日本の強み。伝統文化とポップカルチャーを融合し、新文化を。

 

ボクが初めて海外旅行をしてから、もう20年ぐらいになる。
その時から今までをふり返ってみると、”海外で見かける日本”は大きく変わっている。

20年前は外国の空港や街で、パナソニックやソニーなど日本の家電メーカーの広告をよく見た。
でも最近はちがう。

今では日本の家電メーカーの代わりに、サムスンやLGなどの韓国の家電メーカーの広告を見かけることが多くなった。
海外旅行をするたびに、日本の家電メーカーの存在感がどんどんなくなっているように感じる。

 

タイの高速道路にあるこの巨大な広告も、以前はソニーかパナソニックだったと思う。

 

家電メーカーの代わりに、海外でよく見るようになったのは日本のポップカルチャーだ。

ポップカルチャーとはこんなもの。
外務省のホームページから。

ポップカルチャーとは,大衆向けの文化全般のことを表しますが,現在では「訴求力が高く,等身大の現代日本を伝えるもの」という意味でも使われます。具体的には,漫画,アニメ,映画,ゲーム,ライトノベル,ポピュラー音楽,テレビなどのことを指し

「ポップカルチャー」とは

日本は国をあげて、このポップカルチャーを世界に広げようとしている。

今では、外務省が世界最大のコスプレ・イベントをサポートしているほど。
コスプレ・イベントで優秀した人たちには外務大臣賞が与えられ、各国代表のコスプレイヤーは毎年外務省を訪れている。

 

外務省ホームページのキャプチャー

 

でも、日本が一番力を入れているポップカルチャーはアニメだろう。

日本には「アニメ文化大使」がいる。

在外公館等が主催する,ポップカルチャーを通じた文化事業のひとつに,「アニメ文化大使」があります。「アニメ文化大使」とは,諸外国で日本のアニメ作品を上映し,日本アニメに対する理解を深めるとともに,日本そのものへの関心に繋げることを目的としている事業です。

アニメ:アニメ文化大使

タイのドラえもん

 

イエメンでもナルトは大人気らしい。
ピカチュウはイスラーム教の考え方に反するから、サウジアラビアではNG。
でも、ナルトのストーリーならOK。

 

日本には、「等身大の現代日本を伝える」ポップカルチャーがある。

同時に、長い歴史の中で生まれた伝統文化もある。

2008年、日本初のユネスコ「無形文化遺産」として、次の3つが選ばれた。

・能楽
・人形浄瑠璃文楽
・歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎)

この3つは、まさに代表的な日本の伝統文化だ。
ここでは、この中の歌舞伎をとり上げたいと思う。

 

歌舞伎の始まりは、17世紀初めの出雲阿国(いづものおくに)が京都でおこなった「かぶき踊り」とされる。

だから、歌舞伎には400年の歴史がある。

 

出雲阿国(ウィキペディアから)

 

江戸時代に現在の歌舞伎が形づくられた。

舞台中心から演劇中心になり、花道・引幕を持つ劇場芸術に発展。江戸後期には人形浄瑠璃をしのぎ、全盛となる。

「日本史用語集 (山川出版)」

ちなみに「歌舞伎」の語源は、「傾(かぶ)く」だ。
松竹のホームページにその説明がある。

歌舞伎の語源は「傾(かぶ)く」。流行の最先端をいく奇抜なファッション、世間の常識はお構いなしの「かぶき者」をまねた扮装で見せたのが、歌舞伎のルーツといわれる「かぶき踊り」でした。

そもそも、歌舞伎って何?

「流行の最先端をいく」なんて読むと、「かぶき者って、なんかカッコいい」なんて思ってしまう。
でも実際には、かなりの迷惑者だった。

かぶき(傾奇)者

江戸時代の異様な振舞いや風体をした無頼の徒。一般市民に暴行を加えることもあり、社会の治安を乱したが、彼らの行為は時として反体制的性格を持つこともあった。

「日本史用語集 (山川出版)」

 

日本には優れた伝統文化とポップカルチャーがある。

それらを組み合わせて新しい文化をつくり出すことが、日本の強みや特徴になっている。

最近では「歌舞伎とナルトが手を組んだ」ということが話題になった。
オリコンニュース()から。

人気漫画「NARUTO-ナルト-」が新作歌舞伎として、来年8月の東京・新橋演舞場で上演されることが18日、分かった。坂東巳之助(28)中村隼人(23)の出演が決まり、スーパー歌舞伎2「ワンピース」に続く大ヒットを目指す。

NARUTO歌舞伎化、ワンピースに続くヒット狙う

こういう動きを知ると、俳句の”神”松尾芭蕉が大切にした「不易流行」を思い出す。

ふえき‐りゅうこう〔‐リウカウ〕【不易流行】

蕉風俳諧の理念の一。新しみを求めて変化していく流行性が実は俳諧の不易の本質であり、不易と流行とは根元において結合すべきであるとするもの。

「デジタル大辞泉の解説」

 

歌舞伎が常に魅力的であるためには、新しさを取り入れていかないといけない。
よく言われることだけど、「変わらないためには、常に変わり続ける」ということが大事。

歌舞伎の本質にも、「新しみを求めて変化していく流行性」があると思う。
その「新しみ」は、歌舞伎とは一見まったく関係のない、日本のポップカルチャーにあった。

今年4月には、東大寺で「EARTH×HEART (アースバイハート)LIVE」が開かれた。
これも伝統文化とJPOP(ポップカルチャー)の絶妙な組み合わせで生まれた新しい文化だ。

 

おまけ

タイのショッピングモールで開かれていた日本祭り。

 

 

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2 件のコメント

  • そうなんですか!
    「俺物語!!」というのがあるんですね。
    こち亀はずっと読んでいなかったから、知りませんでした。
    ありがとうございます。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。