テレビや新聞とかで、「国教」という言葉を聞いたことはないですか?
国境じゃないよ、国教だよ。
今回はこの「国教とは何か?」いうことを説明していこうと思う。
知っておけばいつかニュースで聞いたときに、その内容がわかりやすくなるはずでっせ。
ちなみに、日本には国教というものがない。
日本では憲法のもと、すべての宗教は平等。
さらに政治と宗教はまったく関係がない。
関係させてはいけない。
政治に宗教を持ちこむのはダメ。
これは憲法違反になる。
だから首相が靖国神社を参拝すると、「これは憲法で定めた政教分離に違反しているのではないか?」ということが問題視されてしまう。
もし神道が日本の国教だったら、政教分離ではなくて政教一体になる。
そうなったら、首相の靖国参拝はきっと問題にはならない。
インドの横にパキスタンという国がある。
面積は79.6万平方キロメートルで、日本の約2倍。
人口は1億9,540万人で、日本の約1.6倍。
そんな国。
パキスタンの首都は「イスラマバード」という。
このイスラマバードとは、「イスラムの都市」という意味(日本大百科全書の解説)になる。
そしてパキスタンの宗教はイスラーム教で、これが国教になっている。
以上は外務省のパキスタン・イスラム共和国 基礎データから。
パキスタンと日本のもっとも大きな違いは、「パキスタンはイスラーム教の影響がとても強い国」ということだろう。
なんせ首都イスラマバードは「イスラムの都市」という意味で、国の宗教はイスラーム教だから。
日本は首都は「東の京」という意味で、国教は「無宗教」。
全然違う。
この国教とは、辞書を引くとこんな意味だと書いてある。
国教(こっきょう)とは、国家が保護し活動を支援する宗教のこと。国家宗教ともいう。
デジタル大辞泉の解説
パキスタンの場合、国がイスラーム教を保護していて、「イスラーム教を信じなさい」と広く国民にすすめている。
国教とは、「国家がある特定の宗教だけを保護していて、国民をその信者にしたいと考えている宗教のこと」だとボクは考えている。
大ざっぱなイメージとしては合っていると思う。
パキスタンがイスラーム教を国教としていたら、パキスタンという国はイスラーム教の“下”にあることになる。
だから、パキスタンの憲法や法律はイスラーム教の教え(クルアーン)と絶対に矛盾しない。
矛盾してはいけない。
パキスタンの宿
スタッフの後ろにあるのはイスラーム教の聖典クルアーン(英語読み:コーラン)にある言葉。
日本の最高法規は日本国憲法。
でもパキスタンの最高法規は聖典クルアーン。
日本は日本国憲法の”下”にある。
日本には憲法を超える存在がない。
一般の国民も天皇も、憲法を守らなければいけない。
日本では法律も憲法の下にあるから、法律の内容が憲法と矛盾してはいけない。
「その法律は、憲法と合ってないんじゃない?」という場合は、裁判所がチェックする。
その権利を違憲立法審査権という。
中学校で習ったはず。
【違憲立法審査権】
法律・命令・規則・処分が憲法に適合するか否かを審査する裁判所の権限
デジタル大辞泉の解説
パキスタンの場合イスラーム教が国教だから、憲法も法律もクルアーンの”下”にある。
だから憲法も法律もクルアーンの内容にそったものになる。
たとえば日本の法律では、妻は1人しかダメ。
でもイスラーム教の教えでは、妻を4人までもつことが認められている。
この場合、日本の法律はイスラーム教の教えと矛盾している。
パキスタンではこれがない。
イスラーム教で「妻は4人まで迎えることができる」となっていたら、それにそって法律ができる。
だから、法律で4人まで妻をもつことができる。
だから、日本では法律違反のことでもパキスタンでは問題ない。
これはトルコに住んでいる日本人のブログ。
その女性は日本でパキスタンのご主人と出会い、交際中に「実は妻がいるんだ」と告げられたが、不思議と抵抗はなく交際一年後に結婚。イスラム教では1人の男性が妻を4人までもつことが許されており、ご主人の第一夫人との間には既に子供二人いるそう。
日本で重婚はアウト。
トルコにもイスラーム教徒がたくさんいる。
でもトルコではイスラーム教が国教にはなっていない。
だから、イスラーム教の教えでは4人の女性と結婚できるけど、トルコの法律でそれは認められていない。
一夫多妻を禁止している。
そんなトルコも、昔はイスラーム教を国教にしていた。
それを変えたのは、「トルコ建国の父」と呼ばれるケマル・アタテュルクという人。
ケマル・アタチュルク(ウィキペディアから)
アタチュルクが1923年にトルコ革命をおこなったときに、「政治に宗教を持ちこませない!」と政教分離をおこなった。
外務省のホームページから。
アタテュルクは、宗教と政治を分離しなければトルコの発展はないと考え、憲法からイスラム教を国教とする条文を削除し、トルコ語にはアラビア文字に替わって、アルファベットを当てました
トルコが近代国家になったのは、政教分離をしたことがもっとも大きな理由だろう。
ボクがトルコを旅行していたときは、着ている服や文字などを見て、イスラーム教の国というよりヨーロッパに近いと思った。
ケマル・アタチュルクが政教分離でイスラーム教と政治を分けていなかったら、トルコは今のような発展した国にはなっていなかったはず。
でも現在のトルコでは、一部から「今のエルドアン大統領は政教分離という、トルコの国としての原則を破ろうとしているのではないか?」と見られている。
それが2016年の「トルコクーデター未遂事件」の原因にもなった。
産経新聞の記事(2016.7.16)から。
軍の中には特に、イスラム系与党・公正発展党(AKP)を率いるエルドアン大統領が「国是」である世俗主義を損ねているなどの反発も根強いとみられる。
政治と宗教を分離することで、世俗主義が成り立っている。
「世俗主義を損ねている」とは、政教分離の原則が守られていないということ。
以下、世界各国の国教を一覧にして示します。
まあ、ウィキペディアをコピペしたものですけどね。
ええ、手抜きです。
キリスト教
・ローマ・カトリック – バチカン、アルゼンチン、コスタリカ、マルタ、スペイン
・正教会 – ギリシャ(ギリシャ正教会)、フィンランド(フィンランド正教会)、キプロス(キプロス正教会)
・イングランド国教会 – イングランド
ルター派 – アイスランド、デンマーク、フィンランド(スウェーデンは2000年まで、ノルウェーは2012年まで)
長老派 – スコットランド
イスラム教
・イスラム国家で宗派指定なし – ジブチ、イラク、チュニジア(以上アラブ連盟加盟国)、バングラデシュ、パキスタン
・スンニ派 – アルジェリア、コモロ、エジプト、ヨルダン、リビア、モーリタニア、モロッコ、カタール、ソマリア、アラブ首長国連邦(以上アラブ連盟加盟国)、アフガニスタン、ブルネイ、モルディブ、マレーシア
・ワッハーブ派 – サウジアラビア(アラブ連盟加盟国)
・シーア派 – イラン
・イバード派 – オマーン(アラブ連盟加盟国)
・スンニ派およびシーア派 – クウェート、イエメン、バーレーン(以上アラブ連盟加盟国)
仏教
・スリランカ – 1978年の憲法で指定。
・大乗仏教 – ブータン
・上座部仏教 – カンボジア
おまけ
イエメンの首都サヌアの様子
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