日本人の外国人(イスラム教徒)への見方・受け入れ態勢

 

アルジェリア人のイスラーム教徒の女性が、フランス人の男性と結婚した。
それで彼女は考えた。

「そうだ 京都、行こう」
じゃなかった。
「フランスの市民権を取ろう!」と。

でもその女性は市民権の授与式で、男性の政治家との握手を拒否する。
「イスラーム教の教えで、異性と握手することができないから」という宗教的な理由を主張して。

フランス政府は女性の態度を「フランス社会に溶け込んでいない証拠」と見なす。
で、市民権はあたえなかった。
「それはおかしい!」と女性は国を訴えたけど、フランスの最高裁判所も政府の決定を支持した。

宗教の考え方とその国の価値観がぶつかった結果、価値観が優先された。
前回、そんなことを書いた。

どう思う?イスラム教徒が握手拒否!フランスは市民権を拒否!

 

今回はこのニュースに対する日本の反応を見て、こんなことを書いていこうと思う。

日本人は外国人との共生をどう考えているのか?
日本ではいま、イスラーム教徒をどう受け入れているのか?

「日本の反応」といっても、ネットでの反応なんだけどね。

 

 

ネットではほとんどの人が、「握手を拒否した女性に市民権はあたえない」というフランスの政府や最高裁の決定を支持している。

・郷に入りては郷に従え
・ルールならしょうがないな
・これはフランスが正しいでしょ
あちらでは握手=挨拶みたいなもんだろうし
それやれないってねぇ
・握手くらい我慢しろよ、とは感じるな
とはいえ、俺だってハグとか頬にキスとかの文化は 受け入れられないしなーw
よっぽど追いつめられていないと無理な事もあるから、無理して帰化すんなよ
・まぁそりゃそうだ
自分らの主張を絶対に曲げない人同士が共存なんて無理
・こういうとこはフランスはエグイね。
・当該国の社会に溶け込んでいない、を拒否理由として明記しておくことは重要だな。
・不寛容に寛容になれる訳がない。

 

「郷に入りては郷に従え」という言葉が象徴しているように、これはイスラーム教徒だけではなくて、外国人全体に当てはまる考え方とみていい。

ボクもこれには賛成。
個人の宗教的信条とその国の価値観(文化)がぶつかったら、基本的には、国の価値観を優先するべきだ。
「イスラーム教の教えでは、複数の女性と結婚することができる」といっても、日本でそれは重婚になるから認められない。

 

そもそも「異性と握手できない」というのは、イスラーム教徒にとってどのていど守らないといけない教えなのか?

インドネシアやマレーシアのイスラーム教徒の女性は男性と握手をしていた。
でも、イスラーム教の聖典クルアーン(コーラン)に「豚肉を食べてはいけない」と書いてあるから、それは食べない。

クルアーンには「異性と握手することはできない」とは書いてないだろう。
そんな記述があったら、すべての国のイスラーム教徒が守らないといけない。

フランスの市民権をもらった他のイスラーム教徒の女性は、市民権授与式で政治家と握手していたはず。
この女性だけがねらい撃ちにされたのならそれは差別だけど、そういうことでもない。

「異性と触れることはできない」という考え方があっても、市民権の授与式という特別大事なときぐらいは、握手をしたほうがよかった。

あまりにルールを厳格に守り過ぎたことで、自分の立場が不利になってしまった。
「土俵は女人禁制」だからと、救命措置をしていた女性に「土俵から降りてください」とアナウンスして、国民から大バッシングを受けた相撲協会のようだ。

 

浜松市のスーパーにあったハラルフード

イスラーム教の教えによって、信者は豚肉を食べることはできない。
アルコールもダメ。
イスラーム教徒(ムスリム)が食べられるものは「ハラルフード」とよばれている。

ハラルフード

イスラム教の戒律に沿った食べ物。ハラルはアラビア語で「許された」などを意味し、豚肉や酒類を禁じている。

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

 

先ほどまでのネットのコメントには共感できたけど、これはムリ。

宗教を理由に何でも免責されるという風潮は、絶対に間違っている。日本にハラルフードはいらないし、ムスリムの宗教施設など作ってやる必要はない。

 

「宗教を理由に何でも免責されるという風潮は、絶対に間違っている」というのは、そりゃそうだ。
一夫一妻制の日本で一夫多妻は認められない。
信仰の自由にも限度がある。

 

でも、「日本にハラルフードはいらないし、ムスリムの宗教施設など作ってやる必要はない」というのは言いすぎた。
現実的でもない。
そう思う人がいても、いまの日本ではイスラーム教徒を受け入れる準備がすすんでいる。

具体的には、ハラル(許された)フードを取り扱うところも増えている。
前に東京の台東区がしている試みについて書いたから、今回はYKKが始めたことを紹介しようと思う。

日本経済新聞の記事(2017/4/7)から。

YKKグループは6日、黒部事業所(富山県黒部市)内の社員食堂が日本イスラーム文化センター(東京・豊島)の「ハラル認証」を取得し、本格運用を始めたと発表した。

「YKK、社員食堂でハラル認証取得 外国人研修に対応 」

 

宗教や肌の色は関係なく、戦力となる社員が必要な場合、この配慮は当然。
スズキの社員食堂には、ベジタリアンのヒンドゥー教徒用のメニューが用意されている。
会社が社員の宗教に応じた料理を提供することは、日本でも珍しくはない。

YKKでは、食器もハラル専用のものを使うという。

 

 

「ムスリムの宗教施設など作ってやる必要はない」と言っても、ディズニーシーにはイスラーム教徒が礼拝する場所が用意されているし、去年はJR東京駅に礼拝スペースができた。

この動きは全国的に止まらない。

最近も姫路にできた。
サンケイビズの記事(2018/04/09)から。

急増するイスラム教徒(ムスリム)の訪日観光客を姫路にも呼び込もうと、神姫バス(兵庫県姫路市)は10日、JR姫路駅前に設置したムスリム旅行者用の祈祷(きとう)室の運用を始める。

ムスリム観光客も姫路来て 神姫バス、10日から祈祷室運用スタート

 

いまの日本の動きを見ても、「イスラーム教徒や外国人を受け入れるな!」という主張は非現実的で意味がない。

「どうやって彼らとつき合っていくか?」を考えた方がいい。

イスラーム教徒のために、日本人がハラルフードやお祈りスペースを用意することはいい。
でも同時に、イスラーム教徒をはじめ外国人が日本の価値観や文化を尊重することも大事。

フランス市民権の条件のように、「その国の社会に溶け込んでいる」ということは本当に大事だから。

 

おまけ

イスラーム教の国イエメンのようす。

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。