イギリス人が見た日本・日本が世界の歴史で初めてした誇っていいこと

 

はじめの一言

「竹を用いた、建築上の数寄や庭園の装飾、精巧な格子細工なども、人目を驚かせ、またそれだけ魅力的でもあります。じつにこれらすべての材料がただ一種の植物でまかなわれているということは、ほとんど信じられないほどです。
(フレイザー 明治時代)」「日本絶賛語録 小学館」

 

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今回の内容

・イギリスの階級
・イギリスの人種問題
・日本が世界の歴史で初めてしたこと

 

イギリス社会の階級については、前回で終わり。
だったけど、書き忘れたことがあった。

イギリスの階級社会を示すもので、「日本の社会だったら、絶対ないなあ」ということがあった。

今でも時たまパブなどで見られる、上層階級と大衆階級での入り口の区別など。
そして、この目に見えない暗黙の階級を、現在の大半のイギリス人が決して拒否しようとはしていないのである。
ごく当然の社会の知恵、歴史の知恵ぐらいに思っているふしがある

「『市民』とは誰か 佐伯啓思」

 

この本は、1997年の発行のもの。
日本の飲み屋に「階級別の入り口」なんて、絶対にない。
ただ、イギリス人の友人に聞いたら、「そんな入り口なんて、初めて知った!」と驚いていた。
これは、一昔前のことかもしれない。

 

・イギリスの人種問題

2015年に、アフリカ系アメリカ人と日本人の母をもつ宮本エリアナさんが、ミス日本代表に選ばれたことは、海外でも話題になった。

アメリカのCNNニュースには、このようにある。

今年の「ミス・ユニバース」日本代表に、アフリカ系米国人の父と日本人の母を持つ長崎県代表の宮本エリアナさん(20)が選ばれた。

日本は国民の約98%を同じ民族が占める保守的な社会。「日本人らしい」白い肌が美の象徴とされるなか、宮本さんの選出は異例の出来事として話題を呼んだ。

米国人の父を持つ20歳、ミス・ユニバース日本代表に

 

ただ、日本人の中には、このような批判もあったらしい。

日本代表に選ばれたことに対し、「日本人らしく見えない」(買い物中の中年女性)、「ハーフは100%日本人とはいえない。ミス日本は両親が日本人でなければ」(高校生男子)と批判する声も上がっている。

 

このことを、イギリス人の友人に聞いてみた。

「イギリスなら、まったく問題にならない。肌の色が白でも黒でも黄色でも、誰がイギリス代表に選ばれても、問題も批判はない。それより、このコンテスト自体が、女性差別だと批判されると思う」

 

このイギリス人の話で思い出した。

以前、日本の「OL」という言葉を聞いて、「本当に失礼!」と不快感を示していたイギリス人の女性がいた。
「オフィス・レディ」という言葉は、イギリスなら差別語になるらしい。

 

日本では、「オールド」をつけたら問題になるかもしれないけど、「OL」は、もう日本語として社会に定着している。

 

日本人は、英語にしたら、ごまかされるところがある。
知り合いで、学校給食をつくっている20代の女の子がいて、その子は、「給食のおばさん」と呼ばれることに腹を立てていた。
友だちが、「じゃあ、『クッキング・レディ』ならどう?」
と言うと、それならいいらしい。
日本人は、本当に英語に弱い。

 

 

おっと、話がそれちまった。
イギリスには、アメリカほどじゃないけど、いろいろな人種が暮らしている。
ロンドン出身のイギリス人に話を聞いたとき、ロンドンでもアメリカのように人種問題があると話していた。

有色人種は、白人に比べて警察官に職務質問される確率が明らかに高くて、これが人種差別になるのではないか、という声がロンドンではあるらしい。

 

イギリスのサッカー(プレミアリーグ)でも、人種差別はよく問題になっている。
下の人種差別的行為は国際的に問題視され、日本のニュース番組でも取り上げられていた。

チェルシーのサポーター集団は、試合会場のパルク・デ・プランスに向かう途中、パリ地下鉄のリシュリュー・ドゥルオー駅で乗車を試みる黒人男性を2度にわたって押し返し、乗車を妨害。
さらに同集団は「俺たちはレイシスト!俺たちはレイシスト!これが俺らのやり方だ!」というチャントを歌っていた。

チェルシーが最多タイ…プレミア10年間の人種差別による処分回数

 

友人は、日本にはどこに行っても、日本人ばかりでイギリスのように人種が混ざり合っていないから、こうした人種問題を聞いたことがないという。
彼女にとっては、このことが、イギリスと日本の大きな違いに見えるらしい。

 

日本は、一昔前なら「単民族国家」と言われたほど、同質性が高い国であることは確か。これは、インド人やインドネシア人も言っていたけど、日本の特徴であることは間違いない。

 

・日本が世界の歴史で初めてしたこと

2016年5月、ロンドンの市長として、パキスタン系移民の父をもつイスラーム教徒の「カーン氏」が選ばれた。
イスラーム教徒の市長は、欧米の主要都市では、これが初めてのことになる。

イギリスでは、かつて植民地支配していたインドやパキスタンからの移民が多い。
イギリス人の話によると、カレーは、今ではイギリスの「伝統的な料理」になっているという。
ちなみに、フィッシュ・アンド・チップスは、イギリスの「代表的な料理」になるらしい。

 

日本でも、近年は、旅行に訪れたり日本に住んだりする外国人が増えてきて、「国際化」が進んできた。
でも、ボクが感じる「日本の国際化」は、ハーフタレントが定着していることや外国人とのハーフが日本のミス・ユニバースに選ばれたことぐらい。
これを「疑問視」する人がいるくらいだけど。

外国人とのハーフのイスラーム教徒が、東京都知事になるような「国際化」は、いつになるのか見当がつかない。

 

イギリス人の友人は、日本で人種差別の問題は、ほとんど聞いたことがないと話していたけど、人種問題がないわけではない。
最近、人種差別につながりかねないような「ヘイトスピーチ」を禁止する法案ができた。
日本は今、こうした法案を必要とする社会になっている。

 

ほとんどの日本人には知られていないけれど、人種問題について、日本人は世界に声を大にして言っていいことがある。
世界の歴史で初めて、人種差別撤廃条約を国際舞台の場で訴えたのは、日本だ。

フランス人は「フランス革命で自由・平等を勝ち取った」と言います。私が、「日本だって第一次世界大戦の後に、人種差別撤廃条約の提案をしたのよ」と言うと、若い学生たちは皆一様に驚きます。

(意外に日本人だけ知らない日本史 デュランれい子)

国際会議において人種差別撤廃を明確に主張した国は日本が世界で最初である。

(ウィキペディア)

 

国際連盟の常任理事国は、「イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・日本」の5か国で、当時、世界は白人の列強国を中心にまわっていた。
現実的に、人種差別撤廃を世界に訴えるのは、日本しかなった。

このことは、日本人として知っておいていいことだと思う。
そして日本人は、この精神に恥じない行動をするべきだとも思う。

 

 

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2 件のコメント

  • 外国人が、名所を観賞するため数日旅行として滞在する時、差別にあったら、いくらなんでもたまらない。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。