慰安婦問題のかけ引き:韓国「ボールは渡した」vs 日本「断る」

 

「ボールを渡す」という言葉がある。

スポーツの場面だけではなくて、「誰かに責任を押しつける」という意味でも使われる。

例えば、学校の文化祭の話し合いで、先生が「誰かにリーダーをやってもらいたいのだか」と生徒に投げかけたとする。

すると佐藤君が、「それなら鈴木君がいいと思います」と言う。
ボールを渡された鈴木君は、「ボクより加藤君の方がいいです。加藤君はリーダーシップがありますから」と、テキトーなことを言って加藤君にボールを渡してしまう。

こんな感じに、やっかいなことを他人に押しつけることを「ボールを渡す」と言う。
ボールを渡された側は、動き出さないといけないから面倒くさい。

とんでもないボールを渡すと「むちゃぶり」になる。

「ボールを渡す」という責任転嫁は、きっと小学生でもやっている。

 

 

韓国も時どき、日本にボールを渡してくる。

最近も、ハンギョレ新聞にこんな記事(2018-01-10)があった。

カン長官は、最終的な処理方針を留保し、「被害者の名誉回復など関連の日本政府の自発的努力と謝罪」に言及することで、ひとまず日本側にボールを渡して対応策を模索する構えだ。

10億円の処理明らかにせず「真の謝罪」日本にボール渡す

韓国の外交部長官(日本でいう外相)のカン氏が今月9日、2015年の慰安婦合意についての見解を述べた。

カン外相は合意の再交渉は求めなかったけれど、問題解決のための「自発的努力と謝罪」を日本に求めてきた。

韓国政府も、この合意が国家間で結ばれた正式なものだったと認めている。
だから、これを”なし”にして、日本に再交渉を要求することはしなかった。

でも、何とかして日本に謝罪をさせたい。
それで、「日本の自発的な謝罪を期待する」という遠回りの言い方になった。

でもこれは、「韓国が何も言わなくても、日本は自ら謝罪するべきだ」という上から目線の言葉にもなる。

とにかく韓国の見方では、カン外相が「日本政府の自発的努力と謝罪に言及すること」で、日本にボールを渡したと考えているらしい。

でも、それはどうかな?

 

 

カン外相が発言した次の日、今度は文大統領が慰安婦問題についての韓国政府の方針を発表した。

基本的にはカン外相が言ったことと同じ。
文大統領も日本に対して「慰安婦問題が解決されるために、日本が真実を認識し、自発的に謝罪することを期待する」といった遠回しの言い方をする。

そしてこれも、「日本にボールを渡した」と韓国は考えた。
共同通信の記事(2018/1/12)から。

「(新方針は)合意の再交渉や破棄ではないという立場を明確にし、日本側には十分説明した。ボールは日本側に渡った状況だ」との韓国外務省当局者の話を伝えた。

日韓関係「急速に冷却も」

でも、待ってほしい。
慰安婦問題は2年前に、「最終的な解決」で韓国政府も合意している。
今になって「日本の自発的な謝罪を期待する」と言い出したら、「両国関係は急速に冷え込む可能性がある」というのはあたり前。
むしろ、その可能性しかない。

でもそれ以前に、韓国は「日本にボールを渡した」と考えていたのだけど、実はこれはかん違い。
ボールは日本に渡っていない。

 

 

韓国は日本に「自発的努力と謝罪」に言及したり、「日本側には十分説明」したりしたことで、ボールは日本側に渡ったと考えている。
つまり、「今度は日本が動く番だ」ということらしい。

でも日本は、韓国からのボールを受け取っていない。

安倍首相は”自発的な謝罪”をふくめて、「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」とハッキリ言っている。

2015年の慰安婦合意は、国と国が交わした約束だ。
だから、これを守ることは「国際的かつ普遍的な原則だ」と強調する。

 

インターネット上でも、「日本にボールを渡した」という韓国の見方は共感を得ていない。

・>ボールは日本側に渡った状況
単に、投げ込んだだけ。
・合意済みで、ボールは存在しません。
・だから受け入れられないってボール返してるでしょ?
・試合終了後にボール渡されてもね
・試合終了のホイッスル鳴ってもボール蹴りこむのが韓国式なんですか?
・ボールもゴールも既に無いんだよ、ゲームは終わったんだよ

「ボールは日本側に渡った状況だ」と韓国側が言ったけれど、日本にはその様子がまるでない。
韓国政府が示した方針について、協議すらしていない。

「韓国の要求は、全く受け入れることはできない」という言葉のどこに、「ボールを受け取った」と解釈できる部分があるのか?

 

 

中には、こんなコメントもあった。

・よく見てみようボールはまだ韓国に残っている

たしかにその通りだ。

安倍首相はこうも言っている。

「日本側は約束したことは全て誠意を持って実行している。韓国側にも実行するよう強く求め続けていきたい」

日本は約束したことを全て実行したけれど、韓国はまだやっていない。
その動かぬ証拠が日本大使館前にある慰安婦像だ。
韓国は合意にもとづいて、この慰安婦像を撤去しないといけないのだけど、まだ実行していない。

結局、「ボール」とは慰安婦像のことだった。
早く適切なところにしまった方がいい。

 

 

おまけ

先ほどのハンギョレ新聞の記事には、こんな文もある。

長期戦の構えで韓日両国が接点を見出せるための時間を稼ぐ戦略を建てたものと見ている。

10億円の処理明らかにせず「真の謝罪」日本にボール渡す

カン外相や文大統領が言ったことは戦略としての「時間稼ぎ」で、韓国はまだ合意の再交渉をあきらめてはいないのだろう。

日本はボールを渡されないためにも、「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」とくり返し言い続けるしかない。

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。