明治時代から続く日本の悩み「外国人観光客による落書き」

 

このごろ都ではやるもの。

それは”落書き”。

迷惑なことに、最近の東京では落書きの被害が相次いでいる。
例えば、テレビ朝日がこんなニュース(2018/01/18)を伝えていた。

午前1時ごろの点検では異常はなく、その後、午前5時までの約4時間の間に何者かが駅構内に侵入し、落書きしたとみられます。

「東京メトロで“また”落書き 今年に入り3度目」

何者かが中野駅に侵入して、そこにあった車両に7メートルほどの落書きをしやがった。

だが待ってほしい。
ボクは静岡県民だからよく分からないけど、駅の構内に侵入するって簡単にできるものなのか?

これが今年で3回目だ。
13日には千代田線の、15日には日比谷線の車両に落書きがされている。

 

ネットの反応はこんな感じ。

・東京オリンピックも近付いてるってのに
もっと緊張感持って警備しろ
・センスの悪いラッピング電車で、落書き並みなのもあるけどな。
・おそらく日本人か外国人
単数もしくは複数
男性もしくは女性
10代から50代・・・
・治安悪化の象徴だな
・海外のように落書き列車が走るくらいじゃないとグローバル化とは言えない
・よかったな東京、欧米みたいになれてw

 

 

東京での落書き被害は、地下鉄だけじゃない。

渋谷のビルにも、「LUCID」や「SYD」などの文字がスプレーで落書きされている。

でも、これは犯人が捕まった。
日本に観光で来ていた2人のオーストラリア人だった。

彼らは渋谷の街を見て、「ここは落書きOKなんだ!」と思ったらしい。

産経新聞の記事(2018/02/07)から。

「街に描かれている落書きを見て、渋谷は落書きしていいと思った」と容疑を認めている。

「『渋谷は落書きしていいと思った』ビル4棟の外壁にスプレー 豪州人少年2人逮捕 警視庁

静岡県民だからよく分からないけど、渋谷ってそんな街だっけ?

外国人が歩いているだけで、落書きしたくなるような。

 

 

「落書きをするのは外国人だ!」
「落書きを見たら外国人と思え!」

という、一方的な見方をしてはいけない。

けれど、日本にそういう考え方が多くあることは事実。
ネットを見ても、地下鉄の車両への落書きを「外国人がやった」と考えている人は多い。
良いことではないけれど、こういう見方をする日本人は多い。

 

実際、外国人による落書きに、頭を悩ませているところもある。
国立公園の樹氷に英語や中国語の落書きをされた青森県では、対策会議を開いて外国人に注意を呼びかけることにした。

産経新聞の記事(2018.1.18)から。

国立公園内での禁止行為を記した多言語のマナーブックを宿泊施設などで配布し、外国人観光客に注意喚起する方針を確認した。

外国人観光客に注意喚起へ 青森、樹氷落書き対策会議

実は、この悩みは今に始まったものではない。

日本が開国して、外国人観光客を受け入れるようになった明治時代にもあった悩みだ。

イザベラバードというイギリス人女性が明治の日本を旅している。
日本を旅行する外国人には旅券が発行されていて、そこには外国人向けのこんな注意が書いてあった。

所持者は森林の中で火を燃やしたり、馬上に火を持ち込んだり、畑や囲い、あるいは禁猟地の中に侵入してはならない。寺院、神社、あるいは堀に落書きをしたり、狭い道路で馬を速く走らせたり

「日本奥地紀行 イザベラバード(平凡社)」

堀が地下鉄の車両やビルに変わっただけで、日本の悩みは変わっていない。

 

ちなみに、明治の日本を訪れたモースというアメリカ人はこんな感想をもった。

人力車に乗って田舎を通っている間に、徐々に気がついたのは、垣根や建物を穢なくする記号、ひっかき傷、そのたが全然無いことである。この国には、落書きの痕をさえとどめた建物が一つもない。

「逝きし日の面影 平凡社」

 

おまけ

この記事のはじめの言葉は、二条河原の落書の「此比(このごろ)都ニハヤル物」ですよ。

二条河原の落書は、14世紀の建武の新政のときに書かれたもので、「日本でもっとも有名な落書き」ともいわれる。

二条河原の落書

1334年または翌35年に、後醍醐天皇の政庁に近い京都二条河原に貼り出された落書。建武の新政の失政を鋭く批判・風刺した八五調と七五調をとりまぜた88句からなる長詩。当時の混乱した世相・人情を知る貴重な資料

「日本史用語集 (山川出版)」

ウィキペディアには「専門家の間でも最高傑作と評価される落書の一つ」と書いてある。

でも平成では、最高傑作の落書きなんてイラナイ。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。