。

すべての情報を完全に見ぬくなんてたぶんムリ。
でも、外国人がよくつかう「ポスト・トゥルース」という考え方を知っていたら、少しはわかると思う。

NHKのクローズアップ現代(2017年2月6日放送)で、ジャーナリストの池上彰さんがこの言葉を解説していた。

去年の英語圏のいわゆる流行語として選ばれたのが「ポスト・トゥルース」。
要するに、人は真実ではなくて、とにかく感情的に心が揺さぶられれば、それでいいと。
真実は二の次だというようなことが広がっている、これが去年の流行語に選ばれた。
もはや、そういう時代になっているのかということですよ。

フェイクニュース特集 “トランプの時代” 真実はどこへ

 

だれでも、他人に騙(だま)された経験はあると思う。

「なんであのとき、自分はあんな話を信じてしまったんだろう?」
なんて、今になってふり返ってみたらどんな発見があるだろう?

 

さっきのポスト・トゥルースの説明に、思いあたることはないかい?
「とにかく感情的に心がゆさぶられれば、それでいい」ということで、人は自分の気持ちに強くうったえかけてくるような情報を信じてしまいやすい。

「ええ!本当に?」とおどろいたり「うわっ、かわいそう」と同情したりすると、それがフェイクニュースか事実か、考えて判断する力がにぶってしまう。

ネット社会の今では、ウソとホントを見ぬくことが本当にだいじ。
「ポスト・トゥルース」という考え方は、知っておいたほうがいいよ。
だからクローズアップ現代が今、この特集をくんでいるのだろうから。

 

ボクがインドを旅行していたときに、こんな話を聞いたことがある。

「なあ、知ってるか?インドの物ごいって親が子どもの手足を斬るんだぜ。五体があるままだと、かわいそうと思ってもらえないから。お金をもらえるように、親が善意で子どもの手や足を斬ってしまうんだ」

もちろんこれはデマ。
でも、ボクはこの話におどろいた。
「本当に!」と衝撃をうけたボクは、他の旅行者に「なあ、知ってるか?」なんて話してしまった。
結果的に、ウソを拡散したことになる。

ほかにも、インドでは「女だるま」という話もきいたことがある。
これもウソだろうけど。

 

ただ、インドにはそんな雰囲気はある。
「これはホントなんだって!ここはインドだから」と言われると、なにを聞いても「あるかも」と思ってしまう。

その意味でインドはひどい風評被害をうけている。

 

今でも旅行ブログで、「カンボジアではポルポト派の虐殺によって、300万人が殺された。これはカンボジアの人口の3分の1にあたる」なんて書いてあるものを見る。

「おいおい」って感じだよ。

 

くり返しになるけど、人は感情的に心がゆさぶられると、ついつい本当だと信じてしまうことがある。

他にも、「人は自分が信じたいことを信じる傾向がある」ということは昔からよく言われている。

韓国が嫌いな人たちの場合、「韓国人は日本人にこんなひどいことをした!」という情報があると、出どころを確認しないで信じてしまいがちになる。

逆に親韓で日本が嫌いな人だと、「日本はむかし、韓国にこんなにひどいことをした!」というニュースに飛びついてしまうことがある。

どちら要注意ですよ。

 

最悪、自分が騙(だま)されるだけならいい。
間違った情報をまわりの人に伝えてしまうと、自分の信用をうしなってしまう。
後から「おまえにはだまされた!」と怒られるだろう。

ブログを書くときにも要注意。

なにかの情報を知って他の人におしえたくなっても、一度気持ちを落ちつかせて、次の日に送るかどうかを決めてもいい。

 

 

2016年に、韓国で「鬼郷」という映画が公開されている。
これは慰安婦についての映画で、韓国では記録的なヒットになった。

映画の内容はつくり話や演出であって、歴史の事実ではない。

なかにはこんな、とんでもないシーンがある。

強制連行だけでもあり得ないが、映画はさらにあり得ない話を、史実であるかのように描いている。

「毎日、性の労働を強いられる少女たちは脱走を試みたり、病気になったりします。そうした少女たちを、日本兵は大きい穴の縁に座らせ一斉に銃殺して穴に放り投げる。または生きたまま穴に突き落として、ガソリンをかけて、焼死させるという内容です」と、呉氏。

「 映画「鬼郷」に見る韓国反日感情の虚構 」

 

まちがったことが事実として広がることで、日本人への憎悪がどんどん高まってしまう。
そうなったら、日本と韓国の関係は悪くなるいっぽうだ。
じっさいに、そういうことをしている人がいる。

さっきいった親韓で日本が嫌いな人だと、「日本が韓国にひどいことをした!」という情報を信じやすいと思う。

日本を批判することはいいけど、それは事実にもとづいてするべき。
まちがった情報で日本をおとしめることは、見ていて気持ちのいいことではない。
こんなことをしていたら、韓国人は日本人を嫌いになって日本人も韓国人を嫌いになっていく。

「ポスト・トゥルース」という考え方をおぼえておこう。
自分の感情がゆさぶられた情報には、要注意!

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。