「民族浄化」のロヒンギャ問題①沈黙のスーチー氏にローマ法王も圧力。

 

フェイスブックで偶然こんな投稿を見つけた。

 

この「Muslim in Burma(ビルマにいるムスリム)」とは、ミャンマーにいるロヒンギャと呼ばれるイスラーム教徒のこと。

彼らは「ミャンマー政府はイスラーム教徒(ロヒンギャ)を殺すのをやめて」とうったえている。

ロヒンギャとはどんな人たちなのか?

「今地球上でもっとも悲惨ひさんな人たち」と言っていいだろう。

 

ロヒンギャとはこんな人たち。

・バングラデシュとの国境に近いミャンマーのアラカン州で生活していた(今もしている)。
・ミャンマー人のほとんどは仏教徒でロヒンギャはイスラーム教徒。
彼らは民族や宗教の違いから、ミャンマー政府から迫害を受けている。
そのため、国外に逃げ出すロヒンギャが続出した。
・2009年の時点で、ロヒンギャはミャンマーに約80万人いて120万人が世界各国に逃れ出ているという。

これは「2009-08-29 朝日新聞 夕刊 2社会」の内容をまとめたもの。

日本には群馬県に200人ほどのロヒンギャがいる。
フェイスブックにこの投稿をしたのは、彼らかもしれない。

 

この地図の北海道のところがアラカン州。

 

上の文章は2009年のときのもの。
当時ミャンマーは軍事政権下にあった。

でも今は違う。
今のミャンマーでもっとも影響力があるのは軍部ではなくて、アウンサン・スー・チーだ。

 

アウンサン・スー・チー(ウィキペディアから)

 

スー・チー氏はミャンマーの民主化運動の指導者をしていて、そのころから世界的に知られていた。
1991年にはノーベル平和賞を受賞する。
今の民主政権下のミャンマーでは、外相・大統領府相・国家最高顧問をしている。
ミャンマーの最高実力者だ。

「ミャンマーが軍事政権から民主政権に変われば、ロヒンギャへの対応も変わるかもしれない」と国際社会はスー・チー氏に期待していたのだけど、実際にはそんな動きがない。

 

ニューズウィーク誌の記事(2015年5月29日)にそのことが書いてある。

民主化運動のシンボル、スー・チーにさえ顧みられない少数民族の絶望

ミャンマー政府は彼らを「ロヒンギャ」とは呼ばずに、「ベンガル人」と呼んでいる。
ミャンマー人ではなくて、「バングラデシュからの移民」とみなしているから。
国民の多くもこの考え方をしている。

世界の人権活動家は、「ロヒンギャへの暴力や迫害に対して、スー・チー氏が反対してくれるのでは?」と期待していたけれど、スー・チー氏はロヒンギャへ問題に対して何も言わない。
口を閉ざしたまま。

 

スー・チー氏にもそれなりの事情がある。

ロヒンギャを支持したらどうなるか?
間違いなく、自分が率いる政党「国民民主連盟」から強烈な反発を食らってしまう。
スー・チー氏はそれを恐れている。

国際社会からは「スー・チー氏はロヒンギャを守らない」と批判される。
けど、ロヒンギャを守るようなことを口にすれば、スー・チー氏はミャンマー国内で孤立する。

スー・チー氏はそんな苦しい立場に立たされていた。

カナダの新聞とのインタビューでは、「倫理的な高みに立って正論を振りかざすだけでは、少々無責任だ(同記事)」と自分を批判する人たちにイラだっている。

 

 

でも、「そんなことを言っている場合ではない」と人権活動家は言う。

だがこうした政治的思惑など、少数民族の迫害に比べれば些細な問題だと、人権活動家は訴える。「虐殺に対して沈黙するのは共犯と同じ。スー・チーも同じだ」と、ロンドン大学の法学教授ペニー・グリーンは英インデペンデント紙への寄稿の中で述べている。

民主化運動のシンボル、スー・チーにさえ顧みられない少数民族の絶望

2017年には、国連が「ミャンマー軍によるロヒンギャ弾圧で数百人が死亡した可能性がある」と報告書で明らかにした。
今のロヒンギャは「民族浄化」ともいえる状況になっているかもしれない、という。

ボクが見た限り、アメリカ・ヨーロッパ・日本の各種報道は「ロヒンギャ問題についてはミャンマー政府に問題がある。ロヒンギャへの迫害をやめるべき」という論調で伝えている。

この問題でミャンマー政府を支持する意見を見た記憶がない。

 

 

国連・世界各国・人権活動家だけではない。

ローマ法王もこのロヒンギャ問題の解決に動き出した。

週刊新潮(9月14日号)から。

そんな不幸な民族の悲劇を見るに見かねて立ち上がった人物が現れた。ローマ法王フランシスコである。(中略)常々法王はミャンマーのロヒンギャ迫害に憂慮を示していた。

11月にローマ法王がミャンマーを訪問して、この問題について何らかの訴えをするつもりらしい。

これにアウンサン・スー・チーが頭を抱えている。

 

先ほど書いたように、スー・チー氏は、世界からは「ロヒンギャ迫害をやめさせるように行動するべき」と批判されている。
でもそれをしたら、ミャンマー国民からの支持を失ってしまう。
国際社会と国内の声に板ばさみの状態になっているうえに、さらにローマ法王からプレッシャーをかけられたら、スー・チー氏としてはたまらない。

でも国連が「民族浄化」という強い表現を使うところまで、ロヒンギャへの迫害は進んでいる。
頭を抱えている場合ではないだろう。

 

 

でも、ミャンマーにはミャンマーの見方や考え方がある。

これがミャンマーの人たちの気持ちだ。

 

次回、このロヒンギャ問題をミャンマー人の声を紹介します。

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。