日本と海外の”英雄”の違い①韓国の李舜臣とイギリスのネルソン。

 

海外旅行に行くと、日本との違いをよく感じる。

インドの街では、牛がふつうに歩いていた。
中国では「昨日、格安の羊肉を食べたけど、おいしかったですよ」と中国人ガイドに言ったら、「それは羊の肉じゃありません。危険だから、もう食べないでください」と言われた。
カンボジアのホテルでは、持ち込み禁止物に「手りゅう弾」があった。

やっぱり世界は広かった。

 

銃、手りゅう弾、覚せい剤は持ち込み禁止。

 

価値観や考え方の違いでいえば、「海外では歴史上の人物をとても英雄視する」ということがある。
逆に言ったら、日本では国民的英雄がいない。

外国の空港には、その国の英雄の名前がつけられていることがよくある。
アメリカには「ジョン・F・ケネディ国際空港」、フランスには「シャルル・ド・ゴール空港」がある。
芸術家では、イギリスに「リバプール・ジョン・レノン空港」があるし、イタリアには「レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港」と呼ばれる空港がある。

アジアを見ても、モンゴルには「チンギスハーン国際空港」、台湾には初代総統の蒋介石にちなんでつけられた中正国際空港」があった。

インドの「ネータージー・スバース・チャンドラ・ボース国際空港」には3回ほど行ったことがある。

このへんに興味がある人は人名空港を見てください。

 

日本ではこれがない。
歴史上の人物の名前がある空港は、高知の「龍馬空港」しかない。
でも、これは国際空港ではない。

 

インドの英雄「チャンドラ・ボース」
日本とも深いつながりがある。

 

 

海外では、歴史上の人物にちなんで地下鉄の駅名がつけられることもある。

韓国ソウルの地下鉄には、「忠正武路」や「乙支路3街」という駅がある。
それぞれ韓国の英雄「忠武公(=李舜臣:イ・スンシン)」と「乙支文徳(ウルチムンドク)」からつけられた。

エジプトに行ったときは、ナセル元大統領にちなんでつけられた地下鉄「ナセル駅」があった。

 

その人物が高い評価を受けているから個人の名前が駅名になるのだけど、評価が下がると名前が取り消されることもある。

前にエジプトでそんなことがあった。
エジプトにはムバーラク大統領の時代、「ムバーラク駅」という地下鉄の駅があったのだけど、2011年の革命によってムバーラク政権が崩壊した後、「シャハダー駅」になってしまった。

自分が生きているときに、政治家が公共の建物に自分の名前をにつけても、死亡フラグでしかない。

 

 

これから、同じ理由で国民的英雄になった韓国とイギリスの人物2人と、同じことをしたのだけど、なぜか知名度の低い日本の人物を紹介していこうと思う。
日本の人物は次回にして、今回は韓国とイギリスの「だれもが知っている」という人物を知ってもらいたい。

 

まずは、先ほど出てきた「李舜臣」。
この人物は、韓国でとても人気がある。
韓国人に「尊敬する歴史上の人物」を聞いたら、ベストスリーに入ることは確実、ナンバーワンになるかもしれない。

李舜臣は朝鮮出兵のときに活躍した朝鮮軍の武将。
豊臣秀吉による朝鮮出兵は学校で習ったはず。

文禄の役(1592~93)と慶長の役(1597~98)の2回がある。
最後は秀吉が死んだことで、日本軍が朝鮮半島から撤退した。

このときに、李舜臣は水軍を率いて日本軍と戦った。
韓国の中学生用の歴史教科書にはこう書いてある。

ところがまさにこのとき、日本軍を殲滅して、危機に陥った国を救う人々が現れた。
それは、まさに李舜臣が率いた水軍と故郷と国を守るために立ち上がった名もない義兵たちだった。

「躍動する韓国の歴史 (明石書店)」

李舜臣は日本との戦いに勝ち、国を救ったことで韓国の国民的英雄になっている。
彼が戦いで死んでしまったことも、「英雄度」を上げている。

でも、李舜臣と義兵の活躍が目立つのは、「他がダメダメだったから」ということもある。
日本軍が攻めてくると、国王は国民を捨てて北方に逃げ出してしまった。

 

朝鮮軍の武将、李舜臣。

前に、この像が持ってる刀が「日本刀ではないのか?」ということで、大騒ぎになったことがある。

 

朝鮮軍が使っていた旗

 

次はイギリスのネルソンさん。

ネルソンは1805年のトラファルガーの戦いの歴史的勝利で、世界史に名を残した。

トラファルガーの海戦

トラファルガー岬沖合のジブラルタル海峡における、フランス・スペイン連合艦隊とイギリス艦隊の戦い。1805年10月、フランスはネルソン指揮のイギリス艦隊に大敗し、ナポレオンはイギリス本土侵攻を断念した。

「世界用語集 (山川出版)」

ネルソンはこの前に、フランスとの戦いで右眼と右腕を失っている。

トラファルガーの海戦で大きな傷を負ったネルソンは、「Thanks God , I have done my duty(神に感謝する。私は義務を果たした)」という言葉を残して息を引きとった。

 

戦いに勝利して国を守ったネルソンは、イギリス最大の英雄といわれている。
ネルソンにちなんでつけられた駅名はないけれど、この勝利を記念してトラファルガー広場がつくられた。

次回は李舜臣やネルソンと同じく「救国の英雄」のわりには、イマイチ知られていない日本の英雄を紹介します。

ちなみに、李舜臣とネルソンが似ているというのなら、豊臣秀吉とナポレオンも似ているということになる。

 

ネルソン(ウィキペディアから)

 

おまけ

英雄ネルソンは、死後も伝説を残した。
ラム酒は「ネルソンの血」と呼ばれることがある。

トラファルガーの海戦で亡くなったネルソンの死体は、ラム酒の入った樽(たる)に漬けられていた。
死体を保存するために。

イギリスに戻ってからその樽の中を見たら、ラム酒が一滴もない。
「酒好きのネルソンが、死体になってもラム酒を飲んでしまったから」と人々はささやいたという。

・・・ではなくて、「ネルソンを漬けていたラム酒を、水兵たちがすべて飲んでしまったから」といわれている。
水兵は英雄の「エキス」がほしかったらしい。

 

こんな話から、ラム酒は「NELSON’S BLOOD」と呼ばれるようになった。
「死せるネルソン、生きる水兵を動かす」といったところですね。

*この言葉は三国志の「死せる孔明、生ける仲達(ちゅうたつ)を走らす」をもじった。

死せる孔明生ける仲達を走らすとは、すぐれた人物は、死後にも生前の威力が保たれていて、生きている者を恐れさせることのたとえ。

死せる孔明、生ける仲達を走らす

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。