日本と中国の餃子の違いは「火と水」。中国にはない餃子定食。

 

日本文化のなかには、中国にその起源があるものが多い。

中国から伝わった文化が長い年月をへて、日本を代表する文化になる。
そして世界から高い評価をうけるようになると、中国としては面白くない。

 

ということで、たまにこんな記事がでる。
中国メディアの今日頭条がこんなことを書いている。

記事は、「日本が中国から奪った文化のなかには、日本を象徴する存在になったものも少なくない」とし、その例として畳や和服、相撲、芸妓、下駄、京都、桜、茶道などを挙げた。

あれも、これも日本を象徴する存在に・・・わが国が起源なのに=中国報道

 

中国から伝わったとしても、すべて日本で独自の変化が加えられている。
中国のものとは別物。
だからパクリではなくて、立派な日本の文化。

まあ、中国が「奪われた!」と感じていることも、分からなくもないけどね。

今回は中国生まれの中国料理で、日本に来てから日本風にアレンジされた料理について書いていきたい。

それは餃子。

 

 

餃子の歴史は古い。
中国では、春秋時代(紀元前6世紀ごろ)の遺跡から餃子が食べられていた痕跡こんせきが発見されているらしい。

餃子は中国から日本に伝わった料理ではあるけれど、日本の餃子は中国の餃子とはちがう。
ウィキペディアの餃子のページにはこんな説明がある。

餃子の発祥地である中国の餃子から解説し、その後、それを独自に進化させた日本の餃子について解説する。

 

中国で餃子といえばふつうは水餃子のことをいう。
でも日本で餃子といえば、焼き餃子のことだ。

つまり中国の餃子は水で、日本の餃子は火ということになる。

 

中国の餃子

ちなみに、中国語で日本の餃子は「鍋貼」という。

中国の餃子で、北方・南方のいずれでも最も一般的なのは「水餃」(shuĭ jiăo)(=水餃子)で、
その次は「蒸餃」(zhēng jiăo)(=蒸し餃子)。

日本でいう焼き餃子は、中国では揚げ餃子と並んでなかなか見当たらない種類で、
「鍋貼(兒)」(guō tiē(r))と称される。

鍋貼

 

中国では水餃子が多い。
そのせいだと思うけど、焼き餃子の作り方を知らなくて、日本人に餃子の皮の包み方を教えてもらったという中国人がいた。

ちなみに香港人に話を聞くと、香港をふくめた広州では水餃子よりワンタンが多いらしい。

 

中国人には日本の「餃子定食」というものが理解できないらしい。
日本の餃子定食では、ご飯が主食で餃子がおかずになる。

でも、中国で餃子は主食であっておかずではない。
中国人にとって「餃子にご飯」という組み合わせは、「主食に主食」になってしまう。
だから、餃子定食というものは考えられないらしい。

 

「餃子定食おいしいのに・・・」
と思っても、中国の水餃子を食べたら中国人の気持ちが分かる。
中国の餃子はボリュームがある。
中華まんほどではないけど、皮が厚くてかなりお腹にたまる。

餃子とご飯をいっしょに食べるというのは、感覚としては小籠包とご飯を食べるようなもの。

この組み合わせは合わない。

 

静岡人のボクが関西へ行ったときに、同じようなことを感じた。

大阪には、「お好み焼きとごはん」とか「たこ焼きとごはん」といった「主食の重ね食べ」をする人がけっこういるらしい。
「お好み焼きはおかず」、「たこ焼きはおやつ」と公言する大阪人もいた。

この感覚が静岡人のボクにはよく分からない。

「お好み焼きにご飯?炭水化物に炭水化物は、絶対体に悪いだろ?」

と思っていたら、やっぱり大阪府が大阪人に注意を呼びかけている。

府は資料の中で、「『主食の重ね食べ』は、おいしくて、お腹いっぱいになる、大阪でよく見られる食べ方」としながらも、「太めの人、『主食重ね食べ』にご用心!」と注意を呼びかけている。

「お好み焼きにごはん」はご用心! 大阪府警告、でも関西人「絶対無理!」

 

ふつうの中国人は「餃子=水餃子」と考えているから、「餃子定食なんてあり得ない!」となる。
でも日本の餃子(焼き餃子)を知ると、「これはアリだな」と思う中国人も多いらしい。

 

結局、餃子という言葉は同じでも実態がちがうのだ。

五行という中国思想でいえば、中国の餃子は水で日本の餃子は火になる。

五行思想(ごぎょうしそう)または五行説(ごぎょうせつ)とは、古代中国に端を発する自然哲学の思想。万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説である。

(ウィキペディア)

 

五行によると、水は火を打ち消してしまうらしいけど。
これを相剋そうこくという。

相剋の反対を「相性あいしょう」という。
「私はあの人と相性がいい」の相性。
中国の餃子はご飯と相性が悪い。

 

五行(ウィキペディア)

 

ラーメンも中国から来て日本で独自の進化をとげて日本を代表する料理になった。
アメリカのニューヨークにも一蘭はある。
でも一杯2000円ぐらいするらしい。
値段だけがアメリカで独自に進化している。

 

餃子については、浜松市民としてウィキペディアのこの一文もつけ加えておきたい。

日本の餃子は、浜松市が有名であり、消費額は日本一である。

 

日本で有名な餃子都市には、他に宇都宮市がある。
浜松市と宇都宮市の餃子をめぐる争いを、「餃子戦争」なんていうことがある。

でも、浜松市民がライバル心を燃やしているのは、宇都宮市ではなくて静岡市だろう。
「浜松の人は宇都宮をライバルだと思っている」なんて言われるのは、個人的にけっこう心外。
「浜松市より静岡市のほうが発展しているな!」と、外国人に言われるほうがイラっとする。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。