「韓国はすぐゴールポストを動かす!」でも、日本も悪いんですよ。

 

グーグルキーワードに「ゴールポスト」と打ちこむと、こんな画面が出てくる。

 

日本では、たくさんの人が韓国を「ゴールポストを動かす国」と考えている。
というか、怒っている。

ウィキペディアの説明はこうだ。

日本では韓国が約束・宣言・合意・条約などを勝手に変更や無視して向こうの決めた事を履行せずに日本に知らぬ存ぜぬで追加要求をする状況を意味する時によく使われる。

ムービング・ゴールポスト

「インターネット百科事典」のわりには、感情的な内容で少し驚いた。

 

でも日本では、韓国への認識としては一般化なもの。

「韓国はゴールポストを動かす」と、新聞や政治家も言っている。

読売新聞は社説(2017年05月10日)でこう書いていた。

疑問なのは、2015年末の慰安婦問題を巡る日韓合意について、「間違いだ」と断言し、再交渉を要求していることだ。
日本では、韓国が「ゴールポストを動かす」との不満も強い。

「韓国大統領選 文氏は『親北・反日』を貫くのか」

今日(2月2日)の毎日新聞のコラム「韓国は嫌いですか」にも、「日本側が韓国批判に多用する“ゴールポスト”論について」とある。

 

首相経験のある野田佳彦(のだ よしひこ)議員も、去年こんな発言をした。
産経新聞の記事(2017.1.16)から。

フリーランスの記者が「まず相手(韓国)の気持ちを聞くべきだ」と質問すると、野田氏は「ある意味ずっと聞いているじゃないですか」と色をなして反論した。
また、「韓国はゴールポストがずるずる動く。この繰り返しをしてはならない」とも指摘。「一回決めたことは、お互い歯を食いしばって前進させる努力がないといけない」とも語った。

民進・野田佳彦幹事長「ゴールポストがずるずる動く」と韓国の対応を批判

 

「ゴールポストを動かす」ということは、一般的にもある。

例えば、A君がB君との待ち合わせ時間を間違えていて、B君を1時間待たせてしまったとする。

するとBがこう言う。

「1時間も待たせんなよ。おまえ、昼飯おごれよな。それでチャラにするわ」

それで、AはBにランチをおごる。
その後、Bがこう言う。

「やっぱあれじゃ、納得いかん。ゲームやりたいから、ゲーム代出して。そうしたら、終わりにするわ」

ムカッとしつつも、AはBにゲーム代を出す。
ゲームが終わった後、Bはこう言う。

「1時間も待たされて、昼飯とゲームじゃわりに合わん。帰りのバス代も出して。これで最後にするし」

「ふざけんな!」と思いつつも、Aはバス代をBに渡してしまう。

 

こんな感じで、「これでいい(終わり)」というゴールポストがどんどん動いてしまう。
後になってから、自分の都合の良いように解決条件を変えようとする。
世の中には、たまにこんな人間がいる。

A君としては、「Bはゴールポストを動かすから、いつまでも終わらない」と、文句を言いたくなるのも当然。

でも待ってほしい。

A君にも、その責任はないだろうか?

 

今月はじめ韓国政府が2015年の慰安婦合意について、新しい方針を発表した。

朝日新聞の社説(2018年1月10日)では、この新方針について「明確な考え方が見えない。理解に苦しむ表明である」とした上でこう書いてある。

日本側も「1ミリたりとも合意を動かす考えはない」(菅官房長官)と硬直姿勢をとるのは建設的ではない。
アジア女性基金では歴代の首相が元慰安婦におわびの手紙を送ってきた。韓国側から言われるまでもなく、合意を守るためにその範囲内でできる前向きな選択肢を考えるのは当然だ。

「慰安婦問題 合意の意義を見失うな」

 

東京新聞も社説(2018年1月25日)で同じ指摘をしていた。

国と国との約束は当然守るべきだが、といって「合意は一ミリも動かさない」(菅義偉(すがよしひで)官房長官)というかたくなな姿勢はどうか。

「首相平昌出席へ 溝を乗り越える対話を」

 

日本政府は「韓国が何を要求してこようとも、まったく受け入れられない。慰安婦合意は1ミリも動かない」と何度も言ってきた。
もし、韓国が追加措置を求めてきても、「日本は一切応じない」という強い態度を示してもいる。

そんな日本政府を、朝日新聞は「硬直姿勢」、東京新聞は 「かたくなな姿勢」と批判している。

あなたはこの考え方に賛成ですか?

 

これは日本政府が正しい。

「追加措置の要求は、まったく受け入れられない」
「合意は1ミリも動かない」

日本はこういう強い姿勢を韓国に取り続けるべき。

野田元首相が言うように、ある意味、日本はこれまで韓国の言うことを聞きすぎていた。
「韓国はゴールポストがずるずる動く。この繰り返しをしてはならない」と日本が言うのなら、日本も韓国の「ゴールポストずらし」に応じてはいけない。

先ほどのA君で言えば、B君が後から何を言っても無視すればよかった。
「もうこれ以上、1円も出さない」とB君を突っぱねればいい。
「そんな硬直した態度では、オレとお前の関係が悪くなるぞ」とBが言っても、相手にする必要はない。

友好関係を人質にして、自分の要求を通そうとするのはルール違反。
そんな関係なら一度整理した方がいい。

 

「1円ぐらいならいいか」と思って、B君に応じてはいけない。
「1ミリぐらいならいいか」「今回は特別に」と思って、日本が韓国の”ゴールポストずらし”を認めたら、きっと後悔する。

日本が1ミリでも合意を動かしたら、きっと10センチ、1メートルと動く。
ヘタをしたら、慰安婦合意の再交渉につながってしまうかもしれない。

それに、「日本は『1ミリも動かない』と言ったことでも、結局は動かしてしまう」と他の国に思われても困る。

「日本政府の姿勢は硬直でかたくなだから」ということで、日本が韓国の要求を受け入れる。
そんなことをしておいて、「韓国はすぐゴールポストを動かす!」と怒ってはいけない。
日本にもその責任はあるし、その意味で、日本だって悪い。

 

「一回決めたことは、お互い歯を食いしばって前進させる努力がないといけない」ということで、韓国にはがんばってもらうしかない。

でも大丈夫。
5000年の歴史を持つ大韓民国には、困難を切り抜ける英知がきっとあるから。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。