香港人と日本人の同じと違い。パワースポット好きで迷信深い。

 

最近、香港人と台湾人とタイ人といっしょにラーメンを食べに行った。

その時に香港人から聞いた話をもとに、これから香港人と日本人との違いについて書いていこうと思う。

 

 

そのラーメン屋に着いたとき、すでにテーブル席は客でいっぱい。
畳の部屋しか空いていない。

「わたし、イスの方がいいんですけどぉ」という香港人を無視して畳の部屋する。
香港はイス文化のところだから、香港人は日本人のように床に座って食事をすることには慣れていない。
だから疲れてしまうらしい。

でもそんなことを言ったら、テーブル席が空くまで待っていないといけない。
ということで、香港人の願いは黙殺した。

 

香港・タイ・台湾でも日本のラーメンは人気があって、ラーメン店もたくさんある。
ラーメンは一時のブームではなくて、現地の食文化として定着しているらしい。
だから、香港人/タイ人/台湾人に「日本のラーメンはありますか?」という質問はもう意味がない。

ウィキペディアで見たら、香港にはこんなラーメン文化があるらしい。

香港人はラーメンを食べるとき、必ずといってよいほど餃子、から揚げといった一品料理を注文する。

香港のラーメン文化

これは香港の茶餐廳(ちゃさんちょう)という文化に由来するとか。
飲茶文化と似たようなものだと思う。

でも香港のラーメンは日本より値段が少し高くて、一杯1000円以上するという。
「だから日本にいるうちに、たくさんラーメンを食べたいんです!」ということで、ここに来た。

 

気になることがあって、彼らがラーメンを食べる様子をこっそり観察していた。

「彼らはメンをすするのだろうか?」

日本人がラーメンを食べる時、音を立ててメンをすする人が多い。
日本人には問題ないけど、外国人にとって「メンをすすって(音を立てて)食べる」ということはマナー違反になる。

だから「彼らはどうなんだろう?」と疑問に思った。

香港人とタイ人はメンをすすらずに上品に食べていた。
けど、台湾人は違う。
日本人以上に豪快にメンをすすっていて、ちょっと驚いた。

 

食事中、香港人がタイ人にこんな質問をする。

「今、タイへ旅行に行く香港人がたくさんいます。香港人に人気のあるタイの場所は分かりますか?」

タイ人は「パタヤですか?」と答える。
パタヤはバンコクに近い人気のリゾート地だ。
でも、パタヤではなかった。

「分かりません。どこですか?」

タイ人すぐにギブアップ。

「わたしも場所の名前が分かりません。手がたくさんあって顔が4つあるヤツです。バンコクにあります」

香港人もがわけのわからないことを言う。

人気の場所・バンコク・手がたくさん・顔が4つ。
このヒントから、ある場所がボクの頭に浮かんだ。

「それはエラワンびょうじゃないかな?」

話を合わせてみたら、やっぱりエラワン廟だった。

エラワン廟は日本でいうパワースポットだ。
タイの旅行サイト「バンコクナビ」では、「“タイ最強”とも言われるバンコク屈指のパワースポット」「抜群のご利益があると言われ」なんて紹介している。

詳しくはこちらを→エラワン廟

 

エラワン廟はタイ人の間ではとても有名なところで、いつも人がたくさんいる。
バンコクナビではこんな注意を呼びかけるぐらい。

「常に線香の香りと煙が立ちこめているため、呼吸器系の弱い人は注意が必要」

タイを訪れる日本人の間でもエラワン廟は人気がある。
香港人も同じようにエラワンの神に祈って、そのご利益にあずかろうとするらしい。

その香港人はこんなことを言う。

「香港人はみんなそこに行って、仕事の成功とか健康とかを祈るんです。そこで祈ると願いがかなうと言われていて、香港人にはとても人気があるんです」

 

エラワン廟の神様(ウィキペディアから)

エラワン廟の神はヒンドゥー教の神・ブラフマー。
香港人は道教や仏教の人が多いけど、どこの宗教の神かは気にしないらしい。
まあ、日本人の旅行者も気にしてないけど。

 

なんでエラワン廟は香港人に人気があるのか?

「香港人も日本人と同じようにパワースポットが好きだから」といってしまえば、まあそれまで。

でも、それだけでは片づかない。
日本人と香港人には大きな違いがある。
香港の人たちは、とても迷信深い。

上海の中国人もそんなことを言っていた。
「中国人と香港人の違いは何ですか?」とボクが聞いたとき、その中国人は「香港人はとても迷信深いですね。そこが中国人とは違います」と言う。

たとえば、中国人でもビックリするぐらい、香港の人たちは風水を気にするという。
日本人の間でも風水は有名だけど、香港人はそれを信じるレベルが違う。

「香港人は迷信深くて、よく風水を信じる」

横浜銀行総合研究所の中国コラムにもそのことがのっていた。
そのコラムでは香港人をふくむ広東商人の特徴をこう書いている。

「鶏を借りて卵を産ませ、金を儲ける」という、いわゆる「白手起家」(一文無しから成金を目指す)精神が
旺盛。迷信好きという特徴があり、風水にしたがて株や不動産に大金を投資したりする。

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香港といえば、イギリスの植民地だったところだ。
1840年のアヘン戦争で中国(清)が負けて、香港はイギリスにとられてしまった。

そんなことを世界史で習ったから、「イギリスの支配下にあって、香港は西洋の合理的な考えの影響を受けている」と勝手に思いこんでいた。

でもじつは、香港人は中国人以上に迷信深い人たちだったりする。

迷信を信じる心というのは、香港人の精神性につうじるほどのものらしい。
香港政府観光局のホームページに、香港人の精神についてこう書いてある。

精神性は、香港市民の生活の中で非常に大きな役割を果たしています。それは、宗教的な場所を訪れることであったり、古くからの伝統行事に参加することであったり、昔の迷信を実行することであったりします。
(中略)宗教的慣習や長年続いた伝統(あるいは迷信)は、この街の近代的な外観の隅々に深く染み込んでいます。

伝統と精神

香港人の間でタイのエラワン廟が人気なのは、香港人のこんな精神性によるのだろう。

 

この時とは別の香港人から、こんな話を聞いたことがある。

中国の鬼節(お盆)の日に、その香港人は母親から「この日は壁から離れて歩きなさい」と注意された。
中国では鬼節の日に、あの世から鬼(幽霊)がやってくると考えられている。
これは日本のお盆も同じ。
その鬼は壁に沿って移動するから、その鬼とぶつからないように「この日は壁から離れていなさい」と母に言われたという。

日本でもそんな話はある。
「お盆の日に海へ行くな。幽霊に足を引っ張られられて引きずりこまれる」という迷信をきいたことがある人は多いと思う。

これと同じようなものだろう。

 

おまけ

中国の都市を守る神とその街並み。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。