中国人観光客の増加①マナー違反に迷惑する日本人/誠実さの違い。

 

「それはやってはいけない。でも、そうしたくなる気持ちも分かる」

世の中、たまにそんなことがある。

最近、沖縄でもあった。
レジャー用品の貸し出し業者がパラソルセットを客に貸し出すさい、中国人だけには10倍の金額を提示していたことが分かって、問題になっている。

他の人には2000円で貸し出していて、「中国人のみ20000円」と書いた看板を出していた。

その理由について業者は「中国人客のマナーの悪さ」をあげている。
琉球新報の記事(2017年8月3日)から。

業者は14年前から店を営業している。看板は7月中旬から設置した。業者は「中国人観光客はマナーが悪い。数年間我慢してきたが、今年は貸したくないから値段を10倍にした」と話した。

中国人観光客は料金10倍 レンタル業者が看板、批判で撤去

「これは差別だ!」という批判を受けて、今はこの看板を外している。

 

海外には外国人料金というものがある。
タイやインドでは、博物館や遺跡の入場料が地元の人と外国人で違う。
でもさすがに、「中国人料金」と特定の国をねらい撃ちするような料金は見たことがない。

「中国人だけからは10倍の料金を取る」というのは適切ではない。
看板を撤去するのは当たり前。

これに対して、地元の観光協会は「こういった看板があると観光地としてのイメージが悪くなる」と言っている。
地元の人権団体も「非常に残念な対応だ。人権問題以前におもてなしの心に欠ける」とコメントした。

でもこれは、「業者をたたいて終わり」という問題でもない。

 

 

貸し出し業者の言う「中国人客のマナーの悪さ」にはこんなものがある。

中国人の客に1人用のイスを貸し出したところ、そのイスに5人が座ってしまった。
それでそのイスが壊れてしまう。

ルールを守らない中国人の客が多いことに、この業者は頭を悩ませていた。
それで「商売道具を壊されたくないから」ということで、この看板を設置したという。

この業者の話を聞く限りでは、中国人に対する人種的な憎悪や差別意識というものはない。

でもこの看板の言葉はマズイ。
かといって、「この差別主義者!」と業者を非難して看板を外させたら終わり、というわけにもいかない。

今、たくさんの中国人が旅行で日本を訪れている。
その数はこれからもっと増えるだろう。

この業者のような問題は日本の各地できっと出てくる。

 

 

去年(2016年)には、こんなことが起きている。

日本を旅行していた中国人が宿泊していたトイレの便器を中国に持ち帰ってしまった。
2016年10月26日の「サーチナ」の記事がそのことを伝えている。

どういう論理だ・・・「便器持ち帰り事件」の原因は、全て日本のホテルにある! =中国メディア

先日、愛知県のホテルで中国人観光客が室内に置いてあった便器を勝手に持ち帰り、その後返却して謝罪するというトラブルがあり、日中両国内で話題となった。

ホテル側としては、「宿泊客が便座を持って行ってしまう」なんてことはまったく想像していなかったはず。
日本人客相手ならそれでよかった。

 

実際、中国人の観光客に液晶テレビや湯沸かしポットを持って行かれたホテルもある。
それであるホテルでは、部屋の物を持ち出されないようにTVや備品を鎖でつないでしまったという。

こうしたできごとに対して、「ホテルの備品は持ち帰らないでください」という中国語の警告文だけで対応できるはずがない。

 

 

宿泊客がトイレの便器を持ち帰ってしまったということもすごいけど、このできごとを報じた中国紙の主張も、日本人の感覚とは違う。

「日本のホテルがチェックアウト時に部屋を点検しないから」、この夫婦は窮地に追いやられたのだ」と主張した。

日本のホテルではチェックアウトの時、「客がフロントでカギを返して終わり」ということが多い。

でも中国では違う。

宿泊客がカギを返した後、フロントのスタッフが係員に電話をする。
そしてその係員が「盗まれた物や壊れたところはないか?」と部屋をチェックして、フロントに連絡する。
それで問題がなかったら、客はホテルを出ることができる。

これだと、客は部屋の確認が終わるまでフロントで待たされることになる。
それに、何か悪いことをしたのか疑われているような感じがして、あまり気分も良くない。

でも中国ではそういうことをするの客がいる。
だからホテルとしても、これは欠かせない作業になっている。

 

