日本人と中国人のハーフ「鄭成功」。台湾や中国の見方とは?

 

クイズです。

次の3人の芸能人に、共通することは何でしょう?

渡辺直美さん
川島海荷さん
優木まおみさん

 

 

答えは、3人とも「日本人の中国人(台湾人)のハーフ」ということ。

こんな人たちにとって、”大先輩”というべき人がいる。

それが「鄭成功(てい せいこう)」という中国や台湾の英雄。
日本でも有名だ。

 

鄭成功の像(ウィキペディアから)

 

この人は1624年~1662年、日本では江戸時代に生きていた人。

このとき中国の明は、清に攻められて滅びる寸前だった。
鄭成功は弱体化した明を救うために台湾へ移動し、そこを拠点に清に対する抵抗運動を続けていた。

鄭成功は日本の平戸で、中国人(鄭芝竜)の父親と日本人の母親(田川マツ)との間に生まれた。
だから彼は中国人と日本人のハーフになる。

 

鄭成功のことは、近松門左衛門が書いた作品「国性爺(こくせんや)合戦」で、日本でも広く知られていた。

高校の日本史ではこう習う。

国性(姓)爺合戦

近松の時代物。
明の遺臣鄭芝竜が日本人妻とその子和藤内(唐名 鄭成功)を伴い、明を再興する筋。好評で17ヵ月興行した。

「日本史用語集 (山川出版)」

 

「国姓(こくせい)」とは、この場合は明の皇帝の名字「朱」のことをいう。
鄭成功は明のために清と戦ったことで、明の皇帝から「朱」という名字をもらった。

明の皇帝は、朱元璋(げんしょう)を初代皇帝とする「朱」の家系の人たち。

 

ちなみに日本の天皇には名字がないから、日本に国姓はない。
でも、優れた業績が認められたときには、天皇がその人物に自分の名前をさずけることがあった。

足利尊氏がそう。
尊氏はもともとは「高氏」だった。

後醍醐天皇は、高氏が鎌倉幕府を滅ぼしたことをとてもよろこぶ。
その功績が認められ、後醍醐天皇の「尊治」という諱(いみな)の一字を与えられた。
それで、彼は高氏から「尊氏」に改名した。

 

台湾のエヴァ航空
「團體」は日本の漢字だと「団体」になる。

 

鄭成功が台湾に来るまで、台湾はオランダ人に支配されていた。

そのオランダ人を追い払ったことで、鄭成功は今の台湾で英雄になっている。
台湾の歴史教科書にはこう書いてある。

1661年(明・永歴15年)4月、鄭成功は台湾を取るべく、中国大陸から軍を率いて進出し、翌年、台湾からオランダ人を駆逐した。鄭氏治台時期では、政府機関が設けられ、学校が建てられたことにより、台湾における漢人の法令制度の基礎が定められた。

「台湾を知る (雄山閣出版)」

「台湾における漢人の法令制度の基礎が定められた」というのは、漢人である鄭成功が台湾を統治したということ。
台湾の歴史で、この島を統治した漢人は鄭成功が初めて。

漢人とは中国の主要民族で、ふつうの日本人が思い浮かべる中国人はこの漢人と思っていい。

 

中国の厦門(アモイ)にあったドでかい鄭成功の像

 

中国も鄭成功をとても重視している。

鄭成功がオランダ人との戦いに勝ったことは、台湾の教科書に書いてあった。
中国の中学生用の歴史教科書の中では、彼はオランダ人にこう話している。

「台湾は中国の土地である。大軍がやって来たのは自らの財産を回復するためであって、あなた方と戦うためではない。あなた方は即刻ここを離れ、台湾を本来の主人の手に返すべきである」

「中国の歴史 (明石書店)」

中国は台湾を「中国の一部」と考えている。
だから中国の教科書では、「台湾は中国の土地である」とか「台湾を本来の主人(中国)の手に返すべきである」とくり返し書いてある。

さらにこうある。

台湾は祖国の懐に戻ってきた。鄭成功はわが歴史上の著名な民族的英雄である。

先ほどの台湾の教科書では、鄭成功は台湾からオランダを追い出したことを強調していた。
でも中国の教科書では、それによって、台湾が再び中国の一部になったということを強調している。

同じ漢人の英雄でも、解釈とアピールするポイントが台湾と中国で少しちがう。

「台湾は祖国の懐(ふところ)に戻ってきた」というのは、中国共産党の悲願でもある。

 

 

おまけ

中国のアモイにあるコロンス島

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。