韓国人の犬肉反対運動・欧米人にとっては”友人を食べる”感覚?

 

前回たくさんの欧米メディアが、平昌五輪で「韓国の犬食」を取り上げていたことを書いた。

欧米人は犬肉をマジでガチで嫌っている。
韓国でオリンピックやサッカーワールドカップなどが開かれると、いつも韓国の犬肉を批判する。

そして韓国側はこれをとても嫌がる。

韓国に犬肉を食べる文化があることはたしかだけど、これに反対する韓国人もたくさんいる。
今回はそのことに触れてから、「欧米人は犬肉を食べることについて、どう感じているのか?」ということを書いていこうと思う。

 

 

韓国では、夏のポンナル(伏日)という暑さの厳しいときに犬肉を食べることが多い。

それで去年(2017年)は、その日の前に動物保護団体が反対運動をおこなっている。
今年もポンナルの前に、同じような活動がおこなわれると思う。

中央日報が記事(2017年07月09日)でその様子を伝えていた。

集会参加者は「犬を食べる大韓民国は嫌いです」「ペット動物食用禁止」などと書かれたプラカードを掲げた。「私はペットです」「私たちは食べ物ではありません」などの名札を付けた犬もあちこちで見られた。

「私たちは食べ物ではありません」…ソウルで犬肉・伏日反対集会

 

犬肉に反対する理由には「犬を守りたい」という動物愛護の気持ちがあるし、欧米人の目を気にして「国際的な恥さらしになる」と韓国の”国格”を気にするものもある。

この団体の主張によると、韓国ではポンナル(伏日)に約160万匹の犬が殺されている。
この日にこれほどたくさんの犬が食べられているとは知らなかった。

 

 

これはイギリス人がFacebookページでシェアしていたもの。
動物実験をしている企業を名指しで非難している。

こうしたページをシェアして拡散したい気持ちは分かるけど、こんなコメントには引いてしまう。

「We have murderers and rapists in prison.. test on them, for free」
(刑務所には殺人犯やレイプ犯がいる。そいつらで試せよ。無料だ)

このコメントには「いいね」が1000以上もつけられていた。
日本にも動物実験に反対する人はいるけど、ヨーロッパほど一般的ではないし過激でもない。

 

欧米の中でも、イギリスには特に犬食を嫌っている人が多いと思う。

そんなイギリス人は犬肉を食べることについてどう思っているのか?

イギリス紙「ザ・サン」の記事(2017/12/05)で音楽プロデューサーのサイモン氏がそのことについて語っている。

‘it’s like eating your friend’ X Factor’s Simon Cowell reveals sheer horror at South Korea dog meat farming trade

ヨークシャーテリアを飼っているサイモン氏は韓国の犬食についてこう話す。

“It’s like eating your friend.”
(まるで友人を食べているようだ)

“It’s the fact you’re eating such a kind, helpless, sweet animal.”
(親切で無力でかわいい動物を食べているんだ)

 

 

知り合いのアメリカ人で、サイモンさんと同じことを言った人がいる。

そのアメリカ人も動物愛護家で、犬食には超絶反対。
そんな彼がある日、「日本人も犬肉を食べるんだってな。それを知って驚いたよ」と話していた。

「それはおもに日本にいる外国人が食べている例外的なもので、日本には犬肉を食べる文化はない」と彼に言う。
ついでにこんな質問をしてみた。

「犬を食べるってことは、人間を食べるような感覚なの?」

こんな返事が返ってくる。

「人間じゃない。自分の大切な友人を食べるようなものさ。絶対にあり得ないよ」

「人間ではなくて、親しい友だちを食べるような感覚」という言葉が印象的で記憶に残った。
これはサイモンさんとこのアメリカ人の意見だけど、ほかの欧米人にも「犬を食べる=友だちを食べる」という感覚をもっている人はたくさんいると思う。

 

 

おまけ

犬食についていえば、日本にも昔その食文化があった。

江戸時代の日本人は犬肉を食べていたのだよ。
でも、徳川綱吉(つなよし)が出した「生類憐(しょうるいあわれ)みの令」がこれを変える。

生類憐みの令

5代将軍綱吉が1685年以降に出した極端な動物愛護令。
1687年以降、特に犬に関して極端化し、95年に四谷・大久保・中野の犬小屋に野犬を養い、綱吉は犬公方と称される。

「日本史用語集 (山川出版)」

 

幕府のこの命令によって、日本では犬を食べる習慣がなくなっていった。

これらの犬喰いの事例は、いずれも生類憐み令以前のことで、元禄時代以降、今日まで犬喰いの習慣は日本にはない。社会の価値観変化の一例である。

「詳細 日本史研究 (山川出版)」

 

綱吉が生類憐みの令を出していなかったら、日本はどうなっていたのか?

自国でオリンピックやワールドカップを開くとき、日本も韓国と同じ悩みをかかえていたかもしれない。

中央日報の記事(2018年02月22日)から。

五輪主管放送局の米NBCをはじめ、AP通信、米国のFOXニュース、USAトゥデイ、英国のESPN、インディペンデント、デイリーメール、ミラーなどの海外メディアは平昌五輪期間、韓国の犬肉食用文化について報道した。実際、江陵の中央市場に行くと、取材陣が市場の中の食堂で「犬肉はありますか」と尋ねているのを目撃した。

また「犬肉」問題…オランダ選手の一言から

 

徳川綱吉、グッジョブ。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

歴史から見る日本の食文化の変化・世界との違いは「天皇」。

欧米人が韓国を嫌いな理由「犬食」。韓国人でも賛否の反応

和歌山のイルカショーを邪魔したのは、動物愛護のヴィーガンだろ。

旅㉑おにぎりをめぐる日本と中国・韓国の食文化のちがい

日本人は鯨やイルカを食べる!欧米人がそれに反対する理由は?

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。