”できない約束”をして苦しむ韓国の文大統領に”自業自得”の声。

 

今、韓国の文大統領が苦しい立場に置かれている。

今月10日に、慰安婦問題について「2015年の日韓合意では解決にならない」とする韓国政府の新しい方針を明らかにした。
明らかにしたものの、日本政府から「まったく受け入れられない」「合意は1ミリも動かない」と返り討ちにされる。

苦しい立場は日本にいる韓国人も同じ。
「韓国政府の新方針とはどういうものか?」と説明を求められている。

神戸の韓国総領事は、文大統領がおこなったことは「両国間の未来志向的な関係を重視した苦悩の決断」だったと、日本側に理解を求めている(後でまた触れます)。

でもインターネットでの反応は、「ただの国内問題じゃないか」「自業自得」と冷たい。

 

でも、それは仕方ない。

文大統領は「できない約束」をした結果、そうなったのだから。
実現できないことを「やります」と言った結果、本人が苦しんだとしても、まわりから同情や理解は得られない。

「オレが解決してやるよ!」と頼もしいことを言ったけど、実際には何もできなかった。
「見た目はジャイアンだけど中身はのび太くんだった」では、まわりの人が困る。
できるかどうか分からないことを約束すると、いつか必ずツケが回ってくる。

 

今の文大統領が苦しくても、それは自業自得。

今回は、去年にさかのぼって文大統領の”公約破り”を見ていこうと思う。
文大統領がどんな人間なのかも見えてくる。

それと、「できない約束をすると、信用を失うし自分も苦しむ」という人生の大切な教えを知ることもできる。

 

 

去年、文氏が大統領選をたたかっていたとき、慰安婦合意について「あれは間違っていた。わたしが大統領になったら、日本と再交渉をおこなう」と国民に約束した。

政治家が口にしたのだから、これは公約だ。

でもこの公約を知ったとき、「こんな約束をして大丈夫なのか?」と選挙権もないけど心配になった。

政権が替わったからといって、国家間の合意を一方的に破棄することはできない。
「今の政権にとって都合が悪いから、あれはなかったことにします」なんて言ったら、その国は世界から信用されなくなる。

「文氏が大統領になって本当に合意の再交渉を言い出したら、日本は激怒して日韓関係はとんでもないことになる」ということは簡単に予想できる。

 

去年の日本には、韓国が合意の再交渉を要求しても、それを認めようとする空気はまったくなかった。
今もないけど。

文氏は選挙戦を勝ち抜き、みごと大統領に選ばれる。

そのとき日本の全国紙(朝日・毎日・読売・産経)は、すべて同じ主張をしていた。
簡単に言ったら、「文大統領は合意を守れ。絶対に再交渉を言い出してはいけない」ということ。

立場や考え方の違う新聞が同じことを主張するのは珍しい。
これは日本の総意として韓国に求めたこと、と見ていい。

 

 

このときの各紙の社説をざっと見ていこう。

朝日新聞の社説「韓国新大統領 融和図り国政の再建を」

懸念されるのは、一昨年暮れに日韓両政府が交わした慰安婦合意について、再交渉を求めると主張してきたことだ。

毎日新聞の社説「韓国新大統領に文在寅氏 地域安定へ日韓で協力を」

文氏は合意に否定的で、日本との再交渉を訴えてきた。国家間の合意を一方的に覆すようなことは許されない。
残念なのは、少女像問題の深刻さを軽く見る傾向が韓国側にあることだ。新政権には合意の精神を踏まえた対応を求めたい。

「少女像問題の深刻さを軽く見る傾向が韓国側にある」ということは今でも変わっていない。

 

読売新聞の社説「韓国大統領選 文氏は『親北・反日』を貫くのか」

疑問なのは、2015年末の慰安婦問題を巡る日韓合意について、「間違いだ」と断言し、再交渉を要求していることだ。
日本では、韓国が「ゴールポストを動かす」との不満も強い。

