アレクサンドロス大王をめぐるギリシャとマケドニアの対立。

 

「家康くん」は浜松市のゆるキャラで、わりと市民に愛されている。

 

 

ただ、浜松市民のボクとしては、岡崎市出身の人から、「岡崎で生まれた家康が、なんで浜松のゆるキャラになってんの?」と聞かれると答えに困る。

家康は29歳~45歳までの17年間を浜松城で過ごしていたし、1572年には、三方ヶ原の合戦で武田信玄の軍と戦っていて、この地との関係も深い。

くわしいことは浜松城公園のホームページを見てくれ。

浜松城公園HP

でも、まぁこれぐらいなら大したことはない。
国レベルで「あの英雄はウチのものだ!」と争うと、かなり深刻な問題になる。

例えば、ギリシャとマケドニアの対立だ。
マケドニアの首都スコピエの空港は「アレキサンダー大王空港」という。
でも、前々からギリシャがこれに怒っていた。
ギリシャ人は「アレクサンドロス(アレキサンダー)大王はギリシャの英雄だ」と考えているから。
ギリシャの紙幣にアレクサンドロス大王が描かれたこともある。

でも、マケドニア人もアレクサンドロスを自国の英雄と考えている。

 

アレクサンドロス大王

 

アレクサンドロス大王は紀元前4世紀にいた人物で、軍を率いて東方遠征をおこなって宿敵のペルシア(アケメネス朝)を倒し、ギリシアからインダス川までの大帝国を建設した。
人類史的な英雄だ。

 

この時代、今のマケドニアはギリシャにふくまれていた。
だからアレクサンドロス大王はギリシャ人だし、マケドニアの王でもある。

 

とにかく、そういうワケで、ギリシャはマケドニアの「アレキサンダー大王空港」が気に食わない。
ギリシャとの対立から、マケドニアのザエフ首相がついに「アレキサンダー大王空港はやめて別の名称にする」と発表した。

朝日新聞の記事(2018年1月27日)

古代ギリシャでマケドニア王国を率いたアレクサンダー大王はギリシャ人の誇りでもある。その名を冠した空港は、ギリシャの国民感情を刺激していた。

「アレクサンダー大王空港」やめます 2国対立の象徴

 

マケドニア側が対立を避け、ギリシャに譲った形になる。
このニュースに対して、日本のネット民は本当に他人事だ。

・ギリシャなんかに負けドニア
・名探偵コナン空港とか、日本って平和だな。
・うわあ初めて知ったわ
アレクサンドロス大王ってずっとマケドニアの人だと思ってた
・国名をアレキサンダーにしてまえ
・負けドニアはやめて
勝ちドニアにすると縁起がよい。

島国・日本はよその国と「それはウチの英雄だっ!」と争うことがないからホント平和だ。

 

 

おまけ

タイを旅行していたとき、タイ人の日本語ガイドからこんな話を聞いた。

ボクが静岡県出身だと分かると、タイ人のガイドが「静岡ですか。富士山があるところですね」と言う。
それでその後、こんな失敗談を話す。

「前に日本人のお客さんの中に静岡県出身の人がいたから、『富士山は静岡の山ですよね』って言ったら、山梨県の人に怒られました」

山梨県民の気持ちやプライドは理解できるけど、タイ人は許してあげてほしい。

 

じゃあ山梨県民は、「富士山静岡空港」にも怒っているのだろうか?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。