”国のない民”ユダヤ人とクルド人①日本にはないディアスポラ

 

世界には、いろいろな「国のない民」がいる。

ミャンマーのロヒンギャやスペインのカタルーニャ人などがそう。

その中でもっとも人口が多いのがクルド人で、「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれている。

 

クルド人は2~3000万いるとみられていて、トルコ・シリア・イラン・イラクの国境のあたりに集中的に住んでいる。
日本にも、2000人ほどの在日クルド人がいる。

この地図で、色のあるところがクルド人の住んでいる地域になる。

http://www.geocurrents.info/geopolitics/state-failure/isis-advances-kurds-retreat-northern-syria」から。

 

赤で囲まれたところがパレスチナ
後で出てくるから、覚えておいてほしい。

 

2017年に、イラクに住むクルド人が独立するかどうかを問う住民投票をおこなった。

結果は、9割以上が独立に賛成。

でも、クルド人には味方は少ない。
中東の国もアメリカも国連もクルド独立を支持していない。

 

こんな国際社会の反応と違って、イスラエルは「クルド人支持」を明言していた。

毎日新聞の記事(2017年9月15日)から。

住民投票について、イスラエルのネタニヤフ首相は「支持する」との立場を明らかにした。

クルド人独立住民投票 イスラエル首相「支持する」

こんな国は世界の例外で、イスラエルは「住民投票を公式に支持した初めての国」と言われる。

 

クルド人が独立を問う住民投票をおこなうことについて、日本の反応は?

インターネットを見ると、「親日国のトルコには悪いけど、クルド人国家はあってもいい」というような、住民投票に賛成する声が多かった。

でも、それより多かったのは、「その方がイスラエルにとって都合がいいよね」といった見方だ。

・でたイスラエルの内部揺さぶり
・インドーパキスタンみたいな関係にさせる陰謀?
・強烈な親米親イスラエル国家ができたら、連中にとっちゃ最高だろうよ
・イスラエルって小国なのに本当に力あるよな
・敵の敵は味方
・あの辺は一度ちゃんと話し合って国境を引き直した方がいい

 

 

世界のほとんどの国とは違って、なんでイスラエルはクルド人独立を支持したのか?

クルド人とイスラエル人(ユダヤ人)には共通点がある。
それは、どちらも「国のない民」という経験があること。

クルド人にはいま、自分たちの国がない。
ユダヤ人も、1948年にイスラエルを建国するまでは母国がなかった。

 

古代、ユダヤ人には国があったのだけど、2000年ほど前に敵に攻め滅ぼされてしまう。
住む場所(パレスチナ)を失ったユダヤ人は世界中に四散する。

それが、高校の世界史で習う「ディアスポラ」というもの。

ディアスポラ

ギリシア語で「分散」の意で、パレスチナ以外の地にユダヤ人が離散したことを指す。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

日本にはこのディアスポラの経験がない。

もし、13世紀の元寇で日本がモンゴル軍に負けて、日本人が世界中に逃げ出したら「ディアスポラ」になる。
でも日本の歴史で、大量の日本人が一度に日本列島を出て行ってしまったことはない。

そのことを考えたら、ユダヤ人には感心してしまう。
ユダヤ人は一度パレスチナから出て行ったけれど、2000年後に戻って来てイスラエルを建国した。
よくこんなことができるものだと思う。

でも、パレスチナにいたアラブ人からしたら、「ふざけるな!」となる。
ヨルダンで会ったパレスチナ人は、こんなことを言って怒っていた。

「ユダヤ人は突然現れて、『2000年前、ここはオレたちの土地だった』と言って、勝手に国をつくって住みつくんだぜ?それはおかしいだろ?」

そのアラブ人の気持ちは分かるけど、ユダヤ人の「母国を持ちたい」という気持ちも理解できる。
パレスチナ問題は本当にむずかしい。

ところで、日本人だったらどうだろう?
日本人が2000年も海外にいたら、現地に同化して「日本民族」なんて地上から消えていたと思う。

 

 

ディアスポラによって、ユダヤ人は世界中に散らばって行った。

だから彼らは、外国で「いそうろう」のような肩身のせまい立場で暮らさざるを得ない。
ヨーロッパではキリスト教徒から、ひどい差別を受けることもよくあった。

その最大のものが「ホロコースト」。
「国なき民」のクルド人にも、同じような悲劇がおきた。

そのことは次回に。

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。