旅行・歴史雑学:ヨーロッパ主要国が誕生した時代ときっかけ

 

前回、韓国が北朝鮮との合同チームをつくったことに対して、スイスや日本が「スポーツ精神に反する!」「公平ではない!」と抗議したことを紹介した。

その中でこんな文を書いた。

サッカー・ワールドカップで「ウチら、むかし同じ国(フランク王国)だったんで」という理由で、フランスとドイツが合同チームを結成したら、他の国が黙っていない。

 

この文を見てふと思ったわけだ。

「せっかくだから、ヨーロッパの主要国の誕生を1つの記事にてみようかな」と。

ということで、これからドイツ・フランス・イタリア・スイス・オランダ・ベルギーができた時代ときっかけを書いていきたい。

 

 

・ドイツ、フランス、イタリアの誕生

独仏伊は元は1つの国で、「メルヘン条約」というロマンチックな響きで知られる・・、もとい、メルセン条約(870年)で3つにわかれた。

メルセン条約

フランク王国分割の条約。中部フランク王国の北部は東・西フランク王国に分割・併合され、ドイツ・フランス・イタリアの原形が成立した。

「世界史用語集 (山川出版)」

870年といえば、日本では平安時代。
894年に遣唐使が廃止されている。

現在のドイツ・フランス・イタリアは、このときから始まる。

 

フランク王国の時代別の領土
画像:Roke~commonswiki

 

 

・スイスとオランダの誕生

スイスとオランダは同時に誕生している。
双子のようなもの。

その少し前に、ドイツを戦場として「三十年戦争(1616~48)」という大戦争があった。
これは旧教徒(カトリック教徒)と新教徒(プロテスタント)というキリスト教徒による大バトルで、30年も続いてしまった。
日本の歴史ではこういう宗教戦争がない。

三十年戦争

スペインが旧教徒側を援助し、デンマークやスウェーデンが新教側にたって参戦するなど国際戦争に発展し、旧教国フランスが新教徒側にたって参戦した

「世界史用語集 (山川出版)」

この戦争でヨーロッパは一度、壊れてしまった。

この三十年戦争の講和条約として、ウェストファリア条約(1648年)が結ばれる。
「ウェストファリア条約」って、響きが良くてけっこう好き。
このウェストファリア条約の後、フランスは強大になってドイツは分裂状態になってしまう。

ウェストファリア条約で、オランダとスイスの独立が国際的に認められた。

 

日本では、1639年にポルトガル船の来航を禁止して、ヨーロッパではオランダだけと貿易をおこなうことになった。

 

でも、オランダが実質的に独立したのは1609年で、これはオランダ独立戦争(1568~1609)による。

オランダ独立戦争

ネーデルランドの新教徒を主体とする、スペインへの抵抗運動。カトリック強制などフェリペ2世の圧政に対し戦いが勃発

(世界史用語集 山川出版)

オランダはどーしても、スペインから独立したかった。
その理由は、スペインが宗教を押し付けやがったから。

当時オランダを支配していたスペインには、旧教徒(カトリック教徒)が多かった。
国王フェリペ2世もバリバリのカトリック信者。
カトリック王のフェリペ2世は、オランダにいた人たちに「おもえたちもプロテスタントをやめて、カトリックになれ!」と改宗をせまった。

 

スペインがオランダに重税を課したこともあるけど、この宗教的弾圧によってオランダの人たちは「もう、スペインとは一緒にいられんわ」と思うようになり、独立戦争を始めた。
1581年にオランダは独立宣言をしている。

国の分離独立は夫婦の離婚と同じで、「一緒にいても、この部分は支配してはいけない」というところがある。
「服装を変えろ」ぐらいならいいけど、「宗教を変えろ」と言われるときつい。
ちなみに、「フィリピン」という国名はフェリペ2世の名前にちなんでいる。

 

 

・ベルギー

オランダ独立戦争のとき、カトリック教徒が多かった南部10州は途中で戦争をやめてしまった。

「戦争とかやっぱムリ」と武器を捨てたこの10州は、またスペインの支配下に入ってしまう。
これが現在のベルギーの原形になった。

南部諸州はスペインの支配下に留まった。このスペイン領南ネーデルランドが現在のベルギー王国の起源である。

(ウィキペディア)

北部7州(今のオランダ)からしてみたら、裏切られた気分だろう。
オランダ独立戦争の中心人物だったウィレム1世は、吐き捨てるようにこう言ったという。
「途中で戦いやめるとか、ベルギー、マジあり得んわ」
という話は聞いたことがない。

 

このときスペインに戻ったベルギーは、後にオランダに支配されることになる。
でも、1830年にオランダから独立して、今のベルギーになる。

ベルギー独立

ウィーン会議でオランダに併合された、南ネーデルラント地域の独立。七月革命の影響下、1830年に同地域で武装蜂起が発生し、独立を宣言した。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

ヨーロッパ 目次

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2 件のコメント

  • おおっ!!
    そう言ってもらえるとうれしいです。
    ありがとうございます。
    これからもがんばりますね。
    もしよかったら、役立った記事があったらSNSでシェアしてください。
    見えないと思いますけど、宙返りしてよろこびますから。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。