日本のホテルは「客はそういうことはしない」という信頼のもとに成り立っているから、ふつうはこんなチェックはしない。

でも海外では、日本とは別の価値観や考え方をしている国はたくさんある。

外国では、「盗んだ人間は悪いけど、盗まれたのはおまえにも責任はある」という考え方をけっこう耳にする。
日本ほど、被害者に同情してくれない。

だから中国からみたら、「便座を盗まれたのは、ホテルが確認しなかったから」という理屈は成立するとは思う。

 

 

日本の社会と外国の社会の違いはいろいろある。

たとえば、日本ではこんな無人販売所がよくあるけど外国ではほとんどないという。
ボクのまわりでも、「日本に来て初めて見た」という外国人は多い。

 

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アメリカでは無人販売所を「honesty box」と言う。

誰もいないから、盗もうと思ったら簡単に物を盗むことができる。
「honesty box」には、「それでも正直にお金を払う」という意味があるという。

無人販売所は人間の誠実さが試される所なのだ。

 

香港人と一緒にいた時もこれを見つけた。
それでこんなことを聞いてみる。

「こんな無人販売所は香港や中国にはないの?」

「絶対にないです」と彼女は力強く断言する。

「中国人なら、お金を払わずに全部持って行ってしまいます。それだけじゃないですよ。使えそうな板材があったら、それを外して持って行ってしまいます。中国でこれはないですね」

まさか!
と思ったけど、あるかもしれない。

 

 

香港人はそう言っていたけど、中国で実験的に無人販売所を置いてみた大学生がいる。

「あなたの誠実さがこの店の幸せです」と書いた看板を置いて、中国人の「honesty」をためしてみた。

その結果、お金を入れない人が続出して大赤字。
これを企画した中国の大学生がショックを受けるほど。

大学生らはこうした損を考えてはいたものの実際に発生したことで非常に落ち込んでいるとのこと。

中国で無人販売所を設置した結果・・・!

「中国で無人販売所を出すのは、ムチャな試みなのか?」

中国の大学教授がこうコメントしている。

中国における無人販売店について雲南大学の石鵬飛教授は「昆明では自転車を置いておけばすぐに盗まれてしまう。夢を見たい気持ちは分かるが、道徳心がなっていない社会では市民に高いレベルの“誠実さ”を求めてもうまくいかない。

今の中国で無人販売所は「夢の世界の話」でしかないらしい。

そういえば、友人のアメリカ人が「無人販売所は日本のアニメで見たことがある」と話していたのを思い出した。

 

 

日本では無人販売所が成り立つ。

この教授の言葉を借りるなら、「高いレベルの誠実さ」を求めてもうまくいく。
日本のホテルは今までそれを当然としてやってきたから、それが通じない外国人にはどうしても苦労する。

マナーをしっかり守る人とほとんど守らない人に対して、同じように接していたら問題は出てきてしまう。
でも違いをつけると、「差別だ!」と批判される。

これはむずかしい問題だけど、これからの日本できっと増えていく。

 

 

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香港の基礎知識:名前の由来・日本との違い・衝撃的なもの。

日本 「目次」

中国 「目次」

 

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2 件のコメント

  • 中国人は、本当に迷惑です。
    文化の違いは仕方なく、公衆の場での迷惑行為は、民族としての習慣の違いとして、諦められるとしても、いまだ戦争の恨みというか、遺恨をどこかに保ちつつも、日本への侵略が、過去の報復行為とでも考えているのか?
    それくらいの行動を、何の罪悪感も、葛藤もなくやってのけるうえ、指摘されると逆ギレするという。
    教育を受けてないのに、バブルでやおら手に入れたお金の使い方が分からず、外国で迷惑行為を働く中国人には、差別的対応があってしかるべきと考えます。

  • マナー違反の中国人はいますけど、中国人観光客が日本経済にいい影響をあたえている面もあります。
    知り合いが百貨店で働いていますが、中国人なしではやっていくのはむずかしいと言います。
    マナー違反の中国人については不満の声を上げていって、日本や中国の当局に動いてもらうようにするのがいいでしょうね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。