「あのさあ、ガンディーのやり方が、ヒトラーやポル・ポトにも通じたと思う?」①~イギリスのインド支配 前篇~

 

・ナチスやポル・ポト政権側の反対者への見方

 ナチスやポル・ポト政権の支配下では、ユダヤ人やカンボジア人は、いつ命を奪われるか分からないような苦しい生活をさせられていた。

 

特に、アウシュヴィッツの収容所やツールスレン刑務所では、考えられないような残酷な行為が行われていた。その背景には、ナチスやポル・ポト政権指導者がもっていた強烈な差別感情や蔑視(べっし)がある。

 ポルポト政権は、自分たちの敵である人間を家畜とみていた。

 


「ポル・ポト革命の指導者たちにとって、国民は人間ではなく、いつでも処分できる家畜に過ぎなかった(ポル・ポト〈革命〉史」 山田 寛)」


また、その見方は、ナチスも同じだった。

 


「たくさんのユダヤ人のお友達が、いっぺんに十人、十五人と検束されています。この人たちは、ナチス秘密警察(ゲシュタポ)からこれっぽちの人間らしい扱いも受けず、家畜を運ぶトラックに詰めこまれて収容所に送られていった。              (アンネの日記 完全版 文春文庫)」

 

 しかし、実際には、家畜であるだけではなく、それ以下に見られていたこともあった。

 

 ポル・ポト政権側の人間は、敵対者のカンボジア人を「ばい菌」と見ていた。「ポル・ポト政権指導者たちがばい菌(敵や家族まで含めて)は絶滅させなければならない(ポル・ポト〈革命〉史」 山田 寛)」

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「拷問で使ったムカデなどを入れた箱 ツールスレンで」

 

 また、アウシュヴィッツの収容所では、ユダヤ人は「害虫」のように扱われた。
この収容所では、チクロムBという毒ガスでユダヤ人を大量に殺害している。
このチクロムBは、それまで、収容所の害虫を駆除するために使われていたもので、それをユダヤ人殺害のために用いていた。

 

 「私の代理・保護拘禁所長のフリッチュが、殺害のために毒ガスを用いた。それがまさに青酸ガス・チクロムBだったのだ。それまで、これは、収容所の害虫駆除に常用され、備蓄されていたものだった
(アウシュヴィッツ収容所 講談社学術文庫)」

 

 これが、毒ガスによるユダヤ人の大量虐殺の始まりだった。これが、オランダに隠れ住んでいたアンネを、恐怖のどん底に落としいれた。

 

 「わたしたちの推測では、ほとんどの人が虐殺されていると思われます。イギリスのラジオでは、みんな毒ガスで殺されていると言っています。あるいはそれが、いちばんてっとりばやい死に方かもしれません。わたしは恐怖に打ちのめされています(アンネの日記 完全版 文春文庫)」

 

 ナチスの支配下のヨーロッパでは、ユダヤ人はこうした恐怖の中で生きることを強いられた。
 人を人と思わず、命を命とも思わなかったナチスやポル・ポト政権側は、こうしたアウシュヴィッツの収容所、ツールスレンやキリングフィールドで次々と人々を抹殺していった。

 

 この残虐な行為の理由を、アウシュヴッツの収容所所長の「ルドルフ・ヘス」とツールスレンの所長の「ドッジ」は、「上からの命令だから、従うしかなかった」と述べている。
 彼らもまた、組織の一員で命令は断れなかったのかもしれないが、人は人の命をこのように扱うことができるのかと、本当に暗い気持ちにさせられる。

 


しかし、そうしたときに、先ほどの兼好法師の「命とは、愛すべき宝である」といった言葉に触れると、救いのようなものを感じる。


 ・イギリスのインド人への見方

 

  一方、インドが独立する少し前からは、イギリスはナチスやポル・ポト政権のような態度でインド人に接してはいなかった。
確かに、1857年のインド大反乱では、イギリスはインド人の反乱者を大砲に詰めてぶっ放すというずい分ひどいことをした。

また、1919年には、インド北部のアムリットサールで、1500人の死傷者を出す虐殺事件を起こしている。
こうした残酷な行為はあったが、イギリスが国家の政策としてインド全土でインド人を迫害していたわけではない。

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「アムリットサール事件 多くのシーク教徒が銃殺された」

 

 イギリスがインドを支配していた全時代をとおしても、ナチスやポル・ポト政権のように、インド人を「害虫」や「ばい菌」とみなして、アウシュヴィッツの強制収容所やツールスレン刑務所のような「殺人工場」をつくってインド人を抹殺していたこともない。

 

 そもそも、イギリスは、インド人を「利用」しようとしただけで、「絶滅」させようとする意図はなかったはずだ。もちろん、その「利用」の仕方は過酷で、ときには、インド人は奴隷のように働かされていたらしいが。

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。