今の韓国人は漢字をどう思う?漢字を読めないハングル世代はいつから?

 

インドを旅行していて、たまたま知り合った韓国人と中国人の旅行者とカレーを食べに行くことになる。

食事の後、おたがいの連絡先を交換するときに、韓国人の女の子だけ自分の名前を漢字で書くことができなかった。

今の韓国の社会では漢字をつかう機会がない。
「だから漢字を忘れてしかたがないし、気にすることもない」とボクと中国人が言ったけどその子は落ちこんでしまう。

前にそんなことを記事に書いた。

 

青い寝袋にくるまっているのがその韓国人の女の子

 

そんな一件があってから、こんな疑問をもつようになった。

「漢字を読めないハングル世代は、いつから出てきたのだろう?」
「今の韓国人は、漢字はどう思っているのだろう?」

そんなとき出会ったのが、レコチャの記事です。

4月5日のレコードチャイナの記事から、「今の韓国人が漢字をどう思っているのか?」ということがチョイとばかり見えてくる。

韓国大統領候補がハングル使わず漢字でサイン=ネットから批判

 

来月5月に韓国で大統領選挙がおこなわれる。

それを前にして、それぞれの候補者がサインをしてそれを公開した。
そしてその人の文字を見ては、韓国人がああだこうだ言っている。

たとえば中央日報は、安(アン)候補が書いた字を「小学生のような筆跡」と書いていた。
当然これは低評価。

韓国も漢字文化の国だったし、一国のリーダーである大統領にはそれなりの達筆さが求められるみたいだ。

 

 

でも多くの韓国人が批判したのは、「小学生のような文字を書いた」という安(アン)候補ではなくて、自由韓国党の洪(ホン)候補のほう。

その理由は、この人がハングル文字をまったくつかわなかったから。

毛沢東の思想である「天下大乱して大治に至る」から「大乱大治」の4字を大きく漢字で書き、自身の名前も漢字で記した。

韓国大統領候補がハングル使わず漢字でサイン=ネットから批判

昔の中国の偉人ならわかるけど、なんで今、毛沢東の言葉をつかうのか?
このセンスがわからない。

それはいいとして、洪(ホン)候補がハングル文字ではなくて漢字で書いたことが問題視された。
漢字を見て「気に食わない」と感じた韓国人がたくさんいた。

ネットではこんな反応があったらしい。

「ハングルを差し置いて漢字とはどういうことだ?」
「ここで漢字とはムカつく」
「だいたい無知な人間ほど漢字を使いたがるものだ。無知だとばれないようにね」

(同記事)

 

漢字を読めないハングル世代の韓国人からしたら、漢字だけというのは鼻につく(嫌味に感じられる)のかもしれない。

 

 

以前は韓国人も漢字をつかっていた。

けれど、朴正熙(1917-1979)が大統領をしていたときに「ハングル・ナショナリズム」がおきて、漢字をハングル文字に書きかえるようになる。

朴 正煕(パク・チョンヒ、ぼくせいき)

職業軍人だったが、1961年の軍事クーデターで国家再建最高会議議長に就任し、1963年から1979年まで大統領(第5代から第9代)を務めた。彼の時代に『漢江の奇跡』と呼ばれる高度経済成長が実現されて韓国は世界最貧国の層から脱した。

(ウィキペディア)

韓国軍の軍服を着用した朴正煕(ウィキペディア)

この朴正熙の娘が朴槿恵(パククネ)元大統領。
父親の朴正熙は暗殺されて、娘は今囚人になっている。
韓国の大統領をしていた人で、幸せな一生をすごした人は少ないと思う。

 

朴正熙が大統領をしていたときに「ハングル・ナショナリズム」がおきて、街の看板や新聞紙から漢字が消えてハングル文字になっていった。
そして韓国の社会から漢字が消えていく。

そして漢字を読めない韓国人が増えていく。
そんなハングル文字世代の韓国人から見たら、「ハングルを差し置いて漢字とはどういうことだ?」とか「ここで漢字とはムカつく」という感想をもつようになるのだろう。

*今の韓国人は学校で漢字を習うけれど、じっさいの生活でつかう機会はないも同然。漢字の力なんて必要とされないから、身につかない。

 

朝鮮時代の王宮「景福宮」の正門
朴正熙時代、この「光化門」の文字も漢字からハングル文字にかえられた。
「これはさすがにやり過ぎだ」ということで、また漢字に戻されている。

 

「小学生のような文字」とこき下ろされた安(アン)候補だけど、最新の調査では支持率が1位になっている。
この人が今もっとも大統領に近い。

聯合ニュースの記事(2017年4月10日)にそのことが書いてある。

世論調査会社のコリアリサーチが9日発表した大統領選の支持率調査結果によると、安氏が36.8%で1位を記録し、文氏が32.7%で2位となった。

韓国大統領選支持率 安哲秀氏が文在寅氏を逆転

大統領にとって一番大事なことは、上手な字を書くことではない。

国民にとって必要な大統領はどっちか?

きれいな文字を書くけど無能な大統領。
汚い文字を書くけれど国民の生活を豊かにしてくれる大統領。

考えるまでもなく、後者のほうがいい。
韓国だけではなくて世界中の人がそう思うはず。

 

朝鮮時代は両班(リャンパン)という人たちが国を支配していた。

 

次の大統領をだれにするかは韓国人が決めること。

だけど、だれが大統領になるかで日本にも影響がでてくる。
だから日本にとってもこの結果は気になるところ。

困ったことに、今の有力な候補者すべてが慰安婦問題の日韓合意を否定的に考えている。
合意のやり直しや破棄を主張している人ばかり。

でもこればかりは「やっぱり、やり直し!」なんて通用するわけがない。
自分が約束したことを自分で破ってしてしまう人間は、だれからも信用されない。
それは国も同じ。

「日韓合意を破棄する」するなんて言い出したら、韓国は日本やアメリカから相手にされなくなる。

ということで、日本からしたら今の韓国に必要なことは、「天下大乱して大治に至る」よりも「民信無くば立たず」(国民の信頼がなければ政治は成り立たない)だと思う。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。