カースト殺人②インド人の意見「本当の理由はカーストじゃない」

 

まずはじめにインドクイズです。

インドの「CCB」ってなんでしょー?

 

 

答えは「カレー・カースト・仏教」のこと。
「カースト・カレー・仏教」でも可。
これは中学校の先生が言った言葉で、いまでも覚えている。
このCCBは、まさに日本人がイメージするインドだと思う。

今回のテーマはインドのC、カーストについて。

前回、インドで起きたカースト殺人を書いた。
ヒンドゥー教の最下層カーストである「ダリット」出身の人たちが、「そんなアホな?」という理不尽な理由で、上位カーストの人間に殺されてしまった。

2017年には「ダリットにはこの伝統舞踊を見る権利は一切ない」ということで、殺害されてしまった。
2018年には「ダリット階級は馬に乗ってはいけない」という理由で命をうばわれてしまった。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

カースト殺人①ダリットが乗馬しただけで…←日本人の反応は?

 

インドで起こるこうしたカースト殺人について、インド人はどう思っているのか?

この前インド人とはなまるうどんに行ったとき、彼に意見を聞いてみた。
今回はダリットの生活を紹介してから、そのインド人の話を書こうと思う。

 

 

ヒンドゥー教には4つのカースト(ヴァルナ)がある。

バラモン(僧)
クシャトリヤ(王、貴族)
ヴァイシャ(商人)
シュードラ(奴隷)

でも、このカーストに入ることができない人たちもいる。
それが、ダリットと呼ばれる最下層カーストの人たち。

その生活は悲惨そのもの。

住居も、町や村外れの、不潔な、生活用水もない場所に定められ、木の葉や泥以外の家に住むことができず、その暮らしは家畜以下であった

「アンベードカルの生涯 (光文社新書)」

 

ダリットの仕事はほぼ固定化されていて、親の仕事をそのまま子どもが引き継いでいた。

皮革のなめしや染色、ゴミや屎尿の処理、ネズミ取り、死体処理、火葬などといった(ほとんどが世襲の)職業ゆえに「不浄」とみなされている

「インド入門 (マノイ・ジョージ)」

 

でも、これはひと昔前の話。
今のインドでは、ダリットたちの生活は改善されつつある。
去年は、ダリット出身の大統領が誕生したしね。

 

ダリットの女性

 

インドでダリットの地位は向上しているのだけど、

「踊りを見ていたら殺された」
「馬に乗っていたら殺された」

という事件が今でも起きている。
インド人はこんなカースト殺人についてどう思うか?

 

「私は豚肉と牛肉が食べられません。それとカレーは食べ飽きましたから、別のものが食べたいです」と言うわがままなインド人をはなまるうどんにつれて行く。
そこできつねうどんと野菜かき揚げをチョイスした彼に、カースト殺人について聞いてみた。

ちなみに彼は日本で働いているインド人で、インド社会ではエリート層に入る。
彼はヒンドゥー教徒だけど、彼のカーストまでは知らない。

 

箸でかき揚げを食べるのに苦戦しながら、彼は言う。

「いまのインドでは、見た目でその人のカーストなんて分かりません。デリーやムンバイなどの都市では、人の出入りがすごいですから。大学時代には、カーストの分からない友人はたくさんいましたよ。いまでも、会社の同僚のカーストは知りません。どうでもいいことですから」

初対面で、一目見て相手のカーストを見ぬくことはできないらしい。
でも近所に住んでいる人なら、そのカーストを知っている場合はある。
田舎なら、だれがどのカーストか知っていることも多い。

 

そのインド人が日本語学習で買った本

I finally got this book
For my Japanese language learning

「ついに買った!」はいいけど、なんでその本を写真に撮ってボクに送ってくるのかが分からない。
インド人は謎多し。

 

箸はあきらめて、彼は手づかみで野菜かき揚げを食べ始めた。
手づかみならインド人は無双。
かき揚げをほお張りながら彼は話を続ける。

「その殺人の一番の原因は、きっとカーストじゃないですね」

カーストが原因ではない?
でも、ダリットを殺害した上位カーストの人間はこう言っていたのだが?

「ダリットにはこの伝統舞踊を見る権利は一切ない」
「ダリット階級は馬に乗ってはならず、クシャトリヤのみが馬に乗って良いのだと言われ、馬を売らなければ殺すと脅された」

彼の意見では、それは”きっかけ”に過ぎない。
本当の理由は金。
上位カーストの人間は金がほしかっただけ。

「ダリットのくせに!」と言いがかりをつけて、彼から金を取ろうとした。
でも、そのダリットのインド人が金を出さなかったか、その金額が思っていたより少なかった。
だから、彼らは怒って相手を殺したのだろうと彼は言う。

「お金を払っていれば、殺されることはなかったと思います。彼らの本当の目的は金で、恐喝する理由としてカーストを利用したのでしょう」

というのが彼の意見。
このとき話を聞いていて驚いたのだけど、いまのインドでは、ダリット出身のヒンドゥー教の僧もいるという。
昔はバラモンカーストだけの特権だったのに。

そんな時代背景を考えると、カースト殺人の本質は「金」のような気がする。

 

ターバンを巻いているのはヒンドゥー教徒ではなくてシク教徒

 

おまけ

ダリットの村

 

こちらもどうぞ。

インド人から見た日本:カレーの違い・歴史・イギリス伝来

インド 「目次」

宗教 「目次」

次のインド大統領は、最下層カースト・ダリット出身の政治家?

生きたまま焼かれるインドのサティ―(儀式)とその様子

 

2 件のコメント

  • こういった知らない話を伺えるこのサイトは面白いです。ヴァルナに起因した犯罪、利用した犯罪を無くす手段はノブレスオブリージュを罪状に反映させるぐらいでしょうか?
    それでも人の欲はなくならでしょうがハードルは高くなるかも。

  • そう言っていただけると、書いた甲斐があります。
    ありがとうございます。
    カーストに関する犯罪をなくすのはむずかしいですね。
    インドの人たちはそれをなくすより、避けることを考えていると思います。

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    今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。