東南アジアの大河、メコン川を知る。その意味・由来・問題

 

日本にはなくて外国にあるもの。

まあ、いろいろある。
そのひとつに「国際河川」というものがある。

こくさい‐かせん【国際河川】

数か国の領域を貫流し、または国境となっている河川で、条約によってすべての国に航行の自由が認められているもの。

デジタル大辞泉の解説

 

広大な大陸には、いくつかの国を流れる大河がある。
ヨーロッパのドナウ川やライン川なんかが有名。

 

赤い線がドナウ川

画像はウィキペディアから。

 

ドナウ川については「青き美しきドナウ」なんて名曲もある。
オーストリアでは「第二の国歌」と呼ばれているもの。
世界的に有名な曲だから、一般常識として覚えといても損はない。

ちなみに、ドナウ川はヨーロッパで2番目に長い川。
ヨーロッパでもっとも長い川はロシアのヴォルガ川になる。

 

四方を海でかこまれている島国の日本には、国際河川なんてものはない。
国際河川を見たかったら外国に行くしかない。

東南アジアに行けば、メコン川を見ることができる。
メコン川は東南アジア最大の国際河川だ。

メコン川は、日本でもっとも有名な国際河川かもしれない。
日本人にとっては、中学校の地理の教科書でおなじみだから。
東南アジアを旅した人なら、メコン川の流れを前にしてビールのグラスをかたむけた人も多いはず。

 

ここで質問。
メコン川が流れている国はどこでしょう?

 

 

 

 

答えは下の地図にある。

 

 

メコン川が流れている国は、中国・ミャンマー・タイ・ラオス・カンボジア・ベトナムの6か国。
日本列島と比べるとメコン川の長さがよく分かる。

 

個人的にメコン川には疑問があった。
そもそも「メコン」とは何語なのか?

いくつもの国に流れているのなら、「メコン」とはどこの国の言葉なのか?
調べてみたら、メコンとはタイ語でそれぞれの国にも呼び方がある。

メコン川はタイ語系の呼称で、瀾滄(らんそう)江(中国)、トンレトム川(カンボジア)、クーロン川(ベトナム)などの別称がある。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

 

さらに細かくみると、メコンは「メ」と「コン」に分かれる。
メは「母」でコンは「水」という意味で、メコンは「母なる川」になるらしい。

外務省のサイトにこんな説明がある。

「メコン」という言葉はどこからきているか、知っていますか?

その由来には諸説ありますが、一説によると「メー」はタイ語やカンボジア語で「母」を意味し、「コン」は「水」を表すカンボジア語からきているそうです。つまり「メコン」は“Mother Water“、日本語にすると「母なる川」というわけです。

メコン河

 

さらに、「コン」という言葉をとり上げる。
ウィキペディアには、「コン」という言葉はインドの「ガンガー(ガンジス河)」に由来するという説が有力である、と書いてある。

「メコンという川の名称はガンガーに由来する」という説は旅行者にとってはおもしろいと思う。
さすがインドシナ(インド+シナ:中国)と呼ばれるだけはある。

 

 

ラオスのメコン川

 

いくつもの国を流れる国際河川だからこそ、生まれる問題もある。

ベトナムを旅行したときは、現地のベトナム人からはこんなことを聞いた。

「中国がメコン川を変えてしまっている。だから私たちが困っているんだ」

上流にある中国がメコン川に何かをすると、その影響は水質汚染や漁獲量の減少となって、下流に住んでいるベトナム人がモロに受けるという。

 

さらに最近では、タイ人が中国に怒っている。
中国がメコン川で爆破工事をおこなう計画をしていて、その影響を受けることになるタイの人たちが中国に抗議しているという。

これはそのことを伝える5月24日の産経新聞の記事。

中国のメコン開発にタイ市民反発 急流爆破、生態系への影響懸念

 

中国は、南部の雲南省からラオスのルアンプラバンまでの区間で、500トン級の船舶を航行させたいと考えている。

そのためには、この区間のメコン川のはばをもっと広げる必要がある。
ということで中国は、メコン川の約百キロの間で岩を爆破して川を拡張しようと計画している。

これにタイの人々が待ったをかけた。

メコン川は中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを通り、流域6000万人の生活を支える。爆破で生態系や水量などに影響が出れば被害は甚大で、環境保護団体が反対運動を展開してきた。

中国のメコン開発にタイ市民反発 急流爆破、生態系への影響懸念

 

国際河川の上流にある国がよりによって中国。
東南アジアのこの運命はもはや罰ゲーム。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。