安倍首相に「慰安婦像の撤去」を迫られた韓国の文大統領は?

 

今月9日に、安倍首相と韓国の文大統領がソウルで首脳会談をおこなった。

安倍首相も文大統領も、この点では考え方が一致する。

「日本と韓国は未来志向の協力関係を築いていきましょう!」

 

でも日韓では、そのための条件が違う。
文大統領は「歴史を直視すること」が大事だと指摘する。
安倍首相は「慰安婦問題の日韓合意を守ること」が必要と言う。

日本側はすでに、合意で約束したことを全ておこなっている。
でも、韓国はまだ。
今度は韓国政府が行動する番になる。

 

具体的には、日本大使館前にある慰安婦像(少女像)を動かすことだ。
日韓合意にもとづいて、韓国政府はこの像を別の場所に移す必要がある。

安倍首相は文大統領に、像の撤去をふくめて合意を早く履行するよう要求した。

中央日報の記事(2018年02月13日)によると、文大統領はこう答えたという。

「微妙な問題だからそう簡単には解決できない」「(元慰安婦の)おばあさんたちの気持ちが癒やされれば自然に解決するはずだ」

「文大統領の顔から愛想笑い消えた」 安倍友軍・産経が伝えた韓日会談

いやいや、待ってほしい。
これはおかしい。

韓国政府は2015年に、慰安婦問題の「最終的、不可逆的な解決」で同意したはず。
今になって、「解決できない」「自然に解決する」などと言い出してはいけない。

「おばあさんたちの気持ちが癒やされれば、慰安婦像は撤去される」なんてことを日本は待っていられない。

 

 

韓国政府(外交部)も、日本大使館や釜山の総領事館前にある慰安婦像を「あれはマズイ」と考えていた。

この像は韓国の国内法に違反していて(今は合法)、ウィーン条約という国際法にも反するといわれている。
それで韓国政府は慰安婦像について、「国際礼譲及び慣行を考えなければいけない」と懸念をあらわしたこともあった。

 

釜山では一度、慰安婦像が撤去されたのだけど、市民がそれに怒り出した。
市民の逆鱗に触れた釜山の区長は、像をまた元の場所に戻してしまう。

法にもとづいて違法行為に対応したら、市民に抗議される。
韓国ではこんな不思議なことが起こる。

「それは法律違反です。法に従いなさい」と言われて納得する国民だったら、慰安婦問題はここまで解決困難にはならなかったはず。

中央日報の記事(2017年01月04日)によると、市民は韓国政府(外交部)を信用していない。

「釜山東区と釜山市、外交部を信じることができない市民は自発的に少女像を24時間守っている。市民団体がソウル日本大使館前の少女像を1年間守っている状況が釜山で同じように行われている。

政治的計算で汚された釜山東区少女像事態

 

でも、違法は違法。
それに韓国政府には、日本との約束を守る責任がある。

ということで、韓国は慰安婦像を強引に撤去してしまった。

・・・だと良かったけれど、韓国がやったことはまったく逆。
日本大使館があるソウルの鍾路区は、慰安婦像を「公共造形物」に指定してしまった。

違法の像でも、国民が怒れば合法化されてしまう。
政治も法も国民感情には勝てない。

韓国が法治国家ではなくて「情治国家」と呼ばれるゆえんだ。
日本と韓国はこの点が違う。

 

とにかくこれで、慰安婦像の撤去(=合意の履行)はますます難しくなったわけだ。
読売新聞は社説で、慰安婦像の固定化を「韓国は憎悪を定着させるのか」と非難した。

指定により、日本側が求める撤去を実現するためには、区委員会の審議が必要となった。移転は一層困難になったと言えよう。菅官房長官が「(像の)固定化につながりかねない」と不快感を示したのは当然である。

慰安婦少女像 韓国は憎悪を定着させるのか

 

この社説で、読売新聞は韓国政府にこう注文している。

韓国政府には、反日世論に迎合する鍾路区の指定を戒める毅然きぜんとした対応が求められる。

同意。
国民に怒られても、韓国政府には国際法や日本との約束を守る必要と責任がある。
政府は粘り強く、国民を説得しなければいけない。

この社説は去年のものだけど、2月9日におこなわれた日韓首脳会談でも、安倍首相は同じことを文大統領に求めていた。
先ほどの中央日報の記事にはこう書いてある。

文氏に「リーダーがある程度批判されることを含めて決断しなければ、未来志向の関係は築けないと申し上げた」と述べながら、慰安婦合意の履行を迫ったことを紹介した。

「文大統領の顔から愛想笑い消えた」 安倍友軍・産経が伝えた韓日会談

国民から批判されても、リーダーなら毅然きぜんとした対応をしなければいけない。
政治家ならそんなときもある。

像の撤去に反対する市民を説得する。
市民に抗議されても、国際的な法や合意を守る。

日本は韓国政府にずっとこれを求めているのだけど、韓国はその期待に応えてくれない。

 

 

日本総領事館前に慰安婦像を設置された釜山市も、市民の批判を恐れていた。
それでこんな態度を取り続けていた。

釜山市は市民団体が少女像建設を推進した過去1年間、「知らないふり」で一貫している。

政治的計算で汚された釜山東区少女像事態

安倍首相に像の撤去をふくめ、日韓合意の履行を迫られた文大統領はこう言った。

「微妙な問題だからそう簡単には解決できない」
「(元慰安婦の)おばあさんたちの気持ちが癒やされれば自然に解決するはずだ」

 

日本にはそう言っておいて、像には一切手をつけようとしない。
今の韓国政府も釜山市と同じだ。
慰安婦像の撤去には「知らないふり」で一貫している。

こんな態度で、「日本と韓国が未来志向の協力関係を築いていく」とか「日本と真の友人になりたい」と言うのはムリがある。

でも実は、こう言っている文大統領も苦しいらしい。
中央日報の記事では、韓国政府関係者の「慰安婦問題でも、文在寅の態度はどこかあやふやだった」という見方を紹介している。

「知らないふり」も、そろそろ限界のようですよ。

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。