酒も肉もOKの日本仏教。タイ人が見た仏教徒との違い。

 

京都の金閣寺のちかくに「佛教大学」という大学がある。

この大学の理念は「仏教精神」で、ここで本格的に仏教を学ぶことができる。
もちろん、お坊さんの資格を取ることもできる。

佛教大学には、仏教に対してとてもマジメなイメージがあったから、この大学でこんなお酒を造っていると知って驚いた。

「佛米!夢乃酒」

読み方は「ぶっこめ!ゆめのさけ」になる。

佛教大学の学生による「酒づくりプロジェクト」で造られた佛教大学オリジナルの日本酒だ。
この「佛米!夢乃酒」は、JR京都駅の伊勢丹で販売プロモーションがおこなわれることになっている。

そんなことを世界的な通信社であるフランスAFPが伝えていた(2018年3月16日)。

米と酒に関する文化を講義で学ぶことに始まり、酒米の田植えから収穫、醸造体験、ラベルデザイン、販売プロモーションまで携わることを通じて、社会的・職業的自立に向けたキャリア形成を目的としており、今年度、10年目になる。

佛教大学オリジナル日本酒『佛米!夢乃酒(ぶっこめ!ゆめのさけ)』完成

 

言うまでもないことだけど、仏教では酒を飲むことを禁止している。

真言宗の「法楽寺」というお寺のホームページには、その理由がこう書いてある。

人は飲酒せずとも、軽重問わず多くの「あやまち」を犯すものです。飲酒することによって、意図的にその要因を増やすのは愚かなことである、というのが仏教の見解です。

なぜ酒を飲んではいけないのか(序)

 

にもかかわらず、「佛米!夢乃酒」には公式ツイッターまでありやがる。

 

さすがにこれには、ネットであきれる人が続出している。

・仏教大学が酒造りとはwww
・生臭坊主
・仏痴義理
・下品なネーミングだな。
・国税庁が見つめています。
・仏教の大学が酒とかおかしいだろ
・戒律を守らない聖職者など、クリープを入れないコーヒーのようなものだと思いませんか?
・いいじゃん
・ガラパゴス系日本仏教

 

こんなキャラクターもいる。

 

さて、そもそも仏教とはどんなものなのか?

高校世界史的ではこんなふうに習う。

仏教

前5世紀頃シャカが説いた教え・宗教。
全てのものが無常であり、苦しみにあふれた現世から、極端に走らない中道を取りつつ、正しい認識と実践によって解脱することを目標とした。
ヴァルナ制を否定し、都市部で力をつけてきたクシャトリヤやヴァイシャから支持された。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

インドで生まれた仏教は、紀元前後に中国へ伝わって、日本には6世紀ごろにやってきた。
公式には538年に日本に伝わったとされる。

 

「解脱することを目標とした」という点はヒンドゥー教も同じ。
死後、遺灰をガンガー(ガンジス川)に流すと、解脱できると信じられている。

 

そのときから1500年の時をへて、極東の島国で「佛米!夢乃酒(ぶっこめ!ゆめのさけ)」が誕生したわけだ。

シャカをこれを見て何と思うのか?
案外、試飲したりして。

日本の仏教はけっこういい加減。
仏教では肉食も禁止されているのだけど、日本の仏教ではあんまり気にしない。

春になって桜が咲くころになると、仁和寺では「すき焼き」が客に出されていた。
でも、「お寺の境内ですき焼きを食べるのはどうか?」と前から批判されていて、2011年にすき焼きがなくなってしまった。

 

そういえば、香港人の女の子が京都のバーでお坊さんにナンパされたと言っていた。
職業を聞いて本当に驚いたという。

日本の坊さんには、死後、地獄に落ちる人がたくさんいる。

 

 

仏教の大学が「佛米!夢乃酒(ぶっこめ!ゆめのさけ」という天をも恐れぬ日本酒を出した。
そのこと知れば、友人のタイ人がきっと怒り出す。

以前、彼に東京にある「坊主バー」のことを話したことある。
それはこんなコンセプトのバー。

「現役の僧侶と楽しく過ごす 僧侶の法話を聴く 人生を語り合う そんなBARです」

バーのホームページを見たら、本まで出版していた。

 

日本のお坊さんは焼き肉屋で肉を食べることができるし、酒でもビールでも飲むことができる。
なんなら結婚することもできる。
それを知った仏教徒のタイ人はあきれて怒り出した。

「タイならあり得ません。それはお坊さんではないです。偽者ですよ」

そんなタイ人が日本とタイの仏教徒の違いについて、こんなことを話していた。

「タイと日本の仏教は反対です。タイではお坊さんはマジメですけど、ふつうの人はいい加減です。でも日本では、お坊さんがいい加減で、ふつうの人はマジメです。日本のお坊さんは仏教のルールを守りませんけど、日本の市民はよく守っています。日本はタイより治安がいいですよね?日本人はタイ人より物を盗んだり、人を殺すことが少ないです。ウソをつくこともしません。一般の人を見たら、タイ人より日本人の方が仏教の教えを守っています」

 

日本では、聖職者のレベルではダメだけど市民レベルではマジメな仏教徒らしい。
これは彼の意見だけど、けっこう当たっていると思う。

仏教には、信者が守らないといけない5つのことがある(五戒)。

不殺生戒:生き物を故意に殺してはならない。
不偸盗戒:他人のものを盗んではいけない。
不邪婬戒:不道徳な性行為を行ってはならない。
不妄語戒:嘘をついてはいけない。
不飲酒戒:酒などを飲んではいけない。

一般市民のレベルで見れば、タイ人より日本人の方がきっとこの五戒を守っている。

 

 

こちらもどうぞ。

東南アジア 「目次」

宗教 「目次」

日本 「目次」

日本とタイ(東南アジア)の仏教の違い① 飲酒・肉食・喜捨(タンブン)

仏教国のタイ、喜捨によるお坊さんのメタボ化が社会問題

 

4 件のコメント

  • 「三種の浄肉」を読むとこれは例外規定であることがわかります。
    肉食が禁止されていたからこのような規定が必要となってのです。
    ただ、無条件の絶対禁止ではありません。

  • 記事の構成からどう考えても「仏教では完全禁止だから肉を食べる日本の仏教は生臭だ」と書いているようにしか見えません。そういう詭弁は批判の対象になるのでやめましょう。

  • 別の記事で日本の仏教はプロテスタント的、東南アジアの仏教はカトリック的と書いていて日本仏教を一方的に非難してはいませんよ。
    それに肉食と結婚OKという日本の仏教について、どう思うかタイ人に聞いてみてください。
    きっと批判的な意見を言います。
    でもそれもひとつの見方です。

  • コメントを残す

    ABOUTこの記事をかいた人

    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。