鎌倉時代の価値観①「ぶすに人権はない」は武士としてダメ!

 

初めて知ったのだけど、「夏目雄大」という若手俳優がいる。
というか、”いた”。
この人は最近、所属事務所を解雇されてしまったから。

クビになった原因はツイート。
この人は過去に、とんでもないことをツイッターでつぶやいていた。

「ぶすに人権はない」
「乙武さんと握手してサッカーしたい」
「妊婦さんに膝カックンして絶望させる遊び」

これだけではない。
ここでは書けないようなことをツイートしている。
これは確実にアウトな案件。

こうした過去ツイートが発掘されて、大きな問題になる。
「これはかばい切れない!」と判断した事務所の動きは速かった。
このタレントを速攻で解雇。

このツイートは日本人の価値観とは違いすぎる。

女性を蔑視するような意見の多いネットの世界でも、同情の声はほぼない。

・妊婦に攻撃的な奴ってなんなの?
・若気の至りも今じゃ一生の命取りですわ
・ぶす云々はまだしも、妊婦さんのは
しゃれにならん
・高校生が粋がっただけ、とも言えるが
イメージ商売では致命傷だわな
・決断速いな正解だ
でもこいつの将来どーなるんだろw

ネットの世界こそ、注意一秒、ケガ一生。
この人は人生をもう一度やり直すしかない。

 

でも、この記事で取り上げたいのはこの俳優ではない。
「鎌倉時代の武士の価値観や考え方」について。
鎌倉武士なら、「ぶすに人権はない」という発言はあり得ない。
武士は女性に、「ぶす」と言うことさえいけなかったのだから。

北条 重時(ほうじょう しげとき)さんがそう言ってた。

 

 

北条重時は中学校では習わない。

でも、重時の父親は超有名人。
重時のパピーは、なんとあの星海坊主 (うみぼうず)!

じゃなかった。
父親は、鎌倉幕府の2代目執権・北条義時。

鎌倉時代に、後鳥羽上皇と対決した「承久の乱(1221年)」があった。
天皇側と武士団が直接戦ったのは、日本の歴史でこの一回だけ。
その意味で、すごく特殊な戦い。

武士側がこの戦いに勝ったことで、天皇(朝廷)側に対する優位が決定的になる。
「武士>天皇(朝廷)」の構図は幕末まで続いた。

承久の乱のとき、鎌倉幕府の執権だったのが北条義時。
その3男がこの北条重時になる。

重時のお兄さんも有名人。
兄貴はなんとあの神威(かむい)!
・・・というのは、もういいですね。

重時の兄は、承久の乱のときに幕府軍の総大将だった北条泰時。
泰時は御成敗式目をさだめたことでも知られてる。

ここまでは中学校の歴史の授業で習うこと。
ここからは高校の日本史レベル。

北条重時ってこんな人。

六波羅探題北方・鎌倉幕府連署など幕府の要職を歴任し、第3代執権の異母兄・北条泰時から娘婿の第5代執権・北条時頼を補佐して幕政を主導しながら鎌倉幕府政治の安定に大きく寄与した。『六波羅殿御家訓』『極楽寺殿御消息』等の家訓の作者でも知られる。

北条重時

はい!
「極楽寺殿御消息(ごくらくじどのごしょうそく)」って家訓にご注目!

 

源頼朝
と言われてきたけど、最近では「足利直義(ただよし)じゃね?」という説もある。

 

極楽寺殿御消息(ごくらくじどのごしょうそく)というのは、北条重時が残した武家の家訓。
重時は初代鎌倉将軍・源頼朝の影響を強く受けている。
だから、頼朝の価値観もこの家訓に反映されているはず。

極楽寺殿御消息には、鎌倉時代の武士としての、あるべき考え方や行動が書かれている。

彼の家訓からは、頼朝およびその周辺の武士たちの生き方が強くにじみ出ていると思ってよい。

「日本人とは何か。山本七平 (PHP文庫)」

極楽寺殿御消息は家訓として残されたものだから、その後の武士は絶対にこれを守らないといけない(少なくとも建前では)。

その武家の家訓には、どんなに身分の低い女性でも「女の難をいふべからず」とか、そういうことは「かくし給ふべし」と書いてある。
つまり、「女性の悪いことは言ってはいけないし、そういうことは隠しておくべき」という。
鎌倉時代の武士は、女性を尊重する価値観を持っていた。
けっこうフェミニストな人たち。

こういう考え方からしたら、「ぶすに人権はない」とか「妊婦さんに膝カックンして絶望させる遊び」と言うのは絶対にあり得ない。
そんなヤツは武士ではない。

次回、そのことを書いていきます。

 

 

おまけ

16世紀(戦国時代)に、「ルイス・フロイス」という宣教師が日本にやって来た。

この人も高校日本史で出てくる重要人物ですよ。

1532~97 ポルトガルのイエズス会宣教師。

1563年に来日。
京都で信長に謁見、秀吉とも親しくし、キリシタン布教の地歩を固めた。追放令で退去後、再来日し、長崎で死去。
「日本史」を執筆した

「日本史用語集 山川出版」

 

来日したフロイスが驚いたことは、ヨーロッパに比べて、日本の女性には自由や権利が認められているということ。
「フロイスの日本覚書 (中公新書)」にはこんな記述がある。

(ヨーロッパでは)堕落した本姓にもとづいて、男たちの方が妻を離別する。日本では、しばしば妻たちの方から夫を離別する。

ヨーロッパでは、妻は夫の許可なしに家から外出しない。日本の女性は、夫に知らさず、自由に行きたいところに行く。

ヨーロッパでは、夫婦間において財産は共有である。日本では、各々が自分の分け前を有しており、ときには妻が夫に高利で貸しつける。

戦国時代の武士が持っていた女性への見方にも、鎌倉時代の価値観の影響があったはず。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。