平和を考えた④ 「日本では絶対にない、韓国の『民防衛(軍事避難訓練)』(後編)」

 

「写真は、二つに割れた韓国と北朝鮮を、もう一度一つにしようとしていることを 表しているという」

 

記事に入る前に、朝鮮戦争の確認。
もう知っている方は、先に進んでください。

「朝鮮戦争」

「1950~53 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から大韓民国(韓国)への侵攻で始まった戦争。北朝鮮軍に対し、アメリカ軍を中心とした国連軍が韓国を支援して介入(かいにゅう)した。

戦況が逆転して国連軍が鴨緑江(おうりょくこう)にせまると、中国が人民義勇軍を派遣して、のち38度線を挟んで戦局が膠着(こうちゃく)した。1953年に休戦協定が結ばれ、国家の弁列は固定化された(世界史用語集)」

 

韓国といえば、ビビンバや焼き肉などのおいしい料理と楽しい買い物のイメージがあるが、毎月15日の「民防衛の日」には、そうした韓国とはまったく別の一面が見られる。
民防衛(ミンバンウィ)とは、要するに軍事避難訓練のことをいう。

 

「日本では決して味わえない貴重な20分間の体験」と韓国の旅行サイト「ソウルナビ」は、この訓練を紹介している。
このサイトから、その日の様子を見てみよう。

「この日、午後2時になるとソウルだけではなく韓国全国で警戒警報のサイレンとともに車両が統制され、人は待避所(テピソ)に退避しなければなりません。敵の攻撃を報せる警報サイレン(午後2時)が鳴り、1分間平坦音(エ~~~~ン)が鳴り響きます。車両はすべてストップ、人も大通りを歩いてはいけません!」

「その後、敵の攻撃が開始したり空襲中であることを報せる空襲警報のサイレン(午後2時5分)が3分間、波状音(エ~ンエ~ンエ~ン)で鳴り響きます。そしてソウル上空には戦闘機の通り過ぎる音が!!(–;) また、化学兵器を使用する戦争に備えた警報は、ラジオ、テレビなどを通して警報放送が流されます。 でも現実には、以前に比べてこの民防衛訓練をしっかり行われなくなっています。

 

しかし先日9月11日、アメリカで起こったテロ事件を機に再び体制が強化されました。テロ鎮圧訓練や化学兵器戦争訓練などなど・・・民防衛の日の訓練は、約20分程度で終了。全国民の日常生活復帰を知らせる解除警報のあと、無事訓練は終了。日本では決して味わえない貴重な20分間の体験。朝鮮半島の現在の状況を垣間見る瞬間ともいえるでしょう」

 

この旅行サイトの「(–;)」といった絵文字を用いた文章を読んでいると、ずい分軽い印象を受けてしまう。韓国では、毎月の行事としてすっかりこの訓練が日常化しているのだろう。

 

 

しかし、こうした訓練の実施は、日本では考えられない。

「車両はすべてストップ、人も大通りを歩いてはいけません!」、「敵の攻撃が開始したり空襲中であることを報せる空襲警報のサイレンが鳴り響く」という状態が、訓練であっても日本で起こるとは想像できない。

 

日本では、戦争状態になったことを想定した訓練をするどころか、「もし、戦争になったら・・・」と言っただけで、周りから嫌な顔をされかねない空気がある。
頭の中から戦争の文字を消し去れば、現実に戦争の危険性もなくなってしまうのなら本当にいいことだけれど。

 

この辺は、「言葉にしたことは、本当に起こる」という日本に古くからある言霊(ことだま)の考えによるのかもしれない。
もちろん、 今のところは、日本がこうした訓練を行う必要はまったくないだろうけれど。

 

日本は、韓国の「民防衛」からは、かけ離れた遠い国だ。
以前、東京で、職務中の自衛隊員が迷彩服を着たまま地下鉄に乗っただけで、新聞に載るほどのニュースになった。「迷彩服の自衛隊員が、市民に不安を与えた」として。

 

この場合、迷彩服を着たまま地下鉄を利用した自衛隊員が問題なのか、それとも、それを「問題視」することが問題なのかはさておく。
いずれにしても、「民防衛」を毎月しなければいけない韓国は、やはり、日本とは「近くて遠い国」なのだなあと思う。

 

この、「民防衛」は、北朝鮮から韓国が攻められたことを想定して行われているのだろう。
当然のことながら、韓国にとっては、自国に攻め込まれないことが一番いい。
北朝鮮との問題が武力の行使ではなく、話し合いといった平和な手段で解決できることが、最も理想的だ。
韓国に友人が住んでいるボクとしても、こうした解決を願っている。

 

韓国はそのために、平和的・友好的に北朝鮮に対応してきたことがある。
しかし、それは失敗している。

 

そのことを次回に述べる。

そうすれば、「戦争に良い戦争も悪い戦争もない。どんな戦争も絶対にしてはいけない」と思っていても、ボクがそれを韓国人には言えないということが分かってもらえると思う。

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。