日本人と中国人の違い。「飲み物は常温ですよ!」の理由とは?

 

もし中国旅行をお考えなら、オススメの場所がある。

それは「平遥へいよう古城」。

「城」といっても、中国語の「城」は英語にすると「city(都市)」になる。
日本語の「城(castle)」ではない。

だから古城とは、「古い街」ということ。
この平遥古城は、数百年前の明清時代の街並みがとてもよく残っている。

 

広い中国の中でも、ここの保存状態は最高レベル。
エアチャイナのホームページではこう紹介されている。

古城の創建は西周時代にさかのぼり、すでに2000年余りの歴史を刻んでいます。 内部には保存状態の良い、古城壁や、五代の時期に建てられた木造建築、鎮国寺、金代の建築文廟大成殿などが残っています。

古都平遥

歴史好きにはたまんない。
西安や洛陽よりも、「古都」の雰囲気を味わうことができる。

 

 

でも、もし冬に平遥古城に行くのなら、それなりの覚悟が必要ですよ?

おそろしく寒いから。

ボクが平遥古城に行ったのは1月。
昼間でも0度を超えなかったと思う。

静岡という温暖で甘ったれたところから行くと、本当に泣きそうになる。
「身を斬る寒さ」というのを肌で感じた。

このときは、中国人の日本語ガイドにいろいろなところを案内してもらっていた。

そのガイドから「おすすめの飲み物があります」と言われたのがコレ。

 

ガイドおすすめのホットコーラ

 

「コーラを温めるんですか?」と驚いた。

「当然です。こんな寒いときに冷たいコーラなんて飲んだら、体を壊しますよ」とガイド。

中国人の彼女には、日本人が冬でも冷たいものを欲しがることが理解できない。
コンビニにある冷たいお茶も嫌いで、絶対に飲まないらしい。

中国のコンビニにも冷たいお茶はある。
でも、種類や数は日本に比べるとかなり少ない。

 

「日本は中国からいろいろなことを学びました。漢字や儒教や仏教もそうです。京都は長安をモデルにしてつくられましたしね。わたしが日本に行くと、『中国に近いな』ということをよく感じます。でも、冷たいものを好むというのは、中国人とはぜんぜん違います。これが不思議です」

ガイドの話では、中国人が冷たい飲み物を嫌う理由は中国医学の考え方による。
中国医学では、「口に入れるものは、体温と同じぐらいのものがいい」とされているとか。

だから、飲み物は温めるのであって、熱くするわけではない。
たしかにこのときのホットコーラも体温と同じぐらいの温かさだった。

この辺りでは、冬になったらホットコーラやホットビールを飲むらしい。
外は氷点下といっても、レストランの中はかなり暖かい。
それでも中国人のガイドからしたら、「氷を入れて飲むなんて、信じられませんよ!」という。

 

この「京都」は、北京のこと。

 

それで思い出したことがある。
20年ぐらい前、夏の中国を旅行していてとても困ったことがある。

「冷たいコーラがなかなか手に入らない!」

食堂の中で、冷蔵庫のようなところにコーラが置いてあるからそれを頼む。
でも、出てきたコーラはあったかい。
全然、冷やしていない。

「熱いチャーハンに冷たいコーラ」という組み合わせを期待していたら、35度の常温コーラと分かってガッカリ。
しかも、もうキャップが開いているから交換もできない。

このときは、「電気代をケチってる」「『冷えてるサギ』じゃないか!」なんて思ったけれど、中国ではそれがふつうなのかもしれない。

20年も前だったから、コーラを冷やさず常温で飲むことは当たり前だったように思う。

 

ガイドが飲みたかっただけだったりして。

 

今日のダイヤモンド・オンラインの記事(10月10日)で、このことが書いてあった。

なんで中国人はビールを冷やして飲まないのか?
なんで中国では味噌汁がぬるいのか?
なんでラーメンが熱々じゃないのか?

記事では、その理由として3点あげている。
「設備的な問題」と「外気の温度との問題」と下の「健康面の配慮の問題」だ。

中国では、東洋医学の観点から「医食同源」の考え方が浸透している。必要以上に冷たいものを摂ることは、免疫力を低下させ体に良くないことであり、それを望むことは彼らには理解できない。

「中国では「生ぬるいビール」「冷めたラーメン」が普通な理由」

これはボクが平遥古城でガイドから聞いた話と同じ。

 

「冷たいものが嫌い」ということで、中国ではおにぎりが好きではない人が多いらしい。

香港人や上海出身の中国人から、そんな話を聞いた。

サーチナの記事(2016-12-24)にもこう書いてある。

中国でも日本同様にコメが主食の1つとして食べられているが、ご飯をにぎって「おにぎり」にして食べるというのは日本独特の習慣だ。中国人は冷たい食べ物を嫌う傾向にあるため、おにぎりを作ったり、食べたりする習慣もない。

日本人がコメを炊き、塊にすると「おにぎり」というおいしい食べ物に生まれ変わる=中国

その香港人や上海人は、台湾人がカキ氷を好きな理由を「植民地時代に、日本人の影響を受けたからでは?」という仮説を立てていた。

台湾人に聞いたら、「それは分かりません」ということだったけど。

 

中国人は冷たい飲み物をきらって、常温の飲み物が好き。
この理由は、中国医学の考え方にもとづいているのだろう。

平遥古城のガイドは、「日本は中国からいろいろなことを学びました」と言っていた。
それはそうだけど、日本は「取捨選択」をしていた。

日本は「中国のものは何でもいい!」と、すべてを受け入れたわけではない。
「中国にあるもののなかで、日本に必要なもの」を選んで受け入れていた。

医学に関しては江戸時代になると、中国よりも「蘭学」の西洋医学に大きな影響を受けたと思う。
1774年に、日本で初めての西洋医学書の翻訳書の「解体新書」が出た後は特に。

解体新書は前野良沢や杉田玄白らが翻訳した書で、学校の歴史の時間に習ったと思う。
彼らが日本語に翻訳した「神経」「軟骨」「動脈」「処女膜」といった言葉は、今の日本でも使われている。

中国は天文学を西洋に学んだけど、医学は学ばなかっただろう。

 

平遥古城

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。