産経新聞の社説「韓国新大統領 まず日米と『対北』連携を」

日韓合意の再交渉も主張しているが、合意は慰安婦問題の不可逆的決着を表明したものだ。これを破るというなら、世界に対して「約束を守れない国」であることを宣言するに等しい。

日本のすべての全国紙が文大統領に「再交渉を求めるな。いいか、絶対だぞ」と注文している。

でもそれは当然。
2015年の日韓合意は、今の日韓関係の基礎となっているのだから。
それをなくしたら、今の日韓関係も消える。

 

そもそも、韓国側がどれだけ強く「日本と合意の再交渉をおこなう」と言ったところで、日本がそれに応じなかったら、どうやってそれができるのか?
文氏は大統領になるため、できないことを国民に約束してしまった。

 

 

できないことはやっぱりできない。

2018年になって、文大統領はそれを認めた。
「日韓合意は間違いだったけれど、日本には再交渉を求めない」と言う。

でも文大統領は「あれで慰安婦問題の解決はできない」「問題の解決には、日本が心から謝罪することが必要」と合意を否定したり、実質的な追加措置を要求してくる。

日本側には「これは事実上の合意破棄ではないか」という見方が広がる。
韓国への不信感が高まって日韓関係も悪くなっていく。

 

そんな空気を払しょくするために、日本にいる韓国人が活動している。
その1人が始めに書いた韓国総領事館の総領事。

神戸新聞の記事(2018/1/20)でこう言っている。

朱総領事は「文大統領が破棄したのは日韓合意ではなく、昨年の大統領選で自身が掲げた『(日本と)再交渉を行う』という公約だった」と説明。

駐神戸韓国総領事 慰安婦新方針「苦悩の決断」

『(日本と)再交渉を行う』という公約」は、してはいけない約束だった。
「日本に再交渉を求めない」と明らかにしたことで、文大統領は元慰安婦や支持者などから非難を浴びている。

文氏はできないことを約束して大統領になったから、今そのツケが回ってきた。

朝鮮日報の記事(2018/01/28 )にはこうある。

慰安婦交渉を白紙化したが、日本に再交渉とは言えなかった。結果は日本の強い反発、慰安婦被害者の「だまされた」という反応だけだった。

文大統領、国防まで「やりたいことをやる」では困る

 

文大統領には、まったく同情も理解もできない。

気の毒なのは、日本側に説明をしなければいけない人たちだ。
日本には先ほどの総領事のような人がたくさんいる。

今、日本では韓国への信頼はなくなりつつある。
文大統領がしめした方針に「納得できない」が86%、「韓国を信頼できない」と思う人は78%に達したというデータもある。

 

「文大統領が破棄したのは日韓合意ではなくて、『(日本と)再交渉を行う』という公約だった」
「これは苦悩の決断だった」

韓国の総領事はそう説明したけど、インターネット上にはこんな厳しい声が多い。

・合意を維持したと言いながら履行を無視するなら合意破棄より不誠実
・その公約を掲げて大統領になった時点で日韓関係も破壊した
・合意はするが履行はしないなんて言い分が通用するはずない
・合意は破棄しない、履行はしないじゃ、両方裏切ってる事になるんだが?
*「両方裏切ってる」は当たっている。
「結果は日本の強い反発、慰安婦被害者の「だまされた」という反応だけだった」と朝鮮日報も書いていた。

こんな韓国不信の日本で、韓国への理解を求めるために汗を流している人もいる。

文大統領が「苦悩の決断をした」といっても、それは自業自得。
「苦渋」という言葉はこの人たちのためにある。

 

貝木泥舟(かいき でいしゅう)風に言えば、

「今回の件でオレたちが得られる教訓は、できない約束はするな。いつか必ず後悔する、ということだ」となる。

だれかと約束をするときは、それを実現できる根拠をしっかり確認してからにしましょう。

 

 

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