最下層カーストのインド人、踊りを見て殺される。インドってどんな国?

 

はい、クイズからはじめます。

インドの「CCB」といえば、何でしょう?

 

 

インドの「CCB」といえば、カレー・カースト・仏教ですね。

これはインドを旅行中に出会った日本人旅行者から聞いた話。
だから、日本に広く伝わっていることじゃない。

でも、日本人で「インド」と聞いたら、このCCBを連想する人は多いはず。

 

 

 

 

この中の「カースト」は、今の中学校では「ヴァルナ」と呼ばれている。
でも、この記事では昔ながらのカーストという言葉を使う。

インドのカースト制度で「もっとも下」にいる人たちは、アンタッチャブルやアウトカーストなどと呼ばれている。
でも最近では、「ダリット」と呼ばれることが定着しているようだ。

最下層カーストのインド人の生活は悲惨(ひさん)の一言につきる。

以前はこのような生活をしていた。

住居も、町や村外れの、不潔な、生活用水もない場所に定められ、木の葉や泥以外の家に住むことができず、その暮らしは家畜以下であった

「アンベードカルの生涯 (光文社新書)」

彼らの仕事もだいたい決められていた。

皮革のなめしや染色、ゴミや屎尿の処理、ネズミ取り、死体処理、火葬などといった(ほとんどが世襲の)職業ゆえに「不浄」とみなされている

「インド入門 (マノイ・ジョージ)」

これは世襲制。
だから、親がネズミ取りの仕事をしていたら、その子どもも自動的にネズミ取りの仕事をするようになる。

 

でも、これはひと昔前の話。
今のインドでは、ダリットたちの生活は改善されつつある。

コルカタという大都市で会ったインド人はこんなことを言っていた。

「今はカーストなんてほとんど関係ないね。オレの親父の時代には差別があったよ。最下層カーストの人間から手渡しで物をもらうことはできなかったんだ。穢(けが)れている人間から物をもらうと自分も穢れてしまうと考えたから。でも、オレはそんなことは気にしない。だから、ダリットから手渡しで物をもらっても平気だよ」

でも、インドは格差が大きい。
地方と都市部とではまったく様子がちがう。

インド全体では、ダリットへの蔑視(べっし)は少なくなっているとはいっても、今でもひどく差別されているところもある。

 

ダリットの女性

 

つい最近、インドのダリット(最下層カースト)出身の男性が殺された。

彼が殺害された理由というのが、日本人からしたら理解に苦しむ。

それは、彼がヒンドゥー教の伝統舞踊を見ていたから。
ヒンドゥー教の祭りで踊りを鑑賞していたことが理由になって、彼は殺されてしまった。

くわしいことはこのAFPの記事をどうぞ↓

インド西部で1日夜、カースト(身分制度)の最下層「ダリット(Dalit)」出身の男性が、ヒンズー教の伝統舞踊を鑑賞したことに腹を立てたカースト上位の男らに暴行を受けて死亡した。地元警察が2日、明らかにした。

インド最下層カーストの男性、伝統舞踊を鑑賞し殺害される

この記事によると、容疑者たちは「ダリットにはこの伝統舞踊を見る権利は一切ない」と話しているらしい。

 

 

ボクも少しはインドのことを知っていたつもりだったけど、このニュースには驚いた。

「あいつは牛を食べた!」ということで、怒り狂ったヒンドゥー教徒がその人間を殺してしまう。
そんな事件はインドで前から何度も起きていたから、そのことは知っていた。

でも、「踊りを見ていたから殺された」という事件を聞いたのはこれがはじめて。

ただ、これはインドでも「例外中の例外」という事件だろう。
友人のインド人にこのことで意見を聞いてはいないけど、そのインド人もこれを知ったら驚くと思う。

 

日本では今年(2017年)、群馬県で「お祓(はら)い」と言って子どもを暴行して殺害する事件が起きた。

 

くわしいことは下の記事をごらんください。
画像もこの記事から。

「お祓い」と称して1歳児に虐待し死亡させる傷害致死事件

ハッキリとは分からないけど、「インドで伝統舞踊を見ていて殺された」というのは、これぐらいまれな事件ではないかと思う。

 

 

インドは巨大な国だ。

国土は広大で人も多い。
一説には、もう人口で中国を抜いて世界一になっている、とも言われる。

 

 

そんなインドは多面性のある国で、ある1つの出来事が起きても、それがインド全体を象徴することはまずない。

「最下層カーストの人間には、伝統舞踊を見る権利は一切ない!」と怒って殴り殺してしまう事件が起きた一方で、2か月ほど前には、その最下層カースト出身のインド人が大統領になっている。

それがコビンド氏。
ダリット出身の彼は、投票によってインド第14代大統領に選ばれた。

しかも、インドでダリット出身の大統領は彼が初めてではない。
2人目だ。

CNNの記事にそのことが書いてある。

ダリット出身のインド大統領は、ナラヤナン大統領(在任1997~2002年)以来2人目となる。

ダリットは「不可触民」とも呼ばれ、インドのカースト制の最底辺層を構成する。伝統的に他のカーストから「不浄」と見られ、迫害や排斥の対象となってきた。

インド大統領にコビンド氏、最下層カーストの出身

 

この殺害事件について日本のネットを見ると、「これだからインドはダメなんだ」的な意見がとても多い。
でもこれは、インド人でさえも驚くほど例外的な事件だと思う。

「お祓い」と称して子どもを殴り殺す事件が起きたとしても、それは日本で日常的に起こる事件ではない。それが日本を象徴するような出来事でもない。

1つの衝撃的な事例をもって、その国全体を判断するのはやめたほうがいい。

「インドはCCBの国」ぐらいのイメージならおk。

 

 

最下層カースト「ダリット」たちの村の様子。

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。