日本でも韓国でも反感を買う。大人による「子どもの政治利用」。

 

大人になったら、政治に対して自分なりの意見を持つ。

そんなことは当たり前ですね。
むしろ、政治に関心をもってくれなきゃ困る。

その内容は何でもいい。
自民党を支持しても共産党を支持してもいい。
なんなら、輝樹塾でもOKだ。

2016年の東京都知事選に出馬したカレの雄姿はここでご覧あれ。

後藤輝樹様のオフィシャルサイト

 

どの政党の政策に賛成してもいいし、自分の政治的主張をSNSで発信してもいい。
それは本人の自由。

でも、やってはいけないことがある。
まあやってもいいけど、それをしたら人々のヒンシュクを買ってきっと逆効果になる、という方法がある。

それは子どもを使うこと。
自分の主張を子どもにさせるのはアウト。

例えば、ある人が憲法改正に反対していたとする。
それをその人が訴えるのはいい。
でも、小学生の子どもを使って、「憲法を変えないで」と言わせたりプラカードを持たせたりするのは逆効果。

自分の主張を子どもにさせるやり方は、共感よりも反感を集めてしまう。

それは日本も韓国も同じ。
韓国では最近、こんなことがあった。

 

来月11月7日に、アメリカのトランプ大統領が韓国を訪問する。

それを前にして、仁川(インチョン)市にある小学校の児童がトランプ大統領にあてて手紙を書いた。

「朝鮮半島で戦争をしないでほしい」
「もし北朝鮮と闘うことになったら対話で解決してください。僕らの大韓民国を守ってください」
こんな内容で、1年生から6年生までの全児童がこの手紙を書いている。

これから、この手紙を韓国にあるアメリカ大使館に届けるのだという。

 

学校が児童の手紙を公開したことで、このことが多くの韓国人の知るところとなった。
この試みについて韓国人はどう思ったか?

一般の韓国人は、共感よりも反感をおぼえた人が多かったらしい。
KJCLUBの記事(2017-10-28)によると、こんなコメントが寄せられている。

内容をみるとその多くが怒りの声だ。コメント欄には「子どもに何を教えてるんだよ?」「そうやって幼いうちから洗脳教育するんだね。米国は戦争狂で、北朝鮮はわが友だ、と」「先生が書かせた内容ということがばればれ。なんの意味もない」と子どもを利用したことへの批判が並ぶ。

訪韓迫るトランプ大統領に韓国の子どもたちが「お願い」の手紙

小学校の全児童がこの手紙を書いたのだから、これは学校の教師が発案、指導したと考えてもおかしくはない。
授業中にこれを児童に書かせたはず。

「子どもの思い」を書いた手紙の内容は教師がチェックして、必要なら訂正を入れただろう。
結局これは、子どもの意見に見せかけた教師の意見でしかない。
そう感じた韓国人が多かったから、「先生が書かせた内容ということがばればれ」と子どもを利用した大人が批判されている。

それに、学校はネットで子どもたちの手紙を公開したのだろう。
「わが校はこうした活動をしています」というアピールに反感をおぼえた韓国人もいたと思う。

 

これはアメリカの大統領にあてた手紙だから、韓国とアメリカのこと。
日本には関係がない。

でも、このニュースに対しては、日本のネットでも韓国と同じように「子どもの政治利用」に反感をもつ人が多かった。

・大人に書かされた感
・政治的に子どもを使う。
・オトナの思惑をコドモに代弁させようとするオトナにはヘドが出そうだ

子どもの政治利用は、大人が子どもを道具にすることと同じ。
こういうことをしたら、韓国でも日本でも嫌われて当たり前。

 

観光で韓国軍兵士と記念撮影ができる。

 

友だちの韓国人が小学生だったころ、韓国軍の軍人に手紙を書いている。
学校の先生が、「国を守ってたたかう韓国の兵隊さんに感謝の手紙を書きましょう」と、全校児童が感謝の手紙を書いて軍隊に送ったという。

学校の授業でこういう活動をすることは、韓国ではふつうにある。

でも日本でこれはあり得ない。

「国を守ってくれる自衛隊の人たちに感謝の手紙を書きましょう」なんて、教師が小学生に手紙を書かせたとしたら?
どれぐらいの問題になるのか想像もつかない。
こういうところでも、日本と韓国の違いを感じる。

 

 

今年の6月にも、韓国の中学生の手紙が日本で問題になった。

韓国の中学生が日本の56の中学校に、竹島教育を批判する手紙を送ったことが判明してニュースになった。

朝日新聞の記事(2017年6月13日)にこうある。

手紙は、日本による竹島の領有権の主張について「日本帝国主義の侵略戦争と虐殺、慰安婦を動員した犯罪の歴史の正当性を主張する行為」などと記した。

韓国の中学生「騒ぎ想像せず」 竹島問題で島根に手紙

日本の子どもたちが、「竹島が日本固有の領土である」という誤ったことを学ばされることに危機感を持って、中学生は手紙を書いて送ることを思いついたという。

もちろん、これも教師の後押しがあってのことで、子どもだけの発案・行動ではない。

 

でも、トランプ大統領への手紙とは違って、このことは韓国で”良いこと”とする見方が多い。
韓国紙も彼らを”英雄視”しているという。
子どもの政治利用でもあっても、反日愛国なら許される。
韓国社会にはそんな空気がある。

 

 

日本では、こうした子どもを利用するやり方に反発する人が多かった。

産経新聞の記事(2017.6.11)にこう書いてある。

下條正男・拓殖大教授は「子供を使った組織的な情報戦略のようだ。各委員が反論していきたい」と話した。

竹島の歴史教育批判の手紙 韓国中学生から島根の中学校に届く 理不尽な主張を子供にさせる韓国の「組織的情報戦略」

このときは、日本のネットでも、「子どもを使うな」というコメントがたくさん寄せられていた。
子どもが国の「組織的情報戦略」に組み込まれていることは、気の毒な気がする。

 

個人的には手紙そのものよりも、その背景にある韓国の学校教育を思うと頭が重くなる。
日本の学校で、教師が「竹島は日本の領土」と教えるのは当然のこと。
韓国でも「独島は韓国の領土」と教えているのだから。

なのにそれだけで、「日本帝国主義の侵略戦争と虐殺、慰安婦を動員した犯罪の歴史の正当性を主張する行為」と中学生が考えてしまう。
韓国メディアがこうした中学生や教師を「英雄」と見ているのだから、これは韓国人の常識の範囲内と考えていい。

中学生が手紙を出したことよりも、こういう生徒を生み出す韓国の学校教育のほうが問題だ。
反日愛国なら、一般常識が引っ込んでしまう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。