日本のポリコレ②「お母さん」が”差別用語”になる時代

 

時代が変われば、人びとの意識も変わる。
その変化は言葉にあらわれる。

「肌色」という色名はいまは消えて、「うすだいだい」や「ペールオレンジ 」になっている。
スチュワーデスはCA、カメラマンはフォトグラファーに変わった。

インディアン(アメリカ先住民)は「ネイティブ・アメリカン」や「ファースト・ピーポー」と呼ばれている。

こうした言葉の変化は、ポリティカル・コレクトネスの考え方による。

ポリティカル・コレクトネス(political correctness)

人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない、中立的な表現や用語を用いること。米国で、偏見・差別のない表現は政治的に妥当である、という意味で使われるようになった。言葉の問題にとどまらず、社会から偏見・差別をなくすことを意味する場合もある。

デジタル大辞泉の解説

いわゆるポリコレ。

このポリティカル・コレクトネスの考え方にもとづいて、日本でもいろいろな言葉が言い換えられるようになった。

看護婦は看護師に。
助産婦は助産師。
保母は保育士。
痴呆症は認知症。

ここまでが前回の内容。

日本のポリコレ①肌色・黒人・先住民の”正しい呼び方”って何?

さらに最近では、「お母さん」や「お父さん」まで”差別用語”になっていることを知ってますか?

 

 

ここ数年で、LGBTという言葉をよく聞くようになった。

Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)
Gay(ゲイ:男性同性愛者)
Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)
Transgender(トランスジェンダー:生物学的な性別と違う性別で生きたい人)

この頭文字をつなげると「LGBT」になる。
つまり、「性的少数者の総称」のこと。

 

こうした人たちは社会の少数派ということで、差別や偏見の対象になりやすい。

そこで千葉市がLGBTへの差別をなくそうとある試みをおこなったところ、これが大きな話題を呼んだ。

職員や教員が性別を決めつけるような言葉を使わないように、千葉市が対応の指針をつくった。
NHKニュース(2018年4月5日)によると、「お父さん」や「お母さん」もNGワードになる。

この中では、性別などを決めつける言動を避けるため、「夫」や「妻」ではなく「配偶者」や「パートナー」、「お父さん」や「お母さん」ではなく「保護者の方」、「ご家族の方」という表現を使うよう求めています。

千葉市 職員や教職員向けのLGBT対応指針策定

 

この背景にも、ポリティカル・コレクトネスの考え方がある。

記事では、この指針をつくった目的を「LGBTの人たちへの差別をなくそうと」と書いてある。
だから、「夫」「妻」「お父さん」「お母さん」は広い意味で”差別用語”になるということなのだろう。

千葉市は「職員や教職員が正しい理解を持つことで、誰もが暮らしやすい街にしたい」と話しているとか。

 

ネットを見ると賛成意見はあるけれど、拒否反応の方が多い。

〇賛成

・LGBTの人間に対してだろ。問題ない。
・古い時代の言葉は言い換えられるのもまた自然なこと
現代から見たらデリカシーのない時代の言葉は消えゆくものだ
・LGBT向けというより片親とか爺婆が育ててるパターンとか考慮して、
「お父さんお母さん」じゃなくて「おうちの人」「保護者の方」って言うという話は聞いたことがある。
・90年代からお父さんお母さんの言い方はしてないよ
父母会もとっくに保護者会に言い換えたでしょ

 

〇反対

・うそでーす
じゃなかったのかよ!
・エイプリルフール終わってなかったのか!
・んなアホな美しい日本語が消えていく・・・
・ぞうさん ぞうさん
お鼻が長いのね
そうよ 保護者さんも 長いのよ
・子供の作文も「私の保護者の方へ」
・父の日母の日もまとめて保護者の日になるのかな
・殴ったね!保護者の方にもぶたれたことないのに!
・性別を決めつける言動がダメなら「男子トイレ」「女子トイレ」って言っちゃダメってことになるよな
「1番トイレ」「2番トイレ」みたいに言うのか?

 

 

果たして、この動きは全国の自治体にも広がるだろうか。

これも結局は、「慣れ」の問題かもしれない。

ひと昔前、学校で「父兄」と言われていたのが、今では「保護者」と言われている。
この呼び変えで特に問題はない。

「お父さん」「お母さん」ではなく「保護者の方」「ご家族の方」と言うのも、5年ぐらいやっていたら、誰も何も思わなくなるかもしれない。

それにしても、「お母さん」という言葉までポリコレに引っかかる時代がくるとは思わなかった。

 

この像は大丈夫だろうか。

 

ところで、千葉は「性別などを決めつける言動を避ける」動きが盛んらしい。

「LGBTの人たちへの差別をなくそう」ということで、学生服での男女差をなくした中学校が千葉に登場して、これも注目を集めた。
東京新聞の社説(2018年4月4日)から。

開校前に学校が保護者と子どもを交え、制服は必要か、必要ないかという点から議論した。性同一性障害など性的少数者への配慮も必要だとの意見が出て、性別を問わないスタイルに決まった。

学校の制服 「らしさ」を押しつけず

 

「男らしさ」や「女らしさ」の押しつけをなくして、この学校では、生徒が制服を選ぶことができるらしい。
だから女子中学生がスラックスとネクタイ、男子中学生がスカートとリボンという格好でもOK。

この試みにも賛成・反対が大きく分かれている。
これが全国に広がるかどうかも、まったく未知数。

最近は社会の変化が速すぎて、10年後の日本が想像できない。

 

*この記事を書いたすぐ後に、西日本新聞でこんな記事(2018年04月10日)を見つけた。

2019年度の入学生からブレザーに統一し、性別に関係なく、スラックスやスカートなどが選択できるようにする方針を明らかにした。体温調節の機能や性の多様性に配慮する。

性別関係なく選べる制服に スカートでもスラックスでも 福岡市立警固中、校長「時代の流れ」

この動きは今後、全国展開するかも。

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。