満州の旅④トラブルは旅に慣れると訪れる。飛行機に間に合わない!

 

これから満州へ向けて旅たつ。
そのために、まずはセントレア空港へは7時についた。

飛行機が出発する時刻の1時間30分前。

飛行機のチケットを買った旅行会社では、「空港へは、出発時刻の2時間前までにはつくようにしてくださいね」といわれた。
というか、念をおされた。
そんなにいいかげんな人間に見えるのだろうか。失礼な。

「海外旅行にいくなら、空港へは2時間前に」ということはよくいわれる。

 

この電光掲示板で、受付カウンターをさがす。
アラビア語だと、なにがなんだかさっぱりわからない。

 

ボクが空港についたら、

1、搭乗券をもらうため、受付カウンターの位置をボードで確認する。
2、その受付カウンターの列に並ぶ。
たいていの場合、これに一番時間がかかる。
3、搭乗券をもらったら、荷物のセキュリティーチェックをうける。
4、出国の手続きをすませる。
5、飛行機にのるゲートまで移動して、そこで搭乗を待つ。
てなもんだ。

2時間あったら余裕をもってすませることができるでしょ。
ということになっているんだろう。

 

でもこの2時間という目安は、「初心者もふくめて」ってこと。
えらそうに言わせてもらえば、飛行機にはもう50回ちかく乗っている(たぶん)。
空港でやることはどこの国でもほとんど同じだし、することの流れは頭のなかにはいっている。

だからボクぐらいのレベルの経験をつんだ旅行者なら、1時間15分も前につけばじゅうぶん。
2時間も前についてしまったら、かえって時間をつぶすことに困ってしまう。

免税店?
興味がない。それ以上にお金がない。
食事?
空港の食べ物は高すぎる。
だから2時間前に行っても、することが何にもナッシング。

 

カタールの空港
だった気がする。

 

そもそもセントレアから韓国や台湾まで2時間に行けるのに、空港ですごす時間が2時間というのはどういうことだ?
時間のムダ、ムダ、ムダ。

ボクには1時間15分前でじゅうぶんッス。

そう思ってました。
あのときまでは(遠い目)。

 

登場ゲート。
ここまで来たら、あとはひたすら待つべし待つべし。

 

「天災は忘れた頃にやってくる」

そういったのは、物理学者で文学者の寺田寅彦らしい。
ボクのばあいも、旅のトラブルは「旅慣れてきたな」と思ったころにやってきた。

 

旅の達人のボクは、そのとき出発時刻の1時間20分前にタイのバンコクの空港についた。

搭乗券の受付カウンターの場所を確認して、そこへGO。
受付カウンターに近づくと、とんでもなく長い行列が見えてきた。
背筋に冷たいものを感じる。

予感的中。
それは、オレが並ばなくちゃいけない列だった。

 

なんだろう?
この、かつて見たことないような後頭部の数は?
並ぶ通路がつくられていて、列が何重にもおり重なっている。
小腸かよ。

 

「ルールを守ることにかんして、世界でもっとも厳しいのは日本人かドイツ人か?」

といわれるぐらい、きまりには厳格な日本人としては最後尾につくしかない。
でも、並んで5分で「あ、これはダメなやつだ」ときづく。

列が乳とし、いや、遅々としてすすまない。
もう、ルールとかいっている場合じゃない。
この飛行機に乗り遅れたら、日本に帰れなくなる。

 

「オレなら1時間15分前でじゅうぶん」
そんなことを思っていた自分を、肩をガクガクゆすって「空港なめんてんじゃねえよ!自称・旅の達人さんよお!」と言ってやりたくなった。

 

「列の先頭の人に、頼みこんで入れてもらうしかない!」

でも、シャイなボクにそんなことを言えるのだろうか?
なんて考える余裕もなく、意を決してその場を離れて前へすすむ。

「なんだコイツ?」
列の横をすすむボクを、外国人がそんな目で見ていた。
かもしれない。
そのときは、まわりの目なんかまったく意識になかった。

列の先頭にいたのはアジア人。
たぶんタイ人。
彼と目があう。
「なんだ?オレか?」と、そのアジア人怪訝(けげん)そうな顔をする。

「飛行機の搭乗時間がもうすぐなんです。間に合わなんです!お願いです。先に入れてください!」

「お父さん、娘さんをください!」なみに、必死の思いで頼みこんだ。

 

 

「いいよ。次は君が行けばいい」

と、順番をゆずってくれた。
こっちが拍子抜けするぐらいあっさり。

ニコニコしている彼の手をにぎってお礼を言う。
彼のおかげで、ぶじに手続きを終えて搭乗券を手にすることができた。
よし、これで飛行機が出てしまうことはないだろう。

 

安堵感(あんどかん)を覚えて彼をさがす。
ボクの横で受付をしていた。
ボクと目があうと、彼が親指を上げて白い歯を見せる。
涙がこぼれそうになった。

と、こうなるもんだと思ってた。
でも、現実はそんなに甘くはない。

 

こちらの記事もいかがですか?

日本のサービス③日本の百貨店が、韓国に文化革命をもたらす

越後屋(三越)、世界初となる定価制(現金掛け値なし)を始める

日本のサービスの歴史①越後屋(三井高利)が切売りを始めた男気

日本はどんな国? 在日外国人から見たいろんな日本 「目次」

「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?

 

2 件のコメント

  • 「時間のムダ」という感覚がある国のほうが世界では珍しいのかもしれないですね。「時間のムダ」を減らせるのは物事が決まった時間通り動いていることが前提なのでしょう。シエスタなんて時間のムダにしか思えないですけど、その国の人にとってみたら当たり前なんでしょうし。ただその感覚の違いを実感できるのも海外旅行の価値なんだと思います。
    大学生の時はあまり時間を気にせず海外に行けたんですけど、今は不可能です。

  • 日本人は「時間のムダ」の感覚に厳しいでしょうね。日本に住んでいる外国人が、エレベーターで日本人が「閉」のボタンを何度も押しているのをみてあきれてました。笑。
    シュエスタの習慣は、フィリピンにもあります。これはスペイン当地の影響ですけど。あの時間は大事だそうです。
    海外旅行では時差をあわせるより、現地の時間感覚を現地に合わせるのが大変だと思います。ボクも今は時間をお金で買ってます。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。