価値観の”押しつけ”①宣教師、キリスト教を世界に伝える。

 

日本のネットでは、韓国に対して厳しいコメントがよく書きこまれている。
ハッキリ言えば、日本のネットユーザーには韓国が嫌いな人が多い。

でも、韓国のネットにも日本に対するヒドイ言葉がよく書きこまれるから、どっちもどっちだ。

そんな日本のネットユーザーが韓国に味方することがある。

それは、欧米人が韓国の犬食文化を批判したとき。
こういうとき日本のネットでは韓国側に理解をしめして、欧米を批判するコメントがけっこう書きこまれる。

 

 

今回の平昌五輪でも、たくさんの欧米メディアが韓国の犬肉を非難していた。

日本には犬肉を食べる文化がない。
だから、価値観としては欧米人に近い。

「欧米人の言うことはもっともだ」と韓国の犬肉を批判する人もいたけれど、下のような”韓国寄り”のコメントがけっこう多かった。

・他国で自国の価値観を押し付けるのは良くないわな
・他国の食文化にケチつけるんじゃねぇ
何食おうが勝手
・欧州人はウサギ食うよね
・日本人だってわんこそば食うしな
・日本の伝統的な鯨肉文化も尊重して欲しい

 

これはひとつの例だけど、日本人は「価値観の押しつけ」をとても嫌う。

ヨーロッパと日本の歴史を比べてみても、その違いがある。
ヨーロッパ人は過去に、自分が正しいと信じる価値観を外国に押しつけることをよくやっていた。
たとえば、今回の内容だけど、ヨーロッパは宣教師を世界各地におくって、キリスト教を広めようとした。

日本にはそんな歴史がない。
海外に宣教師をおくって神道を伝えようとはしなかった。

今回から、欧米と日本の歴史をざっとみていって、「日本人が価値観の押しつけを嫌う背景」をさぐっていこうと思う。

 

 

日本でもっとも有名な外国人はだれか?

いろいろな外国人の名前があがると思うけれど、この人なら、顔を見ただけですぐに名前が浮かぶはず。

 

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ご存じフランシスコ=ザビエル(1506?~52)。
ザビエルはキリスト教の宣教師で、布教のために戦国時代の日本にやって来た。

ザビエルは日本に来る前、マラッカ(マレーシア)でこんな抱負を語っている。

マラッカでたいへん信心深い、信仰のあついポルトガル人の商人から最近発見された幾つかの大きな島の話を聞きました。その国は日本と呼ばれていて、イエス・キリストの教えを広めるうえでインドより発展しそうなところです。なぜかというと、日本人はどの国民より知識に飢えているからです

「ザビエルの見た日本  (講談社学術文庫)」

 

2018年の今から結論をいうと、日本よりインドの方がキリスト教は発展している。

それはともかく、ザビエルは1549年に鹿児島に上陸して日本での布教をはじめた。

この当時、ヨーロッパ(カトリック教会)は世界各地に宣教師をおくって、キリスト教を広げていた。
日本とヨーロッパの歴史はここが違う。

日本は近代になるまで、日本の思想や文化を海外に伝えようとはしなかった。
日本人には、世界のあちこちに宣教師のような人物をおくって、現地の人を日本の価値観に染めようとする発想がなかったのだろう。

 

ちなみに日本では、宣教師やキリスト教のことを「伴天連(バテレン)」と呼んでいた。
これは「父・神父」を意味するポルトガル語のpadre(パードレ)に由来する。

 

 

ここでクイズ。

1517年に、ドイツのルターによってはじまったことは何?

 

答えは宗教改革。
この宗教改革によって、ヨーロッパは一変してしまう。

それまでのヨーロッパは「カトリック一強」の社会で、これ以外の考え方は認められなかった。
「キリスト教=カトリック」という状態が長い間続いていた。

カトリックについて高校の世界史ではこう習う。

カトリック

ギリシア語の「普遍的」を意味するカトリコスに由来することば。ニケーア公会議以降アタナシウス派がこれを称し、ローマ教皇が正統な継承者を自任した。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

「普遍的(ふへんてき)」とは、辞書的には「すべてのものに共通しているさま。すべてのものにあてはまるさま(大辞林 第三版の解説)」という意味。

だからカトリックとは、「絶対に正しい価値観や考え方で、世界のどこにでもあてはまるもの」というイメージでいいと思う。
そう考えていなかったら、世界各地に宣教師をおくるようなまねはしなかったはず。

 

 

でもルターによって、この最高に正しい考え方は否定されてしまった。

カトリック側としては困ったことに、ヨーロッパには、ルターの考え方(新教:プロテスタント)を支持する人はとても多い。

そこで旧教(カトリック)は「対抗宗教改革」をおこなうことにする。

対抗宗教改革

宗教改革の進展に打撃を受けた旧教側が、信仰上・道徳上の刷新を目指した動き。トリエント公会議を機に始まり、イタリアとスペインが運動の中心となり、その一環としてイエズス会が海外伝道を盛んにおこなった。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

この「対抗宗教改革」によって、日本にザビエルがやって来た。
カトリックという”絶対的に正しい教え”を伝えるために。

伝えられる現地の人からしたら、キリスト教を”押しつけられた”という面もあるのだけど。

今回はここまで。
次回は、ヨーロッパ中心主義というヨーロッパ人らしい「えらそうな」考え方について書いていきます。

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。