ヨーロッパでの徴兵制の動き・ボランティアの本当の意味

 

「え?フランスで徴兵制が復活するの?」

アゴラの記事(2017年03月22日)を読んでおどろいた。

フランスで徴兵制度復活へ!男女に軍事訓練義務

 

フランスでは4月に大統領選挙がおこなわれる。

立候補している人たちのなかで、有力な候補者とされるマクロン元経済相が徴兵制の復活を提案した。
今、この発言が注目を集めているらしい。

 

つい最近も、スウェーデンが徴兵制を復活させることを決めた。

ハフィントンポストの記事(2017年3月3日)にそのことがかいてある。

「スウェーデン、ロシアの脅威から徴兵制復活へ 女性も対象」

このタイトルにあるように、これは隣国のロシアの動きに対応したもの。
ロシアが軍事大国化していて、武力を背景にした外交をくり広げている。

そうした動きをうけて、スウェーデンは軍事力を強化するために徴兵制の復活を決めた。

それにしても、女性まで徴兵されるとはね。
これにはおどろいた。

 

アゴラの記事によると、これはヨーロッパの一部の国だけではなくて、ヨーロッパ全体として徴兵制を復活させる動きがあるという。

ヨーロッパでは、軍事技術の高度化を受けて1990年代から2000年代初頭にかけて徴兵制度が廃止されたのだが、最近、移民問題やテロ対策を受けて兵役復活の動きが急だ。

 

昨日もイギリスでテロがおきている。
現実に起きていることに対応していかなかったら、手遅れになってしまう。

ドイツでもメルケル首相が「徴兵制の復活もあり得る」といっている。

 

さいわい、日本では徴兵制を復活させる動きはない。

でも昨年、日本の防衛費が過去最高になることが話題になった。

くわしくはこの産経新聞の記事をみてください。

防衛費、過去最大の5.1兆円へ 29年度予算案、中国・北朝鮮対応

 

スウェーデンは、ロシアの軍事大国化に対応するかたちで徴兵制を復活させている。

日本の防衛費の増大も、やはり隣国の北朝鮮や中国の影響が大きい。

北朝鮮は核開発をすすめるし、ミサイルを発射して日本の安全をおびやかしている。
中国は南シナ海に進出していて、沖縄の離島に住んでいる人は危機感をつのらせている。

日本も日本を取りまく環境に応じて、現実的に対応しないといけない。
気づいたときには、もう手遅れだった。
そんなことにはならないように。

友人のフィリピン人はこんなことを言っていた。

「香港からイギリス軍出て行って、フィリピンはアメリカ軍を追い出した。気がついたら中国軍が目の前にいた」

 

前にイギリス人と「ボランティア」について話をしていた。

日本でボランティアというと、「自分から進んで社会事業に参加して、世のため人のために活動する」というイメージがあると思う。

でも、もともとボランティアという言葉は「志願兵」という意味だった。
自分から進んで国を守るために戦う兵士のことをいう。

その自発性から、今の日本でいうボランティアという意味になっている。

ボランティア(英: volunteer)とは、自らの意志により参加した志願兵のこと。長じて、自主的に社会活動などに参加し、奉仕活動をする人のこと。また、奉仕活動そのものを指すこともある。

(ウィキペディア)

 

イギリス人と「志願兵」の意味でのボランティアについて話をしていたとき、彼女がこう言っていた。

「今のイギリスでは、ボランティアの必要はないわ。その代わりにイギリス軍が国を守ってくれているから」

この言葉を聞いておどろいた。
「軍隊があるおかげで、ボランティア(志願兵)の必要はない」
こういう考え方にふれたのは初めてのことだったから、このときの言葉は印象に残っている。

世界では、これは常識的で当たり前の考え方なんだろう。

 

でも日本に生れてから今まで、日本の社会でこんな言葉を聞いたことがない。

なんで日本ではボランティア(志願兵)の必要がないのか?
その代わりに自衛隊が働いているから。
いろいろな理由があるけど、これは確実にいうことができる。

でも、そのことに気がついている日本人はほとんどいないと思う。

 

 

今回の記事を読んで、「自衛隊よりの考えだな」と感じた人もいると思う。

ハッキリ言ってそれはある。

ボクの友人が航空自衛隊で働いていて、ソイツからいろいろな話を聞く。
たいていはどうでもいい話だけど、たまに気がつかされることもある。

ソイツの話を聞くと、ふつうの日本人が平和で安全な生活ができるのは、自衛隊の人たちの働きがあるからだということがわかる。
「あたり前」は、それを支えている人がいることで成り立っている。

ソイツの人間性にはかなりの問題がある。
けれど、彼が日本のためを思って活動していることには素直に感謝している。

だから、読み手が「自衛隊よりだな」と思うことおかしくない。

でも、日本の国防で「中立」という立場もよくわからないけど。

 

ヨーロッパで、スウェーデン以外の国でも徴兵制が復活するのか?

この議論はまだまだ続くだろうし、日本のマスコミでこのニュースを知る機会はきっとある。

そんなときに、日本で徴兵制が必要ない理由や毎日をふつうに過ごすことができる背景について考えていいと思う。

当たり前のことには、それなりのワケがあるから。

 

中国人で、「羅将軍」とよばれる元軍人がいる。
「尖閣諸島に軍艦派遣、わが国の軍事施設作れ」なんて過激なことを言って話題を集めていた。
言っていることがあまりに現実離れしていたから、日本では「ネタ」にされることもしばしば。

そんな羅将軍はこんなことも言っている。

「何でも平和的手段で解決しようとするのは平和ボケだ」

この内容が正しいかどうかは別として、頭の体操として考えてもいい。

 

 

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。