日本とアメリカ、かかえる社会問題の違い。痴漢か人種差別か?

 

今、日本とアメリカで電車の中で起きたことが、それぞれの国で社会的な問題になっている。

同時期に起きたことだけど、問題の性質はまったく違う。
それぞれのできごとから、日本とアメリカの特徴や社会がかかえている問題が見えてくる。

今回はそのことを書いていきたい。

 

 

今の日本で、電車にかかわる大きな問題といえば痴漢と痴漢のえん罪だろう。

「この人痴漢です!」と疑われた男性が電車を飛び出して、線路に降りて走って逃げてしまう。
テレビや新聞で最近こんなニュースをよく見る。

5月15日には、横浜市でとうとう死亡者が出た。
痴漢を疑われた男性が線路に飛び降りたところ、別の電車にはねられて亡くなった。
この事件はいろいろなメディアが大きく報道していたから、知っている人も多いと思う。

 

電車ではなくてマイカーを使っている自分からしたら、「何もしてなかったら、逃げなきゃいいのに」と思ってしまうけど、実際にはそんな単純にはいかないらしい。

テレビ番組の「モーニングショー」で識者がこんなことを言っている。

青木理(ジャーナリスト)「刑事司法の問題もあって、(痴漢を)認めれば在宅調べになるが、否認すると場合によっては逮捕、拘留されて、なかなか釈放されない。『人質司法』というんだけど、日本の警察はそういう傾向が強いことは事実」

ついに死者が出た線路飛び降り逃走ケース!痴漢疑われた30代男性、東急田園都市線・青葉台駅で

 

男性が何もしていなくても、逮捕されてしまうことがあるらしい。
今では、痴漢のえん罪から身を守るための「男性専用車両」の導入を希望する声がたくさんある。

 

こうなると、「弱者」の意味が少し変わってきてしまう。

社会的弱者(しゃかいてき じゃくしゃ、英: socially vulnerable)とは、一社会集団の成員でありながら、大多数の他者との比較において、著しく不利な、あるいは不利益な境遇に立たされる者(個人あるいは集団)のことである。

(ウィキペディア)

 

20年ぐらい前、ボクが大学生だったころは女性が絶対的な弱者だった。
痴漢である男性から、一方的に被害を受けていたのが女性。

それが今では、男性も弱者になっている。
今でも日本全体でみたら、女性が弱者であることには変わらないとは思う。

でも弱者から「この人です!」と指をさされたら、身を守ることは本当にむずかくなる。

痴漢のえん罪から身を守るために、「男性を守る弁護士保険」なんて保険もある。
こんな保険は20年前だったら考えられなかった。

 

日本の「女尊男卑」の空気は子どもたちにも広がっているらしい。

女子はズルいと小中高男子に蔓延する「女子キライ」症

 

 

一方、アメリカで起きている問題は、痴漢ではなくて人種差別。

アメリカ人に聞くとアメリカでも痴漢がいるにはいるらしい。
でも日本のように、社会的な問題になっていないという。

そんなことよりも、人種差別問題のほうがはるかに深刻。

 

この男性は地下鉄の車両の中で、何をしていると思いますか?

Gregory Locke/Facebook

 

2017年2月のこと。
この男性が地下鉄に乗りこむと、ある異変に気がついた。
車両のいたるところに、ユダヤ人を差別するような言葉やナチスをあらわす「卍(かぎ十字)」が書かれている。

ナチスをあらわすものというのは、そのまま人種差別をあらわしている。

 

これに気づいた男性は、ティッシュでこの落書きを消し始める。
それが上の写真。
これはその男性(グレゴリーさん)が、Facebookに投稿したもの。

グレゴリーさんの行為を見た他の乗客も続く。
ティッシュペーパーや殺菌ジェルで人種差別的な落書きを消し始めた。

 

グレゴリーさんと落書きを消す乗客。
Gregory Locke/Facebook

 

この投稿はすぐに話題になって、58万人の「いいね!」がつく。
そして38万件以、上シェアされることとなる。

これは「irorio」にある記事。

複数の海外メディアでも取り上げられ、「乗客一丸となって…という点に心が洗われます」「そうだ!憎しみを取り去ろう」「この時の乗客の皆さんを誇りに思う」といった称賛の声が続出している。

「消毒ジェル貸して」NYの地下鉄で差別的な落書きを消す乗客にいいね!58万件以上

 

これで終わればハッピーエンド。
でもそうはいかないのが、アメリカ社会がかかえている人種差別というもの。

こんな心温まる話に、冷や水を浴びせるようなことが3カ月後に起きた。

(ひ)や水(みず)を浴(あ)び・せる

意気込んでいる人に、まるで冷水をかけるように、元気を失わせるような言動をする。

デジタル大辞泉

 

 

場所はオレゴン州のポートランド。
朝の混雑した電車の中でその事件は起きる。

電車には黒人とヒジャブをかぶった少女が乗っていた。

 

ヒジャブはイスラーム教徒の女性が髪を隠すために身につけるもの。
ヒジャブとはアラビア語で「覆うもの」という意味の言葉。

ヒジャブをかぶったイスラーム教徒の女性。

 

すると、1人の男性がこの黒人女性とヒジャブをかぶった少女に人種差別的な言葉を浴びせる。

それを見た3人の乗客が止めに入る。
すると男が怒り出す。
そして3人をナイフで刺してしまった。

そのうち2人が死亡し、1人は重傷を負う。

この事件については、ニューズウィーク誌(2017/06/13)に記事がある。

 

 

日本の社会がかかえている問題は、痴漢と痴漢のえん罪。
アメリカの社会では人種差別。

それぞれ問題は、性質や被害の程度が違うから同じとはいえないけれど、人権にかかわる問題で解決が難しいという点では共通している。

電車の中で起きたことから、日本とアメリカの社会が今どんな問題をかかえているのかが見えてくる。

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。