一線を超えた韓国:文大統領の「徴用工に個人請求権」に日本が猛反発。

 

太平洋戦争(1941年ー1945年)のとき、日本の成人男性は戦場に送られて米軍とたたかっていた。

日本(朝鮮半島と台湾もふくむ)にいた人たちも戦争と無関係ではない。
弾薬をはじめ戦争に必要なものを作るために、国に働かされていた。

これは1939年に定められた国民徴用ちょうよう令による。

当時は日本人だった朝鮮人も同じように、国民徴用令によって働かされていた。
そんな労働者を「徴用工」と呼ぶ。

ただこの朝鮮人の徴用工問題については、1965年の日韓の請求権協定(にっかんせいきゅうけんきょうてい)ですでに解決されている。

日韓請求権協定

日本が韓国に5億ドルの経済支援を行うことで、両国及び国民の間での請求権を完全かつ最終的に解決したとする内容。

知恵蔵の解説

 

この協定にもとづき日本が韓国に経済支援をすることで、「徴用工問題をふくむすべての問題で、韓国の人が日本に何かを請求することはない」ということが日韓で確認されたわけだ。

ということで、徴用工問題はすでに終わっている。

 

 

「日韓請求権協定によって、徴用工問題は解決した」

2005年に韓国の盧武鉉(ノムヒョン)政権もこの見解をまとめている。
つまり、韓国政府も確認済みってこと。

それにもかかわらず、今の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「徴用工問題はまだ終わっていない。徴用工の人たちは、今でも日本に請求することができる」と個人の請求権を認める発言をしてしまう。

そうなったら、日本はまたお金を払わないといけなくなるかもしれない。

 

これは先ほどの協定で解決した問題だ。

大統領のこの言葉は一線を超えてしまった。
当然、日本政府は韓国に抗議する。

産経新聞の記事(2017.8.18)から。

日本外務省は17日、大使館ルートを通じて「徴用工の問題は日韓請求権協定で解決済みである」との立場を韓国政府に申し入れた。

日本外務省「徴用工問題は解決済み」 韓国の文在寅大統領「個人の権利は残っている」発言で韓国政府に申し入れ

国と国が交わした約束を、一方的にナシにしてしまうことが許されるはずもない。

韓国の誠意ない態度に日本のマスコミもいっせいに反発した。

 

いつもは韓国にやさしい朝日新聞でさえも、社説で韓国をこう批判している。

「これまでの韓国政府の見解から逸脱するかのような認識を示した」
「文氏の言動には、あやうさを感じざるをえない」

韓国の国民は、過去の約束(請求権協定)を無視しても問題ないとみている。
徴用工個人が日本に請求することを当然のことだと考えている。

そんな反日的な国民に同調する文大統領に、朝日新聞はこう提言した。

そんな世論が文氏に響いているのかもしれない。しかし政治指導者は、風向きを読むだけでなく、世論を未来に導く説得の時にこそ真価を問われる。

徴用工問題 歴史再燃防ぐ努力こそ

おっしゃるとおり。
徴用工問題は、韓国が日本からの経済支援を受けとった時点で「完全かつ最終的に解決」している。

「この問題はすでに解決済みだ」ということを国民に言い聞かせるのが大統領の仕事なのに、それを文大統領は放棄している。
そんな無責任な態度が見逃されるわけがない。

 

「完全かつ最終的に解決」したことを確認しておいて、今になってから「やっぱり解決していない!」と言い出したら、永遠に解決できなくなってしまう。

 

 

日経新聞も文大統領の言葉を問題視する。

従来の政府の立場を覆し、国家間で締結した条約や協定を軽視するような今回の発言は決して看過できない。

韓国は徴用工問題蒸し返すな

 

読売新聞も大統領の発言にはご立腹。
大統領がこんなことを言っては「未来志向の日韓関係」を築くことはできないと指摘し、今の日韓がかかえている歴史問題は韓国の責任だとハッキリいっている。

最近になって歴史問題が再燃した責任は、日本との合意を守らず、新たな要求を突きつける韓国側にある。

文大統領演説 「慰安婦」蒸し返しは許されぬ

じつは文大統領がしたことは、終わったはずの徴用工問題を持ちだしただけではない。
徴用工問題について、北朝鮮と協同で調査することまで言っている。

 

今は、日韓が共同して北朝鮮のミサイルの脅威に対応しないといけないときだ。
それなのに、「北朝鮮との共同調査」なんてあり得ない。

もともと韓国に厳しい産経新聞はこれに激怒している。

北朝鮮と反日で連携するような国に、未来はあるのか。地域の安全保障の現実をみない妄言に、あきれるばかりだ。
日韓の亀裂を生むだけの発言である。

文大統領の演説 反日で連携している時か

「妄言」という言葉は韓国の新聞が日本に対してよく使っている。
日本の新聞が韓国に使うのはとても珍しい。

よほど怒っているのだろう。

 

韓国に反発した日本のマスコミはこれだけではない。

朝鮮日報の記事(2017/08/17)では、NHK、東京新聞、TBS、時事通信も反発したと伝えている。

日本の植民地時代に強制徴用された被害者たちの個人請求権は消滅していないと発言したことについて、日本メディアは一斉に反発した。

文大統領の「徴用工に個人請求権」発言に日本メディア反発

この朝鮮日報の記事では、「妄言」「反省」「過去の歴史と向き合って~」といった日本を非難するような言葉を使っていない。
文大統領の発言に対して、日本のマスコミがここまで反発するとは思っていなかったのではないか?

 

でも実際、文大統領の「徴用工に個人請求権がある」という無責任な言葉を追い風に、日本企業に対して賠償を求める動きが韓国で広がったらどうなるか?

日韓関係は根底から崩れて、どうしようもないぐらい悪化してしまう。
戦後最悪になるだろう。

 

そうならないためにも、日本の政府や主要なマスコミが韓国に一斉に抗議するのはいいことだ。
韓国は目を覚まさないといけない。

ふだんは安倍政権に批判的な朝日新聞や毎日新聞も、日韓請求権協定を軽視する韓国に対しては、日本政府と同じ考え方をしている。

韓国の約束無視については、「韓国の人たちの話をよく聞いてから~」なんて言っている場合ではない。
このことについては、日本の国民も怒りを共有したほうがいい。

1965年の日韓請求権協定と2015年の日韓合意を「なし」にされたら、日韓関係は本当に終わってしまうから。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。