「ハイカラ」の意味と語源・日本人の使う英語の特徴

 

はじめの一言

「日本は実に、太初以来その固有の独自な文化を、外部の妨害を受けることなく自主的に今日に到るまで進展させ得たところの国土である。日本は幾世紀の間にしばしば外国の影響を摂取同化し、日本的なものへと変形し、その結果再び日本独自のものを産み出したのであった(ブルーノ・タウト 昭和)」

「ニッポン 講談社学術文庫」

 

今回の内容

・「ハイカラ」は日本語?
・何でも省略するのが日本人

 

・「ハイカラ」は日本語?

この前、イギリス2人アメリカ人2と愛知県の「明治村」に行ってきた。
今回はそのときのことを書こうと思う。

個人的には明治村そのものよりも、外国人が明治村を見たらどんな感想をもつのか?ということを知りたかった。

 

明治村には「はいから号」というバスが走っていた。

「ハイカラ」という言葉は知っている。
「はいからさんが通る」という漫画を見たこともある。

でもハイカラという言葉でわかっていたのは、それが英語ということだけ。
ハイカラの意味はよく分からない。
聞けばなんとなく、「西洋っぽいもの」というイメージがしただけ。

ということで、本場のネイティブ・スピーカーに「ハイカラ」の意味を聞いてみた。
でも、彼らはこの言葉を知らないという。

「え?ハイカラ?分からない。それ英語なの?」

イギリス人もアメリカ人も「ハイカラ」という言葉を聞いたことがないという。
「あれ?」と思って調べてみたら、ハイカラという言葉は「high collar(高いえり)」が語源でそれを短くした言葉らしい。

語源は、明治時代の男子洋装の流行であったハイカラー(high collar、高襟)、すなわちワイシャツに付ける丈の高い襟に因む。

(ウィキペディア)

 

今の日本なら、中学・高校の男子生徒が着る学生服の「カラー」がこれになる。
アメリカ人もイギリス人も、「ハイカラ」と聞いただけでは分からなかったけど、「high collar」ならすぐに理解できた。

でも、発音は「ハイコラー」。
それにこの意味はあくまで「高い襟」というだけ。
お洒落であるとか流行の最先端にあるといった意味はない。

 

これがハイカラ。

 

なんでこれが「西洋っぽい」という意味になったのか?
と思ってこれまた調べてみた。

ハイカラ(はいから)は、西洋風の身なりや生活様式をする様、人物、事物などを表す日本語の単語。1898年(明治31年)頃から当時東京毎日新聞の主筆であった石川半山(石川安次郎)が紙上で使い始め、後に流行語となって定着した。

(ウィキペディア)

 

当たり前だけど、江戸時代の日本には「high collarの上着」なんてなかった。
明治になってから、こうした服が西洋から日本に伝わる。
それで、これを着た日本人が目立っていたために「西洋の象徴」となったらしい。

ということで、「ハイカラ」という言葉は日本で独自の意味をもつようになった。
だから、イギリスやアメリカには「high collar」という単語に「西洋風の身なりや生活様式をする様、人物、事物などを表す」意味なんてあるわけがない。

 

明治村の教会
「これは、カトリックの教会だな」
と、すぐ分かるのはさすがアメリカ人。

 

・何でも省略するのが日本人

イギリス人に言わせると、日本人には「何でも省略して言う」という特徴があるらしい。

ガソリンスタンド(ガス・ステイション)を「ガススタ」を省略する。
アメリカ人に「パソコン」と言っても相手は理解できない。
「パーソナル・コンピューター」と略さず言うと分かる。

アメリカ人はこんなことを怒っていた。

「『アパマン』って何だよ?『アパート・マンション』のことらしいじゃないか。『アパマン』なんて聞いて分かるわけがないだろ!」

知らんわ。

他にも、日本人は「コスト・パフォーマンス」を「コスパ」と省略する。
けれどこれは省略するとかいう前に、「コスト・パフォーマンス」という言葉がネイティブ・スピーカーには通じない。
「コスト・パフォーマンス」という英語は、アメリカやイギリスにはないから。

コスパは「コスト・パフォーマンス」と言っても通じない。

「これは本当にわけが分からない言葉だ」

と外国人は言う。

 

帝国ホテル

 

「ハイカラ」という言葉は日本でしか通じないし、省略の仕方も日本人らしい。
そんな理由で、その場にいたイギリス人から「ハイカラは日本語だよ」と認定された。

ちなみに、後からイギリス人から聞いた話だけど、アメリカ人も言葉を省略するらしい。
たとえばイギリス人が使っていた英語「programme(プログラム)」を、アメリカ人は短く「program(プログラム)」にしている

 

 

こちらの記事もいかがですか?

ヨーロッパ 「目次」

明治の文明開化に庶民はパニック!ポストや電線を見た日本人の反応は?

世界よ、これが明治日本の正義感だ! マリアルス号事件・人種差別撤廃

新幹線の始まり「あじあ号」、明治(満州鉄道)から平成(JR)へ

日本=ケンシロウ説⑥「明治の魔術(近代化)」の理由、なぜ日本だけ?

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。