「ダッカのテロ」を利用して恐怖をつくって人を誘導するな

 

はじめの一言

「日本は実に、太初以来その固有の独自な文化を、外部の妨害を受けることなく自主的に今日に到るまで進展させ得たところの国土である。日本は幾世紀の間にしばしば外国の影響を摂取同化し、日本的なものへと変形し、その結果再び日本独自のものを産み出したのであった(ブルーノ・タウト 昭和)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

 

今回の内容

・バングラデシュは、親日国です
・異教徒の外国人は助からなかった
・新しい恐怖を作り出し、人を誘導するな
・それでも、バングラデシュは親日国です

 

・バングラデシュは、親日国です。

「バングラデシュは親日国です。みんな日本が大好きですよ」

バングラデシュを旅したとき、現地の日本語ガイドがそう言っていた。

そのことはバングラデシュの国旗を見たらわかるという。
バングラデシュの国旗のデザインは、日本の日の丸の影響を受けているらしい。

調べたら、確かにそうだった。

バングラディシュの国旗

2014年、来日中のバングラディッシュのシェイク・ハシナ首相は、父親で初代大統領などを務めたラーマン氏が、独立に伴う1972年の国旗制定時に「日本に魅せられ、日の丸のデザインを取り入れた」との秘話を明かした。

バングラデシュ観光情報サイト

banladeshflag

 

その日本語ガイドからおもしろい話を聞いた。

東南アジアを旅行していたとき、どこの国でも「カラオケ」を見かけた。
でも、バングラデシュにカラオケがない。

それで彼に聞いてみた。

「バングラデシュには、カラオケはないの?」

「ありませんよ。バングラデシュでは、カラオケを『悪魔の箱』とよぶ人がいるぐらいですから」

悪魔の箱?
ガイドはこう説明する。

カラオケは密室だから、若い男女が入ったら何をするかわからない。
それはイスラーム教の考えには合わない。
だから、信仰心があついイスラーム教の信者にはそれが許せない。
日本のようなカラオケをつくったら、きっとだれかが破壊するだろう。

バングラデシュでは、カラオケとは人間を堕落させる「悪魔の箱」と言う人がいるらしい。

「カラオケが悪魔の箱に見えるのか!」
日本とは考え方が全然ちがう。

 

 

・異教徒の外国人は助からなかった。

2016年7月1日の夜に、バングラデシュの首都ダッカで信じられないようなテロが起きた。

テロリズム(terrorism)

政治的目的を達成するために、暗殺・暴行・粛清・破壊活動など直接的な暴力やその脅威に訴える主義。テロ。

(デジタル大辞泉の解説)

 

「テロ」の語源は、ラテン語のterror(テラー:恐怖)になる。
人びとに恐怖を与えて自分の考えをうったえる。
最低最悪の行為だ。

*テロとはまったく関係ないけど、ディズニーランドの「タワー・オブ・テラー」の「テラー」も「恐怖」という意味。

ダッカでテロを起こした人間も、カラオケを「悪魔の箱」とみるような考え方をもっていたはず。
あのテロリストたちは過激なイスラーム教の考え方をしていたから。

 

ダッカ

 

ダッカのテロは決して「無差別テロ」ではない。

テロリストは、殺す人間(非イスラーム教徒)と殺さない人間(イスラーム教徒)とを、はっきり区別していた。

『クルアーン』の一節を暗唱できた者は命を助けられたが、これは犯人たちが非イスラム者(カーフィル)だけを殺害しようとしたためである

(ウィキペディア)

犯人たちは、イスラム教徒と、非イスラム教徒を分け始めた。
イスラム教徒には食料と水を与え、非イスラム教徒には与えなかった。

(ウィキペディア)

 

テロリストはイスラーム教徒には「紳士的」に対応している。

報道によれば、レストランのスタッフや、その他のバングラデシュ人に対する犯人たちの態度は「まったく礼儀正しく、心配りが行き届いていた」という。

(ウィキペディア)

 

今の段階では「日本人だからねらわれた」という根拠はない。

日本人がレストランに入ったことを確認してから、テロリストがそのレストランに押し入ったという情報を聞いたことがない。

犯人は以前からそのレストランを襲撃することを決めていた。
そしてその日に襲撃したら、そこにいた外国人にたまたま日本人がふくまれていたということだろう。

どこの国籍だろうと、イスラーム教徒ではない外国人だったら助からなかったはず。

 

 

・新しい恐怖を作り出し、人を誘導するな。

先ほど、「テロ」の語源はラテン語の「恐怖」であると書いた。
あんなテロ事件を知って、恐れるなというのはさすがにムリだと思う。

だけど、あのテロ事件を自分の都合の良いように解釈して、それをSNSで拡散しているような人たちがいる。

「日本人は狙われている!」「日本人は危ない!」というような人には違和感をおぼえる

事実を伝えることと恐怖を拡散することはちがう。
実際の事件をもとに、新しい恐怖をつくり出して人の不安を煽(あお)る。
そして、自分が考えている方向に人びとを誘導する。
これも、形を変えたひとつのテロ行為だ。

 

 

それに、関係者の同意もなしに亡くなった人たちの顔写真を勝手にフェイスブックにあげて、「私達で追悼しましょう」と呼びかけていた人たちもいた。
その後になぜか「安倍政権批判」へと導こうとする。

これにも不信感をいだいてしまう。
政権批判のために、テロを都合よく利用しているように感じてしまう。
政権批判をするのは自由だけど、それにはやり方がある。

 

 

・それでも、バングラデシュは親日国です。

「バングラデシュ人が親日的というのは、もう過去の話だ」

テレビ番組でそんな声を聞いた。

そうだろうか?
そんなすぐに、人々の心が変わることはないだろう。
テロ事件があったけど、圧倒的多数のバングラデシュ人は親日的だと思う。

以上、「ダッカテロ事件」についての報道やSNSを見ていて、思ったことを書いてみました。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。