日本人と漢字②アメリカが日本の漢字を廃止しなかった理由。

 

「おい日本!国を開けろ~」と、1853年にアメリカ人のペリーが浦賀にやって来た。

むかしから外圧に弱い日本は”鎖国”をやめて、外国人を受け入れることにする。

幕末の日本にやってきた外国人は、こんな感想をもったようだ。

私には日本人ほど好んでペンや筆を振う国民があるとは信じられない。彼らはあらゆることを文書にして取扱う。また一般に広い範囲にわたって手紙のやりとりを続けているので、婦人ばかりか男子も、このために時間の大半を費やしている有様である。(フィッセル)

「日本絶賛語録 (小学館)」

民衆教育についてわれわれが観察したところによれば、読み書きが全然できない文盲は全体の1パーセントにすぎない。世界の他のどこの国が、自国についてこのようなことを主張できようか?

「エルベ号艦長幕末記 (ヴェルナー:新人物往来社)」

日本語の危機を救ったのはコレだったのですよ。

 

 

では、前回の続きですよ。

ベトナムや韓国など中国の周辺にある「漢字文化圏」の国は、次々と漢字を廃止してしまった。
でも日本だけがちがう。
日本人はいまでも漢字を使い続けている。

そのことを疑問に感じる中国人は多いらしい。

レコードチャイナの記事(2018年2月16日)で、中国メディアの「澎湃新聞」がその背景について説明している。

「澎湃新聞」によると、日本で漢字が廃止される最大の危機は、日本が戦争でアメリカに負けた直後に訪れた。

 

 

戦争に負けた日本は、GHQ(連合国軍最高司令部 :General Headquarters)によって支配される。

この最高司令官がマッカーサーというアメリカ人で、このとき日本はアメリカによって大きく変えられた。

アメリカは「日本を戦争させない国に変えてやる!」と考えていた。
それでとくに重視したのが教育だった。

日本の教育制度を変えるため、GHQはアメリカ本土から、教育使節団を日本に招くことにした。
その教育使節団はこんな提案をする。

「日本語から漢字をなくしちゃえ」

本使節団としては、いずれは漢字は一般的書き言葉としては全廃され、音標文字システムが採用されるべきであると信ずる

「アメリカ教育使節団報告書 (講談社学術文庫)」

 

アメリカ教育使節団が言ったことは漢字の全廃だけではない。

「仮名(ひらがな・カタカナ)もやめてローマ字にしたらいい」と考えた。

本使節団の判断では、仮名よりもローマ字のほうに利が多いにあると思われる。さらに、ローマ字は民主主義的市民精神と国際的理解の成長に大いに役立つであろう

「アメリカ教育使節団報告書 (講談社学術文庫)」

 

「漢字・ひらがな・カタカナ」をなくして、ローマ字にしてしまう。
それだと、日本語はなくなってしまうも同然。

でも、GHQには強大な力がある。
このときの日本がアメリカに「NO」と言うのはむずかしい。

 

 

中国メディアの「澎湃新聞」は、このとき日本政府が珍しくアメリカに抵抗したと指摘している。

幸いなことに当時の日本政府は漢字が国体護持の最後の砦と考えており、珍しく占領軍の意志に背いた。46年に1850字からなる当用漢字音訓表を発表し、そこから漢字仮名交じり文を法律条項、公文書、メディアにおける使用文体として規定する道を進んだ

漢字文化圏の縁にいた日本はなぜ漢字を捨てなかったのか―中国メディア

 

「日本政府は漢字が国体護持の最後の砦」と考えていたのかは知らない。
けれど、このとき日本人が「漢字全廃」に強く反対したことは間違いない。

 

「日本語から漢字をなくしてしまうべきか?」ということが話し合われていた1948年に、日本人の識字率を調査することになった。

この結果にアメリカ人は目を丸くする。
日本人の識字率の高さは、アメリカ人の想像をはるかに超えていたから。

15歳から64歳までの約1万7千人を対象に調査したところ、漢字の読み書きができなかった人はたったの2.1%であることが判明する。

日本初の全国調査「日本人の読み書き能力調査」が実施されたが、その結果は漢字の読み書きができない者は2.1%にとどまり、日本人の識字率が非常に高いことが証明された。

識字

 

この数字からすると、このときの日本人の識字率は97.9%になる。

「漢字・ひらがな・カタカナを廃止して、日本語をローマ字にしよう」と考えていたアメリカがこれに驚く。
そして調査結果を変えようとしやがった。

柴田はテスト後にペルゼルに呼び出され、「識字率が低い結果でないと困る」と遠回しに言われたが、柴田は「結果は曲げられない」と突っぱね、日本語のローマ字化は撤回された。

識字

日本人の識字率が低かったら、これがすべてローマ字だったかも。

 

日本で漢字が廃止される最大の危機を救ったのは、「日本政府は漢字が国体護持の最後の砦と考えていたから」と中国メディアは書いていたけど、これはあやしい。

GHQが「日本の国体護持」を認めた可能性はかなり低いだろう。
日本の国体を変えるために、アメリカはいろいろな改革をやったのだから。

「『かたき討ち』の考え方はよくない」ということで、忠臣蔵まで禁止されてしまったぐらいなんだから。

 

「日本で漢字が廃止されるかもしれない!」という危機を救ったのは、日本人の識字率の高さだった。
ベトナムや韓国といった「漢字文化圏」の国は漢字をなくしてしまったきたけれど、日本には漢字が残っている。

それにはこんな歴史があったのですよ。

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。