日本と桜と韓国①韓国起源説、根拠が否定され主張が変化する。

 

去年(2017年)、日本語学校に通っていたベトナム人とレストランで話をしていた。

「昔ベトナムも漢字を使っていたから、日本語と同じ言葉があるんですよ~」なんて話を聞く。

例えば下のベトナム語「chú ý」は何だと思う?

これは「チュー イー」と読む。
漢字で書くと「注意」。
意味もそのまま「注意」。すべって転ぶな、ということだろう。

 

そのとき聞いた話で、ちょっと驚いたことがある。

「ベトナムでも日本の桜や花見は有名になってきました。友だちも日本に行って桜を見てみたいとよく言います」

へ、へえ、そうなんだ。
そんなこと聞いても、う、うれしくなんかないからね。
でも、ここの支払いぐらいはしてもいいかな。

そんなことを思っていたら、次の言葉を聞いて「は?」となる。

「ところで、桜は本当に日本の花ですか?日本語学校にいる韓国人が『桜はもともと韓国の花で、日本人が持って行った』と話していました」

へ、へえ、そうなんだ。
そんなこと聞いても、お、怒ったりなんかしないからね。
でも、ここの支払いは別々だな。

そんなことを思いながら、「韓国人は日本に来て、外国人にそんなこと言ってたのか」とウンザリした。

 

ここにも注意。

 

寒さのピークを越えて春が近づいてくると、韓国のメディアが「桜の起源は韓国だった」という記事を載せ始める。

韓国には悪いクセがある。

折り紙や茶道といった日本文化や「わっしょい」という日本語など、日本のさまざまなものに対して「その起源は韓国にあった」と言い出すことがある。

中でも桜は「韓国起源説」の代表的な例だ。

韓国起源の対象となっている事物は日本のものが最も多く、現在も報道などを通して様々な事物に対して唱えられ続けており、特に『ソメイヨシノ韓国起源説』は、花見の季節になると、毎年のように韓国の各種メディアで報道され続けている。

韓国起源説の実例

 

それで今では、日本人ですら桜の起源がどこなのか分からなくなっている。

例えば「Yahoo!知恵袋」には、今でもそんな質問がたくさん寄せられていた。

サクラの原産地はヒマラヤの辺りだと言われている。
それがはるか昔に日本にやって来て、日本で進化して今の桜になった。

レコードチャイナの記事(2015年3月30日)で、中国の専門家がこう話している。

何氏は「簡単に言えば、桜は中国で生まれ、日本で発展した。韓国は何も関係ない」とし

桜は中国で生まれ、日本で発展した。韓国はまったく関係ない―中国専門家

 

いま世界の人たちが「sakura」と聞いて一般的に思い浮かべるのは日本の桜で、ヒマラヤにある桜ではない。

でも、「桜の起源は韓国だった」と韓国人がよく言うから、そのたびに日本人の感情を悪くさせる。
質問の中には、「腹が立って仕方ありません」とストレートに言う人もいた。

 

その気持ちは分かる。

 

一口に桜といっても、いろいろな種類がある。
韓国の済州島には「王桜(エイシュウザクラ)」という品種の桜がある。

日本で見られる桜の8割はソメイヨシノで、日本人がイメージする桜は大体このソメイヨシノだ。
韓国にある桜のほとんどもソメイヨシノだから、韓国人が「桜」と聞いて思い浮かべるのもきっとこれだろう。

 

一時期、「日本の桜(ソメイヨシノ)の起源は韓国の王桜だった」という説が流れたのだけど、現在ではこれは否定されている。

2017年に「国立研究開発法人 森林総合研究所」がソメイヨシノと桜花は関係ないことを発表した。

栽培品種の‘染井吉野’は、エドヒガンとオオシマザクラの雑種に由来するひとつのクローンであることが明らかにされています。

‘染井吉野’など、サクラ種間雑種の親種の組み合わせによる正しい学名を確立

 

ソメイヨシノは日本人がつくり出した桜。
この桜に関しては、起源は日本。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

桜(ソメイヨシノ)の韓国起源説は間違いです by 森林総合研究所

 

 

数年前、「桜(ソメイヨシノ)の起源は韓国にあった」という説がだんだんと間違いであることが明らかになってきた。

すると、韓国紙の主張が変化してきた。
「もう桜の起源とか産地とかって、どうでもいいじゃん。そういう無意味なことを言うのはもうやめよう」といった記事を載せるようになる。

例えば中央日報の記事(2015年04月05日)ではこう書いてある。

私たちは花の原産地とその花を楽しむ文化は別個という事実を便利に忘れていた。

だから最近中国まで加勢して三国志になってしまったサクラの原産地論争は植物学的には意味があっても文化的には格別な意味はない。

サクラの原産地論争に意味がない理由=韓国

 

記事では、大事なことは桜の原産地を探ることではなくて、「韓国固有の強固な文化芸術的基盤がある花祭りを発展させなければならない」と力を込める。

これには大賛成。
桜も日本も関係なく、韓国独自の花祭りを築いていけばいい。

そうすれば、「私は腹が立って仕方ありません」という日本人もいなくなる。

 

 

桜(ソメイヨシノ)は日本人がつくり出した品種で、その起源は韓国にはなかった。

そして2015年に「もう原産地のことを言うのをやめよう」という記事があったから、もう韓国が桜の起源を主張することもなくなるろうと思っていた。

と思っていたのだけど、そんな甘い見方は韓国には通じなかった。
今でも、日本にいるベトナム人に「桜はもともと韓国の花で、日本人が持って行った」と言う韓国人はいる。

続きは次回に。

 

 

こちらもどうぞ。

ベトナム語に日本語と似ている言葉がある理由。同じ言葉だから。

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。