北朝鮮のミサイル攻撃/脅威。グアム(アメリカ)と日本の対応は?

 

いま北朝鮮から目が離せない。

グアム周辺に向けてミサイル攻撃を考えているという。
北朝鮮が次のような声明を出したと、時事通信の記事(2017/08/09)が伝えている。

「近く、最高司令部に報告され、金正恩朝鮮労働党委員長が決断すれば、任意の時間に同時多発的、連発的に実行される」と警告した。

北朝鮮、「グアム周辺の攻撃検討」=米軍基地、ミサイルで

この北朝鮮の発表を知って、グアム出身のアメリカ人の友人が「 stay safe, my homies」というメッセージをフェイスブックに書きこんでいた。

グアムにはいま、北朝鮮のミサイル攻撃に対する不安が広がっているらしい。
こんなメッセージを書き込むアメリカ人もいた。

Ok Guam stop panicking.
We are in less danger than Alaska. If u want to worry then pray for south Korea and everyone that will be affected in the continent from the fall out. Meanwhile start gardening.

「パニックになるなよ。グアムはアラスカよりも安全なんだから。ガーデニングでもやろうぜ」なんていう気楽な声に対しては、すぐにこんな反論のコメントが返ってきている。

 

i don’t think Alaska is in as much danger as Guam.

we are in more danger than Alaska because the US bombers are based here that have been flying to Korea.

It’s the scariest thing.

 

こうした市民の反応を受けて、グアムの知事が演説をおこなった。

アメリカ軍との連携を強化して北朝鮮の脅威に対応すると言っている。

 

日本にとってもこれは重大な問題だ。
市民生活に影響が出ている。

4月に北朝鮮がミサイルを発射したときには、東京メトロが全線で運行を停止した。
でもすぐに、「ミサイルの着弾はない」と判断されて運転が再開されている。

もともと北朝鮮がミサイルを発射したことが分かったときには、乗客の安全のために運転を見合わせることは決まっていたらしい。

でも正直、「ここまでするのか?」と驚いてしまう。

そう思わせることで、北朝鮮による脅威を認識させる目的があったのかもしれないけど。

 

東京以外で、同じような対応をとった自治体があるのかは知らない。
でも、北朝鮮からのミサイル攻撃を想定した住民の避難訓練なら、日本各地でおこなわれている。

「備えあればうれいなし」でこうした対応をしておけば、いざといういときに安全を行動できるのかもしれない。
ただ、この訓練に対しても「現実的にどれだけ有効なんだ?」という疑問の声はある。

 

1933年(昭和8年)に、「そんな訓練は意味がない」と日本政府を批判した人がいた。

桐生悠々(きりゅうゆうゆう)が新聞の社説に、「関東防空大演習を嗤(わら)う」という文を書いている。当時の日本政府が日本政府は、敵から空襲されたときのことを考えて大規模な訓練をおこなおうとしていた。

桐生は政府主導の避難訓練を「役に立たない」と切り捨てている。

将来かかる実戦のあり得ないこと、従ってかかる架空的なる演習を行っても、実際には、さほど役立たないだろう

関東防空大演習を嗤う

ではどうしたらいいのか?

桐生は「日本が空爆される前に、敵の爆撃機を撃墜したらいい」と提言する。

敵機を関東の空に、帝都の空に、迎え撃つということは、我軍の敗北そのものである。この危険以前に於て、我機は、途中これを迎え撃って、これを射落すか、またはこれを撃退しなければならない。
(中略)この空撃に先だって、これを撃退すること、これが防空戦の第一義でなくてはならない。

関東防空大演習を嗤う

たしかにそのとおり。
日本を攻撃する敵機をすべて撃ち落としたら、日本が空爆されることはない。
そうすれば当然、防空訓練をおこなう必要もない。

 

 

北朝鮮からのミサイル攻撃を想定した避難訓練については、「それは本当に必要?」「役に立つの?」といった批判の声も上がっている。

そのことについては、産経新聞の記事にくわしく書いてある。

ミサイル着弾想定の避難訓練に反対する人々、どんな人たち?「訓練を行うことは戦争に人々を動員すること」

 

この記事の中で、こうした政府の対応に反対する人が「ミサイルが発射されないよう、政府は外交努力をしてほしい」と言っている。

それはそうだけど、現実的にはムリだろう。

日本政府の外交努力によって、北朝鮮が核やミサイル開発をあきらめるだろうか?
そんなことができたら、安倍首相のノーベル平和賞受賞も見えてくる。

日本政府にそんな力があるとは思えないけどね。
それができるのなら、事態がここまで大きくなる前に問題を解決できただろう。

 

北朝鮮の脅威にどう対応するべきか?

桐生悠々(きりゅうゆうゆう)が「空撃に先だって、これを撃退すること、これが防空戦の第一義でなくてはならない」といったように、日本にミサイルが落ちないように迎撃することを考えたほうが現実的だ。

だから韓国では、THAAD(サード)の配備を決めている。
THAADとは、最新鋭のミサイル迎撃システムのこと。
北朝鮮がミサイルを発射しても、それが韓国に落ちる前にそのミサイルを破壊してしまえばいい。
もちろん、口で言うほど簡単ではないけど。

 

2017年08月10日の読売新聞の社説でも、北朝鮮のミサイル攻撃には日本の防衛能力を高めて対処すべきだと書いている。

北朝鮮が再三、日本攻撃を公言する中、防衛省は、迎撃ミサイルSM3搭載のイージス艦の8隻体制の実現と、地上配備型誘導弾PAC3などの改良を急ぐべきだ。陸上配備型イージスシステムの新規導入も決断する必要がある。

防衛白書 「新たな脅威」へ対処力高めよ

 

日本ではこれから、ミサイル着弾を考えた避難訓練がおこなわれる予定になっている。
そうした政府の対応には反対の人もいると思う。

でも、反対運動をするよりはミサイルの撃退を第一義に考えて、日本政府により確実なミサイル迎撃システムを求めたほうがいい。

悪いのは、訓練をおこなう日本政府ではない。
北朝鮮がミサイルを発射しなかったら、こんな訓練は自然になくなる。
まずは北朝鮮に対して強く抗議するべきだ。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。