今、日本に来るイスラム教徒の数は?日本各地の受け入れ体制は?

 

はい!クイズです。

この世界地図の青いところは何をあらわしているでしょうか?

 

World_Muslim_Population_Pew_Forum

答えは、イスラーム教徒の割合(ウィキペディアから)。
色の濃いところほど、イスラーム教徒の割合が高いということ。

日本は世界的に見ても、イスラーム教徒の割合がとても低いことがわかりますね。

 

ちなみに、イスラーム教とはこんな宗教。

イスラーム教

7世紀前半、ムハンマドが創始した宗教。
原義はアラビア語で「身を委(ゆだ)ねること」、転じて「唯一神(アッラー)への絶対服従」を意味する。アラブ人の征服活動とともにアラビア半島の外へ広がり、さらにムスリム商人の商業圏拡大ととも広がった。

(世界史用語集 山川出版)

このムハンマドは聖徳太子と同じ時代を生きた人。
ムハンマドがアラビア半島でイスラーム教を広めていたころ、日本でも聖徳太子が仏教を広めていた。

 

ムハンマドに神(アッラー)の言葉を伝える天使ジブリール(ガブリエル)
ウィキペディアから。

 

今、イスラーム教徒は日本にどれぐらいやって来ているのか?

2017年の1月から8月までの間で、日本に来たイスラーム教徒の数は約48万人。
訪日外国人の中では約2.5%になる。
単純に計算して、1か月に6万人のイスラーム教徒が日本に来ている。

来日するイスラーム教徒の中心は、インドネシアとマレーシア。
中東からのイスラーム教徒はまだ少ない。

 

日本に来るイスラーム教徒は今がピークではなく、むしろ逆で、これから増えていくだろう。
訪日イスラーム教徒の数は増加傾向にあり、これが止まる理由も気配もない。

それでここ数年、日本各地でイスラーム教徒を受け入れる体制ができつつある。

これは浜松市のスーパーにある「ハラールマーク」。
「イスラーム教徒が食べても大丈夫ですよ」ということをあらわしている。

イスラーム教徒は豚肉とアルコールがダメ。
それがアッラーの意思だから。
信者は禁止されている理由を知らなくてもいい。
イスラームとは「唯一神(アッラー)への絶対服従」ということ。
だから、とにかく無条件でアッラーの言うことには従わないといけない。

ボクが初めて浜松でハラールマークを見たのは2年前。
海外旅行ではよく見たけど、日本でも見るとは思わなかった。

 

2017年の5月ごろには、東京駅にイスラーム教徒のお祈りスペースができた。

それがこれ。

日本経済新聞の記事(2017/6/2)に、この祈祷(きとう)室のことがくわしく書いてある。

祈祷室は8平方メートルと2人程度が入れるほどの広さで、5日から利用できる。1年中利用でき、平日の場合は午前8時30分から午後7時まで入ることができる。

東京駅にイスラム教徒向け祈祷室 JR東日本

このスペースにはイスラーム教徒でなくても入ることができる。
だから無宗教の日本人でも、この中に入ってイスラーム教について知ることができる。
ちょっと時間があるときに、ここをのぞいてもいいと思う。

 

訪日イスラーム教徒の「おもてなし」は、区の単位でも進んでいる。

例えば、東京の台東区は551万5000円の予算を組んで、イスラーム教徒のためにいろいろな取り組みをはじめた。
具体的には、区にイスラーム教徒が食事をすることができるハラールのレストランを増やしている。

他にもこんなことをしている。
弁護士ドットコムの記事から。

同区ではムスリムが「礼拝をしたい」という問い合わせを受けた場合に、台東区立浅草文化観光センターの一部の使用を許すという対応もしている。さらに、実現に至ってはいないが、礼拝に必要な、聖地メッカの方向を示すコンパスと礼拝の儀式に必要なマットを貸し出すことも検討したという。

増加するムスリムの観光客、台東区は「ハラール」対応…政教分離の問題は?

観光センターで最寄りの礼拝所を案内するのではなくて、その中で礼拝させてくれるとは!
けっこう柔軟性がある。

でも、「聖地メッカの方向を示すコンパス」なんて、どれだけ必要性があるのだろう?
今日本に来るイスラーム教徒なら、スマホやタブレットで、すぐにメッカの方向が分かるような気がする。

 

カタール航空の機内地図
メッカの方向をさしている。

 

これに対して日本のネットでの反応は?

・東京はどんどんリベラルな街になっていくなw

・家の近くにもハラール料理店ができてアラブ系の人を見かけることが増えた。
東北の田舎町なのに。

・面倒くさいなー

・イスラムとかめんどくさすぎ

・日本には郷に入れば郷に従えという言葉があってだな

・何でそこまでしなきゃならんの

・刑務所でもイスラムの受刑者に配慮して豚肉を入れないようにしてるとか。

 

実際のところ、「イスラーム教ってめんどうくさい」「日本に来なくていい」と思っている人が多いのが現状だろう。

イスラームとは、「原義はアラビア語で『身を委(ゆだ)ねること』、転じて『唯一神(アッラー)への絶対服従』を意味する」ということ。
基本的にイスラーム教徒は、日本にいてもどこにいてもアッラーへ絶対服従する。
だから、「郷に入れば郷に従え」が通じない。

とはいえ、「日本に来なくていい」と言う人に対して、「そんな排他的なことを言うな!」なんて上から説教をしても意味がない。
排他性を非難する人が異論を排除したら、話にならない。
反対や異論に耳を傾けることも、受け入れ体制を整えることの1つ。

イスラーム教の理解を深めるために、イスラーム圏を旅行した人がその体験をSNSで伝えることも有効だ。

ただ、「イスラーム教徒は日本に来ないでほしい」と言うことも、ほとんど意味がない。
これから日本にやって来るイスラーム教徒はまず間違いなく増える。
訪日外国人が増えれば、日本は経済的・文化的なメリットを得ることができる。
自分の考えを現実に合わせていく柔軟性も大事ですね。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。