今のうちに知っておいた方がいいよ。外国人との共生社会 メリットと課題

 

はじめの一言

「ヨーロッパでは、万人のために普通教育がおこなわれ、またその多くの国々では、国民に軍事教練が普及しているが、世界の他のどこでも、この国に見られるような国民的美意識の修業が浸透しているところはない。ここでは、国民全体が美の前に降伏してしまっているのだ(タゴール 大正時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

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今回の内容

・多文化共生社会に住む難しさ
・避けられないのなら、それを活かすことを考えよう
前回までの記事で、外国人が増えたことで、浜松市で実際に起きている問題を書いた。今回も、その続きから始まる。

 

もし、これから、あなたの住んでいるところに外国人が多く住むようになったら、きっと、同じ問題をかかえることになりますよ。
「多文化共生社会」というのを、ちょっと、考えてみても損はないはず。

 

浜松には、外国人が多く住んでいるから、国際交流イベントが多く開かれる。
それに参加していろいろな外国人と知り合うことができる。

 

でも、外国人に興味がない浜松市民にとっての「多文化共生」というのは、街で歩いている外国人を見かけるぐらいのもの。
そんな日本人の市民にとって、初めて「多文化共生」として外国人と接点をもったのが、「外国人との交通事故だった」ということがある。

 

日本人とは考え方や言葉は違うし、お金がからむとなると、この対応はすごく難しくなる。
前回の記事では、「弁護士ネット」のこんな文を紹介した。

・外国人にぶつけられた場合は、通常とは違う対処が必要となるのです。
・外国人が任意保険に加入していなかったり、祖国にとんずらしてしまったような場合は、運が悪かったと思って自分で何とかするしかありません。

「外国人が運転する車の交通事故被害者が知っておくこと

 

「自分で何とかするしかありません」と言われても、法律の知識や外国人との対応の仕方も知らない素人にできるわけがない。
だから、下のようなNPO法人に相談する人が多い。
「多文化共生社会」の浜松市民がどんなことで困っているか、見てほしい。

よく外国人の方と交通事故を起こしたという相談を受けます。
相談内容は大きく分けると

① 相手が任意保険に加入していない。治療を受けることが出来るのか?
② 言葉が通じないが、過失を認めないために 過失割合が決まらないため困っている。
③ 相手と言葉も通じないし、こちらに過失がないために 保険会社さんが動いてくれない。何をどうしていいのか分からない。
④ 相手が任意保険に加入していなかったが、そのままもう帰国してしまい連絡が取れない。

ジコサポ浜松支部

 

これらの相談は無料だけど、弁護士や修理屋にお願いすれば、当然何十万という費用がかかる。
無料で、すべて解決してくれるわけじゃない。

 

ボクも聞いたことがあるけど、事故を起こした外国人が「任意保険に加入していなかった!」ということはある。
そのときは、相手の保険ではこちらの車の修理費が出なかったから、仕方なく自分で40万円ぐらい出したらしい。

事故を起こされて、「相手が保険に入っていないから、自分が払うしかない」というのは、不条理だけどどうしようもない。

 

 

もちろん浜松市に住んでいる日本人の中にも、任意保険に入っていない人がいる。

ただ、これは偏見になってしまうかもしれないけど、浜松市民の一般的な考えとして、「外国人は、任意保険に入っていない人が多い」というのはある。
実際、日本人と同じぐらいかそれ以上の割合で、外国人が任意保険に入っているとは考えにくい。

「『任意』だから『義務』ではない」というのは確か。
だけど、任意保険に入っていない外国人が事故を起こして相手の修理費を出さなかった場合、その日本人の怒りは口コミとなって広がる。

そのことは「国籍や民族、文化の違いを豊かさとして生かし、すべての人が互いに認め合い」という多文化共生社会の理念にとって大きなマイナスになる。

 

な~んて「外国人と任意保険」のことを書いてきたのは、今後、日本のどこかが多文化共生の社会になったら、まず間違いなく起こる問題だから。

それと浜松市に対して「もうちょっとこの問題を何とかしてほしい」という願いもある。

浜松市のHPには、「浜松市の多文化共生」のページに、「国際交流ビジョンが目指す将来像」として、「相互の理解と尊重のもと、創造と成長を続けるともに築く多文化共生都市」とある。

 

それはそれで進めていってほしいけど、多文化共生社会で生きる市民にとって、現実的に必要なのは、「違いを認めよう」「乗り越えよう」といったスローガンではない。
外国人との問題が起きたときに、なるべくお金がかからずに、スムーズに解決してくれるところ。

 

「相互の理解と尊重のもと、創造と成長を続けるともに築く多文化共生都市」を高らかに日本全国に宣言しといて、市民が外国人との間にトラブルを抱えたら、「ジコサポ浜松支部」といった別組織におまかせするというのは、カッコ悪い。

 

 

・避けられないのなら、それを活かすことを考えよう

浜松市の場合は、外国人を受け入れることが良いか悪いかを言っても、どうしようもない。
「多文化共生」の傾向は、これからも続くのから、自分をそうした社会に合わせていくしかない。

とはいっても、前の記事で書いたように、多文化共生社会には良いところがたくさんある。
いろいろな外国人と知合いになれば、自分の視野が広がって、人生も楽しく豊かになる。

 

多文化共生社会を迎えるにあたって、一番いけないことは、その良いところだけを市民に伝えて、問題点は知らせないことだと思う。
常識や考え方が違う外国人と一緒に住むとなれば、問題は起きて当然。
でも、事前に問題を知っていれば、その対応ができる。

 

先ほどの交通事故の場合、外国人が任意保険に入ってなくても、自分の保険の条件を変えておくことで対応できる(場合もある)。
でも、そういう問題があることを知らなかったら、何も準備することができない。

 

事故が起きてから、自分でいろいろ調べているうちにそれを見つけて、「そんな方法があったのか!そうしたら、40万円出す必要はなかったのに!」と思っても、もう遅い。

外国人と一緒の地域で生活するなら、そのことによって起こる問題を知っておいて、それに備えておきながら、地域に来てくれた外国人との交流を楽しむことが大切だと思う。

いま政府は、外国人の移民を毎年20万人受け入れることを検討している。
実際に20万人来るかは別として、日本に働きにやってくる外国人が増えることはまず間違いない。

 

自分が賛成しようと反対しようと、住んでいる地域に外国人が多く住むようになる可能性は高い。
避けられないことなら、最大限、それを活かすことを考えた方がいい。
「多文化共生社会」の浜松市に住む人間として、そう思う。

 

よかったら、こちらもどうぞ。

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。