アフリカ人と黒魔術(呪術)①魔法の薬や水で”無敵”になれる!ってねーよ。

 

アフリカの発展を邪魔しているものに、「黒魔術(呪術)」がある。

15年ほど前、西アフリカを旅行しているときに、セネガル人からそんな話を聞いた。
セネガルの首都ダカールからマリへ向かう列車のなかで、銀行で働いているというセネガル人と出会う。

セネガル人は普通フランス語を話すのだけど、彼は英語も話すことができた。
まず間違いなく、社会のエリート層にいる人間。

 

日本でいう上級国民の彼がこんな話をする。

「西アフリカには、薬を拒否する人たちがたくさんいる。薬代が高いことも理由のひとつだけど、タダで薬をもらっても、それを服用しないこともある。近代的な薬より、呪術師の言うことにしたがう人がたくさんいるからね。彼らは呪術師のでたらめな薬やおまじないを信じて、近代医学を拒否する。これは病気だけじゃない。アフリカで呪術師は、本当に強い影響力を持っている」

 

この列車の中でセネガル人から話を聞いた。

 

ただ、アフリカ人といっても、都市と田舎にいるアフリカ人とでは考え方や価値観が全然ちがう。
大都市でも呪術師の言葉を信じる人はいるけれど、普通は、そういう人は田舎の村に多い。

「呪術師の言うことを聞かないと、呪い殺される」と本気で信じている人はたくさんいて、法律より呪術師の言葉が優先されることもある。

村の人口をコントロールするためにNGOがコンドームを配ったのだけど、呪術師が「それを使うな」と言ったために、コンドームは使われずに捨てられたこともあったという。

 

銀行員のセネガル人は深いため息をつく。

「オレたちは21世紀を生きているけれど、田舎の人間の頭の中は、2~300年前と変わっていない」

近代科学を拒否して伝統的な呪術にしがたって生活していたら、そりゃ、発展はむずかしいわな。

 

 

アフリカでは今も、呪術(黒魔術)が広く信じられているらしい。

AFPにそんな記事がのっていた。

その記事を紹介する前に、カメルーンという国を簡単に知っておこう。

下の地図でカメルーンは、北海道の横にある。

 

面積:475,440平方キロメートル(日本の1.26倍)

人口:2,344万人(2016年)

首都:ヤウンデ

民族:ドゥアラ族、バミレケ族、バムン族、フルベ族他

言語:フランス語、英語(共に公用語)、その他各部族語

宗教:カトリック、プロテスタント、イスラム教、その他伝統宗教

上のデータは、外務省ホームページのカメルーン共和国(Republic of Cameroon)基礎データから。

 

カメルーンには、フランス語圏の州と英語圏の州がある。
この国で支配的な地位にいるのは、フランス語を話す人たち。

そのことに反発した英語圏の2州が去年、独立宣言を出した。
英語圏の州が「アンバゾニア」という共和国となって、カメルーンから分離独立する。

独立したといっても、彼らが一方的に独立を宣言しただけで、国際社会はそれを認めていない。

これに怒ったカメルーンの大統領は、戦闘ヘリや装甲車両をおくって攻撃を開始する。
これによって、数万人の住民が隣のナイジェリアに逃げ出す事態に発展した。

 

とても不幸なことだけど、ここまでなら理解できる。
「自分たちは不当な支配下にある」と、不満を持つ人たちが独立しようとする。
すると、それを認めない政府側が軍を派遣して独立活動を鎮圧する。

世界の歴史で分離独立はよくおきていたから、ここまでは分かる。
でも、よく分からないのは、この後に呪術師が登場すること。

AFPの記事(2018年3月29日)では、ナイジェリアに避難してきた若者が政府側との戦闘にそなえて黒魔術をおこなっている。

「ジュジュ」と呼ばれる呪術の儀式に参加したというあるナイジェリア兵は、少人数で集まった若者たちが額に切り傷をつけ、出血した傷口を「魔法の薬」でこすっていたと語った。こうすることによって無敵になるのだという。

カメルーン英語圏独立派、隣国ナイジェリアに潜伏 黒魔術も

 

魔法の薬を使ってなれるのは、無敵になった気分だけ。
そして銃を持って戦闘に参加する。
こんなことをしていて、国が発展するわけない。

 

 

「魔法の薬でこすれば無敵になる」というのは、日本ではアニメやゲームでの話。

でも、これを本気で信じて戦うアフリカ人がいる。

AFPの記事を読んで、世界史で習った「マジマジ反乱」を思い出した。

 

マジマジ反乱とは、1905年に起こったアフリカ人によるドイツへの反乱のこと。
この当時のタンザニアは、ドイツに支配される植民地だった。

人を人と思わない過酷な支配をしていたドイツに現地のアフリカ人が怒り、大規模な抵抗運動を始める。
「マジ」とは現地の言葉で「水(聖水)」の意味だという。

このとき呪術師が「この魔法の水を飲めば、銃弾に当たっても死ぬことはない」と言って、多くの人がそれを信じた。
「世界史の窓」には、「『新書アフリカ史』 講談社現代新書」からの引用でこう書いてある。

マトゥンビ人の霊媒師キンジキティレは人々にドイツ人に対する反乱を呼びかけた。彼は「死んだ祖先が蘇って味方をしてくれる。この薬用の水(マジ)を飲めば銃弾にあたっても死ぬことはない」と告げた。

マジマジ反乱

 

「魔法の薬で傷口をこすれば無敵になる」と言う現代のアフリカ人も、「この薬用の水(マジ)を飲めば銃弾にあたっても死ぬことはない」と信じた100年前のアフリカ人も、考え方はほとんど変わらない。

このことを知れば、セネガルの上級国民もきっとあきれる。

 

それにしても、アフリカでの呪術信仰の影響力は本当に強いと思う。
アフリカでは今でも、呪術師の言うことを信じて「アルビノ狩り」がおこなわれている。

2017年には、モザンビークで17歳の少年が殺害され、脳を取り出される事件が起きた。
これも日本ではアニメやゲームでの話だけど、アフリカでは社会問題になっている。

次回、そのことを書きます。

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。