イギリスという国とは?階級社会・日本の平等・アメリカ人との違い

 

はじめの一言

「いつも農夫達の素晴らしい歓迎を受けたことを決して忘れないだろう。火を求めて農家の玄関先に立ち寄ると、直ちに男の子か女の子があわてて火鉢を持って来てくれるのであった。私が家に入るやいなや、父親は私に腰掛けるように勧め、母親は丁寧に挨拶をしてお茶を出してくれる。
(リンダウ 幕末)」

「逝き日の面影 平凡社」

 

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今回の内容

・日本にはないイギリスの階級って?
・階級による「食事の仕方」のちがい
・アメリカとイギリスのちがい

 

・日本にはないイギリスの階級って?

イギリスって、どんな社会だ?

イギリスは「階級社会」として有名。
コリン・ジョイスというイギリス人のジャーナリストが、日本人にイギリスを紹介しているこんな本を書いている。

「イギリス社会」入門 日本人に伝えたい本当の英国」

この本で最初にあるのが、このイギリスの階級制度についての説明だった。

イギリスに「階級制度」があることは世界の誰もが知っている。

 

イギリスという国や社会を知るうえで、階級社会のことはぜひ頭に入れておいた方がいい。
ということで今回は、イギリスの階級社会について書いていきたい。

 

この記事を書くにあたって、イギリスに住む日本人のブログも参考にさせてもらった。

イギリスに存在する3つの身分制度とは?日本人が知らない現在の英国階級社会

イギリス人と現地の日本人の目をとおしてイギリスの階級社会を見ることで、分かりやすく理解できるようになると思う。

ちなみにこの日本人のブログは、「イギリス 階級」で検索すると一番はじめに出てくる。
だから日本で多くの人に読まれているということになる。

イギリスの階級というものは、日本人にとって理解がむずしいものらしい。

階級制度とは、読んで字のごとく、人々に順序を付け、身分を隔てることですが、現代日日本には存在しない概念です。
日本人の私達には、分かりづらい部分が多く、完全に理解することは難しいでしょう。

 

今の日本の社会にイギリスにあるような階級が存在しない大きな理由は、明治維新のときに行われた「四民平等」があると思う。

四民平等

明治維新により士農工商(四民)の封建的身分制度が撤廃され、華族・士族・平民の3族籍に再編変されたこと。平民に苗字、華士族との通婚、職業移転の自由を認めた。

(日本史用語集 山川出版)

 

階級に似たものは、江戸時代の「身分」だと思う。
これは明治時代に解体されている。
さらに、華族という地位も1947年に廃止されている。

こうした歴史的背景によって、現在の日本人には「階級」という言葉を聞いても、それがどういうものかを想像することが難しくなっていると思う。
だからイギリスの階級制度も理解がむずかしい。

*今の中学生の歴史教科書では、「士農工商」や「四民平等」という言葉が消えつつある。

 

・階級による「食事の仕方」の違い

むずかしいなりに、理解していきましょう。
まず、イギリスの階級にはこんなちがいがあるという。

イギリス人は、階級によって、英語のアクセント、服装、読んでいる新聞が違います。
彼らは、同じ階級同士で交わるのを好み、違う階級の人々を皮肉ります。

(同ブログ)

 

この階級ごとの具体的なちがいについては、イギリス人が書いた本に具体的に書いてある。

イギリスでは、階級によって食事の仕方がちがっているという。
日本でも食事の仕方で階級は分からないけど、「育ち」が分かることはある。

食時の習慣からも階級がわかる。
テーブルに着かず、トレイをひざなどに載せて食事をするのは、非常に貧しい層がすることだと現代のイギリスではみなされている。
正しいテーブルマナー(あるいは上流階級で正しいとされるマナー)は、けっこう厄介だ。

「イギリス社会」入門 日本人に伝えたい本当の英国 コリン・ジョイス」

 

ところで、自分が飲んでいるスープの残りが少なくなったら、みなさんはどうやって飲みますか?
器を持ち上げて、スプーンですくって飲むというのは論外。

器を自分のほうに傾けて飲むことも、イギリスの上流階級ではマナー違反となるらしい。

育ちのいい学生が集まる大学に行くとなったとき、ぼくは食事の席でドジをするまいと心に決めた。スープが残り少なくなったら、皿の手前を持ち上げて傾けることも学んだ(自分のほうに傾けるとガツガツしているように見える)。
(同書)

 

「イギリスでは、階級によって食事の仕方が違う」

このことで思い出したことがある。

昭和初期に、キャサリンというイギリス人女性が日本を訪れている。
彼女はイギリスの上流階級の女性で、日本人の食べ方を観察してこんな感想をもった。

労働者とそれ以外の日本人との間に食べ方の違いはありません。誰でも同じように食べます。

(東京に暮らす キャサリン・サンソン 岩波文庫)」

 

彼女がこのことを「発見した」と感じたというのは、当時のイギリスでは労働者とそれ以外の階級の人とでは、食事の仕方がはっきりとちがっていたということになる。

日本の社会ではこの時代から、イギリス人でいう「階級」というものがなく、イギリスよりは平等だったのだろう。

 

 

・アメリカとイギリスのちがい

ちなみに、この「階級」を全否定するのがアメリカという国。
アメリカはもともとはイギリスの植民地で、イギリスからわたってきた人たちが多く住んでいた。

アメリカ人の友人にイギリスとのちがいを聞いたことがある。
するとこんな返事がきた。

「アメリカ人はイギリスのように、生まれた家によって階級が決まるという考えをきらう。誰でも本人の努力によって、どんな地位につくことができるということがアメリカで一番大切な考え方だよ」

そういえば、イギリス人はアメリカ人が大好きな「アメリカン・ドリーム」という「成り上がり物語」は好きではないような気がする。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。