朝鮮通信使がユネスコ「世界の記憶」に。日韓の反応の違い。

 

このたび、ユネスコの「世界の記憶」に、「朝鮮通信使に関する記録」が登録されることが決まった。

ということで、今回はこのニュースについての日本と韓国の反応を見ていこうと思う。

日本と韓国の受け止め方には、けっこうな違いがある。

 

韓国のお寺もこのマーク

 

でもその前に、「朝鮮通信使ってなんだ?」というところを確認しておこう。

ここでいう朝鮮通信使とは、朝鮮国王が日本に派遣した外交使節団のこと。
朝鮮通信使は、幕府の将軍が代わるたびに日本へやって来た。
通信使たちが日本を移動するなかで、日本と朝鮮の学問や文化の交流もおこなわれている。

とりあえず、この点をおさえておこう。

・秀吉の朝鮮出兵で日本と朝鮮の国交が断絶する。でも、1605年に徳川家康との間で国交が回復した。
・家康の招きで、朝鮮通信使が1607年に初めて日本に来た。
・通信使が来日したのは、徳川家斉までの約200年の間で12回。

 

「金仁謙(キム・インギョム)」という朝鮮通信使が日本で水車を見て驚いたのはこのときだ。

河の中に水車を設け 河の水を汲み上げ
その水を溝へ流し込み 城内へ引き入れている
その仕組みの巧妙さ 見習って造りたいくらいだ

「日東壮遊歌 金仁謙 (東洋文庫)」

日本の水車を見て、これを「見習って造りたい」と思ったけれど、朝鮮ではうまくいかなかった。

 

 

朝鮮通信使に関する記録がユネスコに登録されたことについて、朝日新聞は社説で、これを機会に日韓関係を深めることを説いている。

その社説の中で、「雨森芳洲(あめのもりほうしゅう)」という日本人が登場する。
雨森芳洲は中国語と朝鮮語を話すことができ、朝鮮との外交を担当していた。

朝日新聞は、芳洲の「誠信の交わり」という考え方に注目した。

芳洲は対馬藩主に宛てた外交指針書「交隣提醒(こうりんていせい)」で、「互いに欺かず、争わず、真実をもって交わる」と説いた。相手を尊重し、対等な立場で接するという先人の教えは、いまの外交や交流にも通用する。

朝鮮通信使 交流の記憶を未来へ

そして、「互いに行き来し、重ねた歴史の記憶を刻み、未来の交流にいかしたい」と日韓友好を願いつつ社説を結んでいる。

 

読売・毎日・産経・日経新聞の社説は、朝鮮通信使のことを取り上げていなかった。

京都新聞の社説には、朝日新聞と同じような内容が書いてある。

朝鮮通信使は、平和外交の先駆けとも言え、まさに後世に残すべき人類共通の遺産にふさわしい。日韓関係はさまざまなあつれきの繰り返しだったが、負の遺産を乗り越えて友好関係を深めるきっかけとしたい。

朝鮮通信使  平和外交の心を後世へ

ボクが見た範囲では、日本の反応はこの2種類。

・朝鮮通信使に関する記録がユネスコに登録されたという事実を記事で伝える。
・これを日韓友好につなげたいと願う。

でも、韓国はどうかな?

 

 

韓国紙をのぞいて見ると、日本との温度差を感じる。
韓国では、朝鮮通信使に関する記録がユネスコに登録されたことにあまり注目していない。

韓国で最大の発行部数を誇る朝鮮日報にはこんな記事がある。

「朝鮮通信使記録物」が、「朝鮮王室の御宝および御冊」「国債報償運動記録物」と共にユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記録遺産に登録された。韓日両国が共同でユネスコの世界遺産を登録したのは、朝鮮通信使のケースが初めて。

「記録遺産:朝鮮通信使記録が登録、韓日共同申請では初」

韓国が登録申請した「朝鮮王室の御宝および御冊」と「国際報償運動記録物」と一緒に、「朝鮮通使に関する記録」も登録された。
そんな感じで、扱いが小さい。

どうも、「朝鮮通使に関する記録」にはあまり関心がないようだ。

 

 

ハンギョレ新聞には、「韓国がグランドスラム達成した!」という誇らしい記事がのっている。

「グランドスラムって何だ?」と思ったら宗廟のことだった。

宗廟は建物、祭礼、所蔵品がユネスコの世界遺産3大目録にそろって上がることになった。

朝鮮宗廟、世界遺産3大目録にすべて登載、初の“グランドスラム”達成

宗廟の建物、祭礼、所蔵品の3つがユネスコに登録されたから、「グランドスラム達成」になるらしい。

この記事を読み進めていくと、最後の方に朝鮮通信使が出てきた。

同時に登載された朝鮮通信使記録物と旧韓末国債報償運動記録物も歴史的意味が大きいという評価だ

ほんの少しふれているだけ。
グランドスラムの光が強すぎて、朝鮮通信使にはほとんど気づかない。

 

 

聯合ニュースには、「世界記憶遺産登録の朝鮮通信使 記念館建立を検討へ」という記事がある。

今回のユネスコ登録を記念して、釜山に記念館をつくるらしい。
さらに、この友好の精神を世界に広めるという。

同財団は朝鮮通信使を近隣国とのあつれきを解決し、平和を維持した好例だとして朝鮮通信使の精神を世界に広める事業を推進する。

いや、世界に広げなくても、日本と韓国だけでじゅうぶんじゃないか?
世界にアピールするよりも、日韓のキズナを深めることを考えたほうがいいと思うのだが?

韓国は、韓国の文化や料理などを世界に広げる「世界化」ということをよく考える。
世界の人たちに、韓国の良いところを知ってもらおうと熱心に活動している。

「朝鮮通信使の精神を世界に広める」というのも、この世界化の考え方にもとづいているように思えてならない。
これは日本側も望んでいるのだろうか?

どうも韓国が主導権を握って、ことを進めているような感じがする。

 

そう思ったら、こんなことが書いてあった。

釜山市と釜山観光公社は、朝鮮通信使と関連した観光ルートを開発して商品化し、朝鮮通信使関連のキャラクターを作って商品化する計画だ。

金もうけする気マンマンじゃないですか。

ここで得たお金は、日本にも分けてくれるのだろうか?
釜山市と釜山観光公社がやるのなら、日本は関係ないのかもしれない。

 

 

韓国の報道で、「これをきっかけとして、韓日関係を前進させよう!」という日本にあった反応はない。
0。
ボクが見た限りでは、まったくなかった。

あまり関心を示さないか、これによって韓国が得られるメリットに注目する。
ほとんどそれぐらいしか書いてない。
でも、それが韓国人らしい発想だと思う。

 

朝日新聞のように、「互いに欺かず、争わず、真実をもって交わる」と説いた「誠信の交わり」についてふれるでもない。
京都新聞のように、「負の遺産を乗り越えて友好関係を深めるきっかけとしたい」と書くわけでもない。

韓国の見方では、韓日関係はほとんど眼中にない。
そもそも、その言葉が出てこないのだから。

韓国の言う韓日友好とは、韓国の利益が中心になっている。
とよく思う。
「相手を尊重し、対等な立場で接する」という考え方はあまり感じない。

とにかく、これによって日韓友好を考えていた朝日新聞と京都新聞は残念でした。

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。