日本のお札で初めて描かれた人物・神功皇后と三韓征伐とは?

 

海外旅行に行くと、お札にその国の有名人が描かれていることがよくある。

その人物について現地の人に話を聞くことで、話のきっかけになる。
その人物について知ることで、その国の価値観や考え方に触れられる場合もある。

そんなわけでクイズです。
下のお札に描かれている人物はだれか?

 

ベトナムのお札

ホー・チ・ミン(1890年ー1968年)
初代ベトナム民主共和国の主席で、ベトナム建国の父。
国民からは「ホーおじさん」とも呼ばれている。

 

中国のお札

毛沢東’(1893年ー1976年)
中華人民共和国を建国し、中国共産党中央委員会の主席をしていた。
ホーチミンと同じく「建国の父」という人。
でも、中国人から「毛おじさん」と呼ばれているのは聞いたことがない。

 

台湾のお札

蒋介石しょうかいせき(1887年ー1975年)

台湾(中華民国)の初代総統。

 

これらの人物はそれぞれのところで、知らない人はいないというほどの有名人だ。

でも場所が変われば、見方も変わる。
蒋介石の国民党軍と毛沢東の共産党軍は戦っていたから、敵同士の関係になる。

だから、中国と台湾での見方はそれぞれ対照的。

蒋介石は台湾の偉人だけど、中国では嫌われている。
毛沢東は中国の英雄だけど、台湾からは嫌われている。

場所が変われば評価も変わる。
それは仕方がない。
でもそれが自然というか、当たり前。

 

 

紙幣に人物を描く理由には、「ニセ札を防止するため」ということがある。

偽造防止の目的から、なるべく精密な人物像の写真や絵画を入手できる人物であること。

お札の肖像について

人間は人の顔というのをよく記憶するらしい。
人間の顔なら少しの違いにも気づくため、ニセ札を見ぬきやすくなる。

これは世界共通の考え方になっているから、世界中の国でお札に人物が描かれているという。

 

日本のお札の肖像の場合、こんな条件がある。

・日本国民が世界に誇ることができる人物。
・教科書にのっているなど、よく知られている人物。

それと今の日本の紙幣の場合、肖像として選ばれるのは「明治以降に活躍した文化人」と決まっている。
だから天皇が日本のお札に描かれることはない。

くわしくは国立印刷局のホームページを見てください。

お札の肖像について

 

 

今の日本のお札に描かれている人物はだれか?

一万札の福沢諭吉、五千円札の樋口一葉、千円札の野口英世はわかりやすい。

でも二千円札となるとどうだろう?
二千円札なんてほとんど見ることがない。
二千円札に描かれている人物がわかるだろうか?

 

 

答えは平安時代の紫式部。
源氏物語の作者。

源氏物語

平安時代中期の作で、世界最古の長編小説と言われる。天皇の子・光源氏を主人公に、貴族たちの恋愛と人生を描いた。

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

「世界最古の長編小説の作者」ということで、「日本国民が世界に誇ることができる人物」という条件をしっかり満たしている。

もっと日本人に注目されてもいいと思うけど、二千円札じゃね。
最後にいつ見たのかも思い出せないや。
もうツチノコみたいなもので、本当に存在するのかもよく分からない。

 

ベトナムのお年玉
アメリカドルが入っているのがベトナムっぽい。
ベトナムではアメリカのドル紙幣がふつうに使われている。

 

日本のお札で初めての肖像しょうぞうに選ばれた人はだれか?

二千円札と同じく日本の女性。
でも、これはかなりむずかしい。

答えは神功じんぐう皇后(日本書紀では170年~269年)。
古事記や日本書記に出てくる人物。

でも神功皇后には、実在したという説と本当はいなかったという説がある。

 

神功皇后(ウィキペディアから)

 

女性の神功じんぐう皇后がなんでこんなよろいをつけているのか?

これは朝鮮半島への出兵をあらわしているのだろう。
神功皇后はみずから軍をひきいて、朝鮮半島へたたかいに出かけている。

いわゆる三韓征伐だ。
神功じんぐう皇后はこれにより、朝鮮半島の南部にあった国(新羅・百済・高句麗)を日本の服属下においたといわれている。

新羅の国王は恐れおののき、降伏して朝貢することを誓い、百済も従ったとされる。

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

 

ただ、三韓征伐は豊臣秀吉の朝鮮出兵と同じようなもの。
だから、韓国での神功皇后のイメージは悪い。

中国と台湾にとっての毛沢東と蒋介石のようなものだ。

「同じ人物でも、国が変われば評価も変わる」ということは、世界の常識になっている。
どちらかの見方に合わせる必要はないけど、違う見方があるということを知るのは大切。

 

 

明治政府は日本初の肖像紙幣に、なんで神功皇后を選んだのか?
この理由がハッキリ分からない。

はじめは明治天皇にしようとしたらしい。
でも、「それでは、あまりにもおそれおおい」ということで神功皇后になったという話もある。

 

それとこの神功皇后の絵には、一見すると不思議なことがある。

まずは1883年にできたそのお札を見てほしい。

出典:独立行政法人 国立印刷局「日本初の肖像入りのお札 改造紙幣(神功皇后札)

 

ここに描かれている神功皇后を見て、どう思っただろうか?
日本人離れしていて、ボクにはヨーロッパ人の女性のように見えてしまう。

それには理由がある。
この神功皇后は、イタリア人のエドアルド・キヨッソーネが描いたものだから。
紙幣そのものは日本人がつくった日本製。

だけど、図案はこのイタリア人に丸投げしてしまう。
その結果、日本初の肖像画はヨーロッパ人風になってしまった。

「お金と切手の博物館」から。

図柄のデザインと原版彫刻はお雇い外国人キヨッソーネによるもので、日本の古代神話に登場する神功(じんぐう)皇后の肖像が描かれており、これが日本初の肖像入りのお札になりました。

日本初の肖像入りのお札 改造紙幣(神功皇后札) 1円

「その国で初めてつくられた肖像紙幣の人物は外国人風だった」
独立国でそんな国は、世界で日本だけかもしれない。

 

中国文化では、死者のためのお札がある。
それを紙銭という。
こうして燃やすことで、あの世に届けることができると考えられている。